自民党安倍派の政治資金パーティーを巡る問題。
政治学が専門の北海学園大学の山本健太郎教授に聞いた。
そもそも政治資金パーティーとは何？
政治資金パーティーは、政治家や派閥などが政治活動に必要な資金を集める有料のイベント。
個人的に献金を集めたり、政党からお金を受け取ることもありますが、パーティーの収入は政治資金の大きな割合を占めている。
パーティー券は、1枚2万円程度が相場。パーティー券を売り集めた金額から、会場代や飲食代などの経費を差し引いた金額が政治資金になっている。
パーティー券キックバックの仕組みとは？
派閥に属している議員が個人や企業などに、1人あたり2万円のパーティー券の購入を依頼する。
購入した個人や企業などがパーティー券代を、派閥に対し支払う。
派閥が、派閥に所属している議員にキックバックとしてお金を渡す。
この仕組みは、情報を公開しているのであれば政治資金規正法に抵触しない。
何が問題だったのか？
収支報告書とは、派閥がパーティーを開催した時の「収入」と、かかった「経費」の情報を公開する書類のこと。
今回は、企業などが購入したパーティー券代について、収支報告書に記載がなかったのだ。
さらに派閥から議員への”キックバック”についても収支報告書に記載がなかったことが問題となる。
なぜ収支報告書に記載していないのか？
議員本人の説明を待ちたいが、収支報告書に記載しないことで、なんでも自由に使える、使い勝手の良い金、すなわち"裏金"という形になったのでは。
収支報告書に記載されていないため、私腹を肥やしたり、買収などに使われたとしても全く分からない。
また、パーティー券代やキックバックには"税金"がかからないのだ。
今回の問題発覚について、道民の意見は？
「トップに立つ人が自分から（規則を）崩しているのはダメだ！」
「誰か一人ぐらい、やりましたと言えばよいのに」
「『良くない』というより『ずるい』よね。日本に希望はない」
といった厳しい意見が多いようだ。
北海道選出の"安倍派"議員は？
北海道内には安倍派の議員が5人います。UHBが独自にアンケートを送った。
『Q：あなたはキックバックを受けたか？』という質問に対し、以下の回答が得られた。
参議院議員 橋本聖子 氏（比例代表）：「全体を調査して説明責任を果たしたい」
参議院議員 長谷川岳 氏（道選挙区）：「キックバックは受けていない」
参議院議員 高橋はるみ 氏（道選挙区）：「事実関係を調査し適切に対応する」
衆議院議員 堀井学 氏（比例道ブロック）：「調査結果が出るまで回答を差し控える」
衆議院議員 和田義明 氏（道5区）：「派閥が事実確認して対応するので待ちたい」
長谷川岳氏のみが「受けていない」とはっきり答えているが、その他の4議員は明言を避けた形の回答になった。
なぜ”キックバック”がなかったと明言できないのか？
なぜキックバックがなかったと明言できないのか。
多くの議員がキックバックを受けていると報じられているなかで、党としてどのように情報公開していくかが決まっていないということが影響しているとみられる。
もともと領収書がいらないお金ということで、なかなかはっきりした形で皆に説明するのも難しい。
金額が大きく常習性があるという点で今は安倍派が問題になっているが、他の派閥にも似たような問題が起こっている可能性もあるので、引き続き注視していかないといけない。
どうする？どうなる？岸田政権
12月12日、松野官房長官に対する不信任決議案が衆院本会議で否決され、12月13日に臨時国会は閉幕。
岸田首相は週末にも、安倍派の閣僚や政務三役などを事実上の更送、自民幹部も交代し、安倍派と袂を分かつことになりそうな動きを見せている。
岸田政権が2024年9月に控える自民党総裁選まで果たして持つのか。今回の裏金疑惑により党内基盤も弱くなるので、非常に難しい状況といえる。
また総裁選の前に選挙に打って出ようにも、「疑惑隠し」と批判されることになり、こちらも難しい状況だ。
