1月10日、能登半島地震発生から10日目。現地では、被災後の生活の中で命を失う「災害関連死」が8人にのぼった。関西では、被災者の受け入れに向けた動きが進められているが、被災地からはさまざまな声が聞かれた。

10日朝、陸上自衛隊の伊丹駐屯地に集まったのは、医師や看護師の免許を持った「予備自衛官」。普段は民間企業などに勤めながら、大規模な災害が起きた際に招集される非常勤の自衛隊員で、被災地の支援のため、大阪・兵庫・岡山から10人が招集された。
予備自衛官らは12日に被災地へ出発し、石川県珠洲市などを中心に、避難所での巡回診療や健康診断など、医療面での支援を行うということだ。
予備自衛官 中野奈保子さん:
看護官として、被災地の方に寄り添えるようなケアができればいいいかと。
■避難所では子供たちの新聞で感染対策など情報提供
今月1日に石川県で起きた能登半島地震では、206人が死亡、52人の安否が現在も分かっていない。輪島市の朝市通りでは、約200棟が焼失する大規模な火災が発生し、10日も消防・自衛隊・警察による一斉捜索が行われている。
地震発生から10日がたった現在も、約2万6000人が避難を余儀なくされる中、避難所では被災者同士で助け合いながら過ごす日々が続いている。

避難所のアナウンス:
『正院避難所新聞』の第8号ができました。階段や玄関に貼ってあるのでぜひ見に来てください
珠洲市の避難所では、子供たちが手作りで新聞を作成。感染対策やストレッチ方法など、自分たちで考えた必要な情報を紹介しているという。
新聞を作った子供:
(Q工夫したのは?)お年寄りの方でもしっかり分かるように、字の色とかを変えたところです。
■「災害関連死」8人確認、石川県は「二次避難」を呼び掛け

先の見えない避難生活が続く中で、けがの悪化や身体的負担による病気のため死亡したと思われる「災害関連死」は10日までに8人確認された。被災者の居住環境の整備を進めるとともに、石川県が呼び掛けているのが「二次避難」。環境が整っている他の市や府県への避難だ。被災者からはさまざまな声が聞かれた。
被災者:
病気を持ってらっしゃる方とか体の不自由な方とか。特に乳幼児を持っていらっしゃるお母さんは本当に大変だと思うので、早く救出していただけるといいなと思います。
被災者:
長年この地域にいたら、なかなか離れたくないですよ。県内ならまだ目が届くけど、県外まで行くとなるとかなり勇気がいりますから。
■関西各自治体で避難先となる住宅の準備進む

関西の各地では、地震で住居を失った被災者に向けて公営住宅などを提供することが決まっている。大阪府と市は、公営住宅や民間の賃貸住宅のマンスリー物件、合わせて300戸を被災者の受け入れにあてると発表した。対象は住宅が全壊または半壊の被害を受けた被災者で、いずれの住居にも調理器具や家具などが準備され、家賃などは免除される。光熱費は自己負担になる。
大阪府 吉村洋文知事:
これまで26件の問い合わせがありました。そして5件についておそらく入居にもなってくるだろうと。できるだけ暖を取れて、そして清潔な環境で、一時的にでも避難する。とりわけ一冬超すためだけでも、一時的に避難するというような受け皿を多くつくることが重要。
地震で助かった命を二次的な被害から守るための取り組みが続いている。

「二次避難」の受け入れ先として、関西の自治体が住宅を準備している。
・大阪府では府営住宅など200戸
・兵庫県 県営住宅60戸
・京都府 府営住宅20戸
・奈良県は今後提供予定
・和歌山県 県営住宅22戸
・滋賀県も検討中
この他、複数の市が提供することになっている。

大阪府の担当者は、「現地支援の職員からの情報を受け判断した。石川県に求償できるかどうか(費用を求められるかどうか)を判断する前に、大阪府のお金で速やかに動いた」ということだ。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年1月10日放送)