能登半島を襲った地震により大きな被害を受けた石川県輪島市にある、高齢者向け介護福祉施設「百寿苑」。「めざまし8」のカメラが取材のために中に入ると、施設内は震災による生々しい爪痕が残されていました。

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リハビリやレクリエーションなどで使われていたスペースは、壁に亀裂が入り、床は波打って使用できない状態に。

大きくゆがんだ窓
大きくゆがんだ窓

窓も大きく割れてひずみ、外の雨音も聞こえてきます。廊下には大きな亀裂が入り、歩くのもやっとです。

施設内の床には大きな亀裂が
施設内の床には大きな亀裂が

寝室として使用していた部屋は、たんすが倒れ床に引き出しと中身が散乱。ベッドも大きく動いてしまっています。

たんすが倒れ物が散乱する寝室
たんすが倒れ物が散乱する寝室

「百寿苑」統括主任 鬼平千穂さん:
利用者さんが部屋にいなくてよかったなって、つくづく思います。(食堂に)みなさんいらっしゃったので、もしここにいたら下敷きになっていたりすると怖いなって。ベッドも動いているので、もしかしたらベッドから転落の可能性もあったかなと思うので。

約100人が生活 マットの上で眠る入所者

入所者が生活の場としていた2階全体が地震により壊滅的な被害を受けてしまったため、今はそれまで居住空間としては使用していなかった1階フロアで、約100人が暮らしています。

就寝前には、車いすの入所者を2人がかりでマットの上に移動させます。
スペースが限られているので、2つのマットの上に3人が身を寄せ合いながら寝なければならない状況です。

マットの上に身を寄せ合って眠る利用者
マットの上に身を寄せ合って眠る利用者

施設が直面している生活の厳しさについて、入所者の男性は…。

入所者の男性:
お風呂に入りたいですし、温かいもの食べたいですし、ゆっくり寝たいです。全部が中途半端になっています。便所も中々いけません、水が出ませんから。少しでも良くなってくれれば良いかなと思います。

苦しいのは入所者だけではありません。職員も厳しい状況に立たされていました。

介助をする職員
介助をする職員

――泊まり込みで作業されているのですか?
「百寿苑」統括主任 鬼平千穂さん:

24時間体制なので仕事して(仮眠室で)休まれてっていう人たちと、自宅が住めないので、一応ここで避難している職員もいます。

働いている職員も同じ被災者。普段とは違う状況下で疲労もたまる中、昼夜交代で仕事を続けています。

――昨日の夜はどれくらい寝ることができましたか?
職員の女性:

3時間も寝てないね。2時間半少し…夜はもう…。道路が寸断されて帰れない人もいるので。避難されている方で仕事も出てこれない方もいるので、どうしてもいる方で(仕事を)回すので負担は大きいですよね。

介護施設を襲う“新たな問題”

そんな中、新たな問題も浮上しています。屋外につながる扉の外には、今にも崩れそうな段ボールの山と大量のごみ袋が。

「百寿苑」統括主任 鬼平千穂さん:
お正月ごみを集めなかったので、その分もありますけど、それ以降の震災の部分の段ボールと、汚染した衣類なんですけど、洗濯ができないので。こういった状況で置いてあります。

ゴミの回収が行われないため、たまっていく一方に。
大きく“尿”と書かれたピンクの布袋には、入所者93名が日々履き替えるおむつが入っているといいます。

――回収のめどは立っていますか?
「百寿苑」統括主任 鬼平千穂さん:

立っていないです。市に問い合わせしても、回収のめどは立ってないということなので、しばらくは施設の方でこういうかたちで、保管と言えばいいのか…置いておくしかないので。

支援物資が届く一方で、増えていくペットボトルなどのごみ。現状ではどうすることもできず、衛生面での心配は増すばかりです。
(「めざまし8」1月10日放送より)