明治は、カカオ由来の保湿成分「カカオセラミド」の素材化に世界で初めて成功。将来的には化粧品として商品化を目指す。化粧品業界では「クリーンビューティー」が注目され、植物由来の高機能成分が今後のトレンドとされている。

世界で年間50万トン発生も活用されず…

チョコレートの原料で美肌に。食品大手の明治が、世界で初めてカカオ由来の保湿成分「カカオセラミド」の素材化に成功したと発表した。将来的には化粧品として商品化を目指す方針だ。

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明治によると、チョコレートの原料、カカオ豆の皮から肌を潤す成分として知られるセラミドを抽出し、素材化することに世界で初めて成功したという。

カカオ豆の皮は日本で年間4900トン、世界では50万トン出ているが、大半が活用されていないとして、明治では大量廃棄されるカカオ豆の皮を有効活用したい考えだ。

明治はカカオセラミドを使ったチョコレートやドリンクを販売するほか、将来的には化粧品として商品化を目指すことにしている。

Z世代“持続可能製品”を望む

「Live News α」では、一橋ビジネススクール教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
お肌も地球も喜ぶ、新たな化粧品の可能性ということですが、いかがですか。

一橋ビジネススクール教授 鈴木智子さん:
これまで廃棄されていたカカオの部位が、優れた保湿成分として化粧品に活用されることは、サステナブルなソリューションとして消費者に支持されるかもしれません。この背景にあるのが最近、化粧品業界の会話でよく耳にする「クリーンビューティー」という言葉です。これは、使う人への優しさはもちろん、地球への優しいアクションを起こすことができるというものです。

堤礼実キャスター:
確かに今、そういった商品がどんどん増えていますよね。

一橋ビジネススクール教授 鈴木智子さん:
多くの消費者が、エコで持続可能な目標を満たす化粧品にお金をかけたいと考えるようになりました。特に若者世代はこの傾向が強くあり、消費者調査によるとZ世代の9割近くが、環境への影響が最も少ない方法で作られたスキンケア製品を買いたいと答えています。
化粧品業界は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で長らく需要が低迷していましたが、2025年はコロナ前を上回ることが予測されています。こうした追い風の中で、「クリーンビューティー」な化粧品は存在感を増していくように思います。

高機能な植物成分に期待

堤礼実キャスター:
やはり肌につけるものですから、どんな成分が使われているかも気になりますよね。

一橋ビジネススクール教授 鈴木智子さん:
化粧品の新しい素材としても、植物に対する関心は高まっています。次のトレンドとして、
パワフルな植物が「クリーンビューティー」をアップデートするだろうと言われています。
これまでの高機能化粧品では、合成成分やパーム油のような持続不可能な成分が多く使われてきました。その代わりとして、今後は植物に含まれる高機能成分が増えることが期待されているのです。
変化こそ、美における唯一の不変のものであり、さまざまな新しいテクノロジーや新しい成分が私たちに美の選択を提示してくれました。人にも地球にも、優しい美しさが求められます。

堤礼実キャスター:
今回、カカオから発見されたセラミドは、近年需要が拡大している美容成分ですし、個人的にもとても気になります。今まで廃棄されていたものを有効活用することで、新たな価値が見い出され、そこから様々な可能性が広がっていくといいですね。
(「Live News α」1月10日放送分より)

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