警視庁本部を訪問された天皇皇后両陛下。
110番通報に対応する通信指令センターを視察し、警視庁の警察犬とも初めて対面された。
110番通報の現場を視察
1月15日午前、両陛下は皇居の桜田門を通り、すぐ目の前にある警視庁本部を訪問し、通信指令センターを視察された。

センターの大型モニターには、都内全域の地図や渋谷駅前の画像などが表示されている。浩宮時代の1986年に視察している陛下は、大きく様変わりした最新の機材などに驚かれた様子だった。

両陛下は事件や事故に関する110番通報を受け、状況を把握して指示を出す様子を熱心に見学された。実際に指令業務を担当する警察官に通報の多い時間帯や消防との連携などについて質問を重ね、ヘッドセットを付けた担当者が、実際に通報を受理すると足を止め、見守られた。
警視庁150周年式典 能登半島地震の被災者にお見舞いのおことば
これに先立ち、両陛下は警視庁の創立150周年記念式典に出席された。

陛下は能登半島地震の発生後初めておことばで被災地に触れ、「亡くなられた方々に哀悼の意を表し、ご遺族と被災された方々に心からお見舞いをお伝えいたします」とお見舞いの気持ちを示された。
石川県で生存者救出の救助隊員を労われる
行事を終えた後、両陛下は今回の地震で石川県の災害現場に派遣された「特殊救助隊」の堀越貴夫隊員と懇談された。

福岡県警などと連携し、1月6日、珠洲市で倒壊した家屋から90代の女性の生存者を救出した際の状況について詳しい説明を受けられた。

厳しい寒さの中救助活動にあたった隊員に「今後もお体にお気を付けください」と労われていたという。
警視庁の警察犬と初対面
また、鑑識活動に従事する警察犬とも面会された。

鑑識課長から、犯人の足跡の追及、証拠の捜索など警察犬の活動について説明を受けた後、実際に警察犬と対面された。お会いになったのは、群馬・伊勢崎市生まれのラブラドール・レトリーバーのスキッパー号(オス8歳)。ボール遊びが大好きで大きな音が苦手だという。

両陛下は日頃からお住まいで愛犬・由莉と生活し、飼い犬をセラピー犬として活動させたり、犬や猫との生活についてのフォーラムを聴講するなど、長女の愛子さまと共にご家族で動物の福祉に心を寄せられている。

両陛下が警視庁の警察犬と対面されるのは今回が初めて。これまでスキッパー号がどんな捜索に携わってきたのか、また訓練方法や普段どのように過ごしているのかなどについて熱心に質問し、「よく頑張っておられるんですね」と感心されていたという。
警察の捜査を支える犬たち、そしてその犬を世話する職員の業務についても理解を深められる機会となった。
「都民・国民の期待と信頼に応え、社会の安全・安心の確保を」
「150年にわたる歴史を通じて積み重ねられてきた経験を生かしながら、皆さんが今後も、都民・国民から寄せられる期待と信頼に応え、社会の安全・安心を確保していくことを願います」
危険が伴う任務にあたる警視庁の警察官達に、式典でこう呼びかけられた陛下。

両陛下は外出先で警備にあたる警察官にいつも感謝の気持ちを持たれていて、所轄の署長などに労いの言葉を伝えられることもある。
陛下は38年ぶり、皇后さまは初めて警視庁本部を訪問し、お二人揃って改めて警察官の多岐にわたる職務に心を寄せられる1日となった。
【執筆 宮内庁クラブキャップ兼解説委員 宮﨑千歳】