1月14日に営業を終えた、島根・松江市の一畑百貨店。“街の顔”とも言えるJR松江駅前にあったデパートの「跡地」がどのように活用されるのかが、これからの課題になる。

先にデパートが閉店した地域では、跡地の再開発に時間がかかるケースや、建物がそのまま放置されるケースも見られ、まちづくりに詳しい専門家は、どれだけ“スピード感”をもって対応できるかがカギになると指摘する。

一畑百貨店跡地の今後

松江市の一畑百貨店が営業を終えた1月14日、錦織要社長が跡地の利用について、報道陣の質問に答えた。

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一畑百貨店・錦織要社長:
賃貸と売却の両にらみで交渉先を探しています。いずれにしても大きな建物なので、早急に決まるとは思っていない。

錦織社長は、跡地を商業施設のテナントとして貸し出すか、土地と建物を売却する方針で、売却先については、島根県内外の複数社から引き合いがあるとしている。しかし具体的なことは決まっていないということで、当面松江市の玄関口に巨大な「空き店舗」が残ることになる。

百貨店閉店後 再開発には課題も

百貨店と地域経済の関係にくわしい神戸国際大学の中村智彦教授は、デパートの跡地利用について「長いものだと10年、15年放置されているものもある。再開発しても採算があわない。だから、民間の資本が入らない、地元の地権者の意見が合わない」と指摘する。

実際、全国で初めて「百貨店ゼロ」県になった山形県では、山形市中心部にあった百貨店の建物が、閉店から4年がたってもそのまま放置されている。山形市が再整備の方針を示しているものの、整備にはさらに少なくとも6年はかかるなど、長期に渡ることになる。

また、北海道釧路市では地元資本の百貨店が2006年に閉店したあと、再オープンに向けて改修工事を行ったものの、計画が頓挫。18年にわたって、建物が解体されず、景観面でも問題になっている。

駅前はどうなる?「デザイン会議」発足

松江市では、市と商工会議所による「デザイン会議」を発足、一畑百貨店の跡地を含む松江駅北側の再整備について、具体的な構想案を2024年秋にまとめるとしている。

この会議で、松江市の上定市長は「ある程度ダイナミックに駅前を変革していく必要もあると思う」と話し、再整備にあたり、百貨店を含め一帯の老朽化した建物の取り壊しも検討が必要だという考えを示している。

一畑跡地周辺の再整備について、神戸国際大学・中村智彦教授は「あれだけの大きな建物だと、解体するだけでも数億規模。きれいなイメージCGはいくらでもかけるので、地域が考える理想とどうすり合わせていくか、市の手腕にかかっている」と指摘、“スピード感”のある取り組みが重要だと強調した。

「人々が集まる松江の玄関口」をどのように実現するか。
松江市や地元経済界に難しい課題が突きつけられている。

(TSKさんいん中央テレビ)

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