働く人の幸福度を診断

働く人の幸せについて、人材サービス大手のパーソル総合研究所が行った調査結果が7月15日に発表された。

調査によると、働くことを通じて幸せを感じていると答えた人の割合は44%

一方、不幸せを感じている人は20.2%だった。

雇用形態別では、フリーランスや自営業で幸せの実感度は高く、職位別では、係長、課長、部長と職位が上がるにつれて幸せの実感度が高まる結果となった。

60代はどの年代よりも幸せの実感が高い

さらに、年代別にみると、20代半ばから後半にかけては幸せの実感が減っている一方で、シニア世代の60代はどの年代よりも幸せの実感が高く、不幸せの実感が低いという結果になった。

パーソルは、20代の幸せの実感の減少については、「仕事を始めて間もないことから、能力不足を感じる傾向にあるからでは」と分析。

一方、60代の幸せの実感の高さについては、「自己抑制が低く、気負うことがないため、仕事の中で役割を見いだせているから」と分析している。

部下の幸せのためには…

また、今回の調査では、上司の行動と部下の幸せの実感との関連についても分析。

特に注目したのが、一緒に目標を設定することや仕事ぶりに見合った評価をする、ねぎらいの言葉をかけるといった行動だ。実際には30%未満しか行われていなかったが、部下の幸せの実感に影響しているため、意識的に行動すべきと指摘している。

働く人の本音は?

働く皆さんは、どんなところで幸せを感じているのか?街で聞いてみた。

――仕事に幸せを感じていますか?

通信関係(50代男性):
幸せを感じています。みんなで力を合わせてそれが完成した時とか。完成したものを喜んでもらった時とか。

営業・入社2年目(20代男性):
幸せは別に仕事では感じないです。やりがいは感じてやっているつもりなんですけど、まだまだ力不足で。もっとやれることはあるかなと。

メーカー勤務(50代男性)
すごく幸せです。自分が好きなことをやっているから。技術系の仕事をしていますが、去年、外資系に転職して。そこでいろいろな仕事を任されて自由にできるので。忙しいけどやりがいがあって、それなりに実績も上がってきているので楽しくやれています。勤務的にも自由にできるので。

(イメージ)

ビル管理業(40代)
部下は仕事の量も1人1人多くなってきているので、その辺は見極めて手伝ってあげながら。ただ押しつけるだけではなくて、ちゃんと話を聞きながらやってあげるというところですかね。昔は結構、ガンガン言われる時代を私もやってきたので、若い人にはそういうことがないようにしてあげたい。

飲食業(20代):
「お疲れさま」とか「ありがとう」という簡単な言葉でももらうと嬉しいので、それはいろんな方に伝えていきたい。みんながそう思っていたら、気持ちよく働けるようになると思うので。嫌なことや理不尽なことがそれぞれあると思いますが、何気ない一言が救いになるのかなと。

働き方改革のカギは「自己決定」

三田友梨佳キャスター:
さまざまな街の声がありましたが、働く人の多くが幸せを感じるには、どうしたら良いのでしょうか?今回は2人の方に話を伺います。まずは、哲学者で津田塾大学教授の萱野稔人さんです。

津田塾大学 萱野稔人教授:
何が人を幸せにするのかという問題は、学問の世界でもとても注目されていて、近年は多くの研究がなされています。その中でも特に注目されている要素が「自己決定」です。

自分の行動を自分で決められる余地が大きいほど、その人の幸福度は高まるということが広く指摘されています。職場でいうと、従業員がそれぞれの持ち場で自己決定できる度合いを引き上げていくと従業員の幸福度も上がり、その結果、仕事へのやる気や成果も高まると指摘されています。

三田友梨佳キャスター:
先ほども「幸せを感じている」という方の話の中で、勤務も自由にできるので、という話がありましたが、やはり職場において自己決定の余地を広げていくということは、今の働き方改革にも繋がりそうですね。

津田塾大学 萱野稔人教授:
まさにそうです。在宅勤務では、上司が仕事のプロセスを細かく管理することは不可能ですよね。そこで必要となるのが、各自がなすべき仕事の分担を明確化して、成果によって各自を評価することです。

その間の過程というのはある程度、各自の自己決定に任せざるを得ない。どこまで各自の自己決定の度合いを高められるか、それを創意工夫に繋げられるか。これが働き方改革を成功させる大きなカギの1つになると思います。

三田友梨佳キャスター:
柔軟性が生産性の向上にも繋がるということですね。では、働く人の自己決定を高めることを実際にビジネスの場で円滑に行うためにはどうすればいいのか、エコノミストで企業ファイナンスを研究している崔真淑さんに伺います。

テレワーク時代の管理職に求められる役割

エコノミスト 崔真淑コメンテーター:
1つだけ経済学の視点で注意したいことがあります。やりがいとか満足度が高まると、つい長時間労働をしてしまう。また、その逆もあることが研究から報告されています。そのため、テレワークに至っても「自分の裁量が高まった、楽しくなった、満足度が高まった」とつい長時間労働をして、体を壊してしまうといったことがあるかもしれません。

三田友梨佳キャスター:
私の周りでも「テレワークになって、1日中仕事をしているようでメリハリがない」という声も聞かれます。そういう場合、企業に求められることはどんなことでしょうか?

エコノミスト 崔真淑コメンテーター:
2つあると思います。まずは、従業員のやりがいを高めるための制度設計。そしてもう1つは「ねぎらい」と「健康ケア」です。満足度が高まって楽しくなり、幸福度が高まると、つい長時間労働をしてしまうかもしれない。だからこそ上司からのねぎらい、そして体を壊してないかの健康ケアが必要になってくると思います。

このテレワーク時代はそういったことが見えにくいということもあるので、これからの管理職の方のお仕事としては、部下が働き過ぎていないか、満足度が高まり楽しいからといって体を壊していないか、そういったことをケアしてあげる必要性が出てくると思っています。

三田友梨佳キャスター:
見えないからこそ、より相手の立場に寄り添ったケアが大切だということですね。

幸せの概念は人それぞれですが、自分らしい幸せを実現できる働き方を見つけていきたいと思いますし、柔軟な働き方を前向きに捉えて実践する会社が増えることを期待したいと思います。

(「Live News α」7月15日放送分)