2024年の仕事始めを迎えた首里城の再建工事の現場には、2人の若き女性宮大工の姿があった。

本格的に始まった正殿再建の一翼を担う2人に、これからの抱負を伺った。

この記事の画像(9枚)

後藤亜和さん:
今年は声を出して頑張ろうと思います。よろしくお願いします

小松優喜さん:
去年に引き続き、自分にできることを一生懸命やっていくので、よろしくお願いします

設計士の父の提案で再建工事に参加

先輩の職人とともに作業に励んでいるのは、北中城(きたなかぐすく)村出身の後藤亜和(あや)さん。

この日、後藤さんは正殿の屋根を鮮やかに彩る「唐玻豊(からはふう)」の下絵を描いていた。

後藤亜和さん:
こういう彫刻をやったことがなく、想像力が足りないです。まだまだ全然足りていないんですけど

木造住宅の設計士である父のもとで大工としての仕事を始めた後藤さん。

父から首里城の再建工事に参加してみないかと提案されたことをきっかけに、2023年の秋から今の現場に仲間入りした。

再建に携われる誇りが仕事の原動力に

後藤さんは、「この現場では、県内外のいろんな高いスキルを持った大工さんがたくさんいるので、さまざまな大工さんの意見を聞くことができるのが大きい」と語る。

彫刻士 砂田清定さん:
素直に受け答えしてくれることが一番大事だね。上手くなるとかならないとかではなく、パートナーとして素直に考えてくれるので仕事はしやすいです

ベテランの技を間近で見て、後藤さんは毎日大きな刺激を受けている。

後藤亜和さん:
いろんな大工さんがいるので、いろいろなやり方を見て、いろんな大工さんに教えてもらい、自分に合うやり方を見つける。(再建に)携われる誇りが、自分が仕事を頑張らせてくれる原動力になってくれているかなと思っています

「女性やけん あれできんねって思われたくない」

木材の墨付け作業に携わっているのは、福岡県出身の小松優喜さん。

墨付けとは、木材を加工するための線を引いたり目印を付けたりする作業のことだ。

小松さんの親方が再建に携わることとなり、それをきっかけに小松さん自身も加わることとなった。

小松さんは、「“女性やけん、あれできんね”って思われたくないので、そこは負けないようにしたい」と思っていたが、力仕事だとどうしても男性に負けてしまうところがあるため、「女性でも絶対墨付けはできるので、自分にできることをしよう」と考え、墨付け作業を行うことにした。

小松優喜さん:
すごく自分としては責任重大な仕事だなと思っていて、やらせていただけるのはありがたいので、自分もいっぱい勉強して頑張りたいなと思っています

昔からの技法でのこしていく 繋いでいく仕事

5年前の2019年、首里城火災のニュースを見て小松さんは心を痛め、少しでも力になりたいと強く感じていた。

小松優喜さん:
本当に何かしたかったんですよね。少しでもそのときの思いを仕事に表現できたらなと。伝統的な昔からある建物を昔からの技法でのこしていく、繋いでいくような仕事なのかなと自分では思っています

在りし日の姿が甦るその時まで

再建を通して首里城の伝統技術を受け継ぎ日々研鑽を重ねている2人に、これからの抱負を聞いた。

後藤亜和さん:
こんな大事な仕事に携わることができると思っていなかったので、ワクワクのほうが大きいんですけど、(こういったところで)学べる環境は本当に人生にあるかないかなので、真剣にやっていきたいと思っていますし、いま学べることは学んでいきたいと思っています

小松優喜さん:
首里城って教科書に載っていたレベルで有名だと思うし、自分も小さいころから知っていたので、すごく誇らしいし、光栄でありがたいなという感じです。少しでも沖縄の方々のために頑張れたらなと思っています

若い力が加わって、再来年の2026年秋に完成を目指す正殿。

在りし日の姿が甦るその時まで、2人は一日一日歩みを進める。

(沖縄テレビ)

沖縄テレビ
沖縄テレビ

沖縄の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。