砂糖の原料になる「サトウキビ」。国内では、沖縄県や鹿児島県が主要な産地だが、島根・出雲市でも特産品を目指す動きがある。
冬場には積雪もある山陰で、なぜ「サトウキビ」なのか?その背景をJALふるさと応援隊の湯町果歩さんが取材した。
収穫を体験「すごく甘い!」
特産化を目指すサトウキビが栽培されているのは、出雲市美談町。生産者の三代正幸さんに畑へ案内してもらった。
![収穫間近のサトウキビは高さ3メートルにまで成長](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/9/700mw/img_c9740698a77c33db3043b7e393c3fb65649423.jpg)
やがて目に入ったのは、収穫間近の「サトウキビ」。
高さ3メートルほどに成長し、JALふるさと応援隊の湯町果歩さんも「背が高いですね」と驚いた。
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砂糖の原料になるサトウキビは、温暖な気候を好み、国内生産量の99%を沖縄県と鹿児島県で占めている。出雲市では2018年に生産が始まり、現在10アールほどで栽培されている。
まもなく収穫期ということで、湯町さんが特別に収穫を体験した。
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鎌を手に、茎を切ろうとした湯町さんだが、あまりの硬さに「鉄を切っているみたい」に感じられたようだ。それでも何とか刈り取り、採れたてをかじってみると…。
JALふるさと応援隊・湯町果歩さん:
すごく甘いです
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生産者・三代正幸さん:
糖度が20度くらいあります
サトウキビを新たな特産品に
こうして収穫目前まで育ったサトウキビ。
冬場に積雪もあり、生育には一見厳しそうな山陰・出雲と何かつながりがあるのだろうか。三代さんに聞いてみた。
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生産者・三代正幸さん:
昔、出雲国でもサトウキビを作っていた時代があったようで、試しにやってみようと。温暖化もしていて、育つのでは
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出雲の歴史を記した史料には、江戸時代後期、出雲でサトウキビを栽培していたとみられる記録があった。
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これに目をつけ、新たな特産品にと考えたのが、出雲市で約300年の歴史をもつ和菓子の老舗「來間屋生姜糖本舗」だ。市内の農家などと「出雲サトウキビ栽培研究会」を立ち上げ、栽培に取り組んでいる。
出雲サトウキビ栽培研究会・來間久会長(來間屋生姜糖本舗):
こちらが出雲で栽培したサトウキビを黒糖にしたものです
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JALふるさと応援隊・湯町果歩さん:
想像していたより、色が薄くてキャラメルのような色ですね
出雲サトウキビ栽培研究会・來間久会長:
もっと黒いと思われるが、加工しているところでしっかり「アク取り」をしているので、このような色になっている
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手がけるのは自然の恵みが詰まった黒糖だ。試食した湯町さんは「コクがあって、酸味のようなものもあります」と感想を話した。來間会長によると、出雲のサトウキビは生育の北限に近いところで栽培されているため、味わいにもこうした特徴が現れるそうだ。
出雲のサトウキビから採れた黒糖は、主に來間屋生姜糖本舗で販売。
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今シーズンの収穫分は2023年1月ごろから販売され、このほか「黒糖みつ」も店に並ぶ予定だ。
“知る人ぞ知る”特産品に
ようやく製品化が軌道に乗り始めた出雲のサトウキビ。しかし、取り組みは初めから順調だったわけではない。
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栽培1年目に芽が出た苗はわずか2本。従来の品種では十分に育たなかった。
そこで、成長が早く、寒さが本格化する前に収穫できる極早生品種を高知県から取り寄せると安定して生育。今では約1トンを収穫できるようになった。
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湯町さんが出雲のサトウキビのこれからについて聞くと、來間会長は「沖縄、鹿児島の黒糖が有名だが、出雲で栽培して、黒糖に仕上げると味も全然違うものができるので、ここならではのサトウキビというのを加工して届けたい」と目標を掲げた。
研究会のメンバーはまだ10人ほどだが、今後は生産農家を増やし、出雲のサトウキビを“知る人ぞ知る”新たな特産品をしたいと意気込んでいる。
(TSKさんいん中央テレビ)