東京・丸の内でイルミネーションを対話で楽しむイベントが行われた。目の不自由な人と丸の内で働く人が共に体験。そこで得た気づきをアイデアとして、街づくりに反映することが狙いだ。多様性のある社会がイノベーションを促進すると指摘されている。
対話で楽しむイルミネーションイベント
イルミネーションが光り輝く、東京・丸の内。多くの人が行き交う中を、木に触り、笑顔を浮かべるアイマスク姿の人たちが── 。
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これは14日、空間デザインを手がける乃村工藝社・大丸有エリアマネジメント協会・スタートラインが行った、ダイバーシティに関するイベント「Bright “Taiwa” Tour」の様子だ。
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目の不自由な人と丸の内で働く人が1つのグループになり、ガイド誘導のもと、クリスマス一色に染まった街を歩いて回った。
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ガイド:
レンガの上に何かが敷いてある。
上中勇樹キャスター:
少し、イチョウの香りが……。
ガイド:
何か当たっていません?
上中勇樹キャスター:
何か当たっていますね。
![LEDライトに触れてイルミネーションを感じる](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/b/700mw/img_eb104090dbbb80c67c0b7d999e8cccb3170491.jpg)
ガイド:
これが、イルミネーションのLED。
上中勇樹キャスター:
これがLED、小さいですね。触ってようやく、その実態がわかる。
視界を遮ることで見えてくる、いつもとは違った街のクリスマス。
![手をたたく音を聞いてストーンを投げる](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/3/700mw/img_e35cfa76492ae32052bd3c4821ae80fa211489.jpg)
さらに、カーリングの体験スペースもある。上中キャスターも、手をたたく音を頼りにストーンを投てき。
上中勇樹キャスター:
真ん中に行かなかった。方向は合っていたけど。音で距離感をつかむのは難しい。
イベントの最後には、参加者全員でディスカッションを開催。さまざまな“気付き”を共有した。
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参加者:
普段何げなく歩いている道が、きょう歩いてみたら時間が2倍くらい長く感じた。ささいな段差も怖いので、普段とは感じるものが違う。
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参加者:
体験したことのないカーリングとかができて楽しかった。横にいる人(ガイド)は、声や様子をなるべくくわしく言ってくれた方が、怖くないということがわかってもらえたならよかった。
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目が不自由な人と丸の内で働く人をつなげる街歩き。主催者は、この出会いの創出が今後の街づくりに生かされることを期待する。
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乃村工藝社・齋藤佑輔さん:
ボランティア(ガイド)や体験者は、街づくり・空間づくり・障害者の方を雇用する関係者。いろんな気付きがアイデアになって、いい街づくりに反映できればと思っている。聴覚や味覚だったり、いろんな五感を、体験コンテンツに変えて、さまざまなカテゴリーの方が楽しんでもらえるようなプログラムをいろいろと考えていきたい。
「誰もが楽しめる」を再認識
「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。
堤 礼実 キャスター:
今回の試み、どうご覧になりますか?
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早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
今回の試みを通して考えてほしいのは、イルミネーションは視覚だけで楽しむものと決めつけることは、アンコンシャスバイアス、無意識の偏見なのかもしれないということです。
イルミネーションは光を見て楽しむだけでなく、感触や温度など、さまざまな感覚で楽しむことが提案されています。
大切なのは、さまざまな人がいて、さまざまな楽しみ方があると考えることです。どれだけ決めつけをしないかということが、ダイバーシティの促進に大切なことだといえます。
堤 礼実 キャスター:
「誰もが楽しめる」これは大切ですよね。
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
私は昔、電機メーカーでテレビの商品企画の仕事をしていたのですが、「テレビは見るもの」と決めつけてはいけないんです。
視覚に障害がある人でも使いやすいように、リモコンの特定のボタンに突起をつけたり、1つのボタンは必ず1つの機能にするなど、ユニバーサルデザインの仕様を考える必要を職場で教わりました。
多様性の理解が社会全体の有用性へ
堤 礼実 キャスター:
誰もが暮らしやすい社会へと変えていくには、どうしたらいいのでしょうか?
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早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
これまでダイバーシティについては、社会のあるべき姿として、モラルや倫理の範ちゅうとされる傾向がありましたが、実は多様性のある社会の方がイノベーションを起こしやすいんです。
イノベーションとは、異なるものと異なるものが結合して生み出されます。多様性のある社会こそ、イノベーションが起きたり、発展が促されるのです。
堤 礼実 キャスター:
そういう意味でも、今回の試みは意義のあるものですよね。
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
今回、健常者がアイマスクをして、視覚に障害がある人と同じスタイルでイベントを楽しもうという提案がされています。
誰もが、さまざまな状況にある人たちを理解して、一緒に楽しめるというのは、すべての人を包み込むインクルージョンの促進に、有効な手段だということが言えると思います。
年末年始にさまざまなイベントがありますが、すべての人がいろんなスタイルで新しい年を楽しく迎えることができるといいですよね。
堤 礼実 キャスター:
こうした取り組みをきっかけに、普段の生活の中でもさまざまな角度から物事をとらえ、想像力を膨らませることで、自分自身、そして、多くの人の世界が広がっていくのかもしれませんね。
(「Live News α」12月14日放送分より)