元日に襲った地震によって、甚大な被害が出た、石川県珠洲市。至るところで建物が倒壊する中、今も懸命な救助活動が行われています。

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そんな中、「めざまし8」の取材班が目の当たりにしたのは、震災の中で厳しい決断を迫られた家族でした。

被災後に迫られた“決断”

崩れた建物の下敷きになっている人がいないか、捜索が続く中、完全に倒壊してしまった自宅の前で、消防に間取りを説明している親子。

息子「この部屋の下あたりが、居間になってるんで…」
消防隊員「玄関にぶち当たらないですかね?」

息子「ちょっと無理じゃないですか…、ちょうどそこの出窓のところの下あたりにベッドがあるんで、そこ開けたら落ちてくるかも」

崩れ落ちた家の中に、家族が取り残されているようです。

――いま連絡がとれていないのは、どなたなのですか?
行方不明の男性の妻:

主人です。一緒にいたんですけど、私は流しにいて、お父さんは居間にいて。1回目の(揺れ)時はパッと出たみたいなんですけど。すぐに2回目(の揺れ)が来たので、私はもう棚と流し台の間に挟まれて、一時動けなかったんですよ。

自らも家具に挟まれながら、必死に夫に呼びかけましたが、その身をさらなる危険が襲いました。

行方不明の男性の妻:
お父さん!お父さん!って呼んだけど、返事がなかったんです。
私もしばらくここにこうしていたけど、津波が来たみたいで、座ってたらお尻が濡れたんで、慌ててなんとかどかして、出たんですけども、もう少しでしたね、私も。

久しぶりに帰省していた息子も、その時、家の中にいたといいます。

行方不明の男性の息子:
階段が折り返しになっていて、ちょうど踊り場みたいなところで地震に遭いまして。
1階の廊下の天井が落ちたりとか、そういうのを見ながら、そのうち埋まってしまって、ベランダの横くらいに、ちっちゃい天窓があって、そこから抜けてきた感じなんです。

――この状況からはい出す形で?
そういうことです。そこからベランダに乗って、扉を開けて部屋を通って、そこの出窓から道路に出たって形です。母親の声は聞こえていたんですけども。私が出たときは声が聞こえなくなっていて。たぶん悪戦苦闘してたんですけど。ちょっと判断がつかなくて…。
避難してる方々に、「命を優先しろ」と言われて…。申し訳ないんですけども一緒に避難したんです。
そのあとで、携帯がつながりまして。学校で合流できて。一緒に避難していた状況です。本当に父親には申し訳ないんですけど、(母が生きていて)ほっとしました。

自分の命を守ることを優先せざるを得なかったものの、その後、倒壊した家から出ることができた母親と避難所で再会できたといいます。

行方不明の男性の妻:
お父さん!って呼んだけど、ぜんぜん。私は助けてほしくて呼んだんですけど、ぜんぜん声しなかったです。だから、いっぺんに下になったんじゃないかなと思うんですけど…。

自身も一時閉じ込められ、津波が迫る中、逃げるだけで精一杯だった状況で迫られた“決断”。

取材後、近所の人たちの助けもあり、小型の重機などを使って、なんとかがれきを取り除いたところ、行方不明だった70代の男性が見つかり、死亡が確認されたということです。
(「めざまし8」1月4日放送より)