鹿児島市役所のコロナ対策が話題
新型コロナウイルスの影響で、いろいろな施設で予防対策が取られている。そのような中で、鹿児島市役所の一風変わった対策がTwitter上で話題になっている。
窓口に設置された、透明な“感染予防対策シート”に、人気漫画を想起する「バァーン」や人気RPGを彷彿とさせる「しょくいんがあらわれた!!」といったデザインが施されているのだ。
話題になるきっかけは、鹿児島アイドル「MINGO!×MINGO!」のプロデューサー・有村トモナリさんのツイート。
鹿児島市役所の「感染予防対策シート」に、少しでも市民に元気を出して欲しいと言わんばかりに、明るく、楽しげな工夫が施されていました!
— 有村トモナリ (@Nari_Mura) July 10, 2020
何か「市の職員とか頭固くて暗い人ばかりなんじゃないか?」と勝手に決め付けていた自分が恥ずかしいです😥
なんだー、俺と同じサブカル好きじゃねーか(笑) pic.twitter.com/RrHt0kEOED
感染予防対策シートの画像とともに、「鹿児島市役所の『感染予防対策シート』に、少しでも市民に元気を出して欲しいと言わんばかりに、明るく、楽しげな工夫が施されていました!」と報告したのだ。
「何か『市の職員とか頭固くて暗い人ばかりなんじゃないか?』と勝手に決め付けていた自分が恥ずかしいです」との感想を綴っている。
このツイートは話題となり、4万以上リツイートされ、11万以上の「いいね!」がついている。(7月14日現在)
「コロナを越えるアートプロジェクト」の一環
この作品はNPO法人かごしまアートネットワークとの共同企画「コロナを越えるアートプロジェクト」の一環として、鹿児島市役所の窓口に7月6日に設置されたもの。
デザインしたのは、鹿児島市のアートコンテスト「鹿児島市春の新人賞」を受賞した5人の作家だ。
5人それぞれの個性が際立った作品が並んでいる。




そして、話題となった「バァーン」や「しょくいんがあらわれた!!」は画家・小牟禮雄一さんの作品だ。
「しょくいんがあらわれた!!」の作品は、さらにコマンドとして「はなす」「はげます」「はんこ」「しょるい」とあり、細部にまでこだわりを感じる。


何の変哲もない感染予防対策シートをキャンバスに見立て、アートとして展開した今回のプロジェクト。こうした一風変わった取り組みを、窓口に来た市民の方々はどのように受け止めているのか?
鹿児島市役所の担当者に話を聞いた。
市民からは「面白いですね」などと好評
――どのような思いがあって、今回の取り組みを行った?
新型コロナウイルスの感染が心配される状況で、「アートで何かできることがないか」「皆さんを元気づけ、ポジティブな気持ちにできないか」と、NPO法人かごしまアートネットワークの方と話している中で、今回の企画のアイディアが出て、実施することになりました。
――デザインが施されているのは感染予防対策シートだけ?
感染予防対策シートだけです。窓口に付けていたシートの上に、5人の作品を貼り付けました。
――作品を設置している場所を教えて
市民課と国民健康保険課です。窓口の業務に支障がない範囲で設置しています。

――5人の作家さんは一人で何作品デザインした?
一人につき4~7作品で、全部で28作品あります。
――市民の方々の反応は?
「きれいですね」「面白いですね」といった声があり、撮影をする方もいらっしゃいます。
――Twitterで大きな反響。これはどのように受け止めている?
前向きに受け止めてもらえたのはうれしいです。

「感染予防対策シートに壁を感じていた」
「バァーン」や「しょくいんがあらわれた!!」をデザインしたのは、高校の教員をしながら画家をしている小牟禮雄一さん。

今回のデザインにはどのような思いが込められているのか? 続いて小牟禮さんにも話を聞いた。
――「バァーン」や「しょくいんがあらわれた!!」といったデザインにはどのような思いを込めた?
感染予防対策シートには少しだけですが“壁”のようなものを感じていまして、デザインを施した感染予防対策シートをきっかけに、窓口担当者と市民の間でコミュニケーションが生まれればと考えました。
――「バァーン」や「しょくいんがあらわれた!」以外には、どんなデザインがある?
「天使」と「星」、「ナマケモノ」があります。


――小牟禮さんが描いた“絵画”と“今回のデザイン”はテイストが全く違う。これはどうして?
今回は自分の作品の発表の場ではないので、“一笑い”を意識しました。

――Twitterでの反響はどのように受け止めている?
直接は反響が届いていないので、ピンときていません。
――高校の生徒からの反響は?
今のところ、まだ何も言われていません。
――これからでは?
そうですかね。
なお、アート展示の終了時期は決まっておらず、当面の間は見ることができるという。
様々な場所に設置されている、“感染予防対策シート”。声が聞き取りづらく、たしかにシート越しで対面する人と“壁”のようなものを感じることもある。
今回の鹿児島市役所のような取り組みが広がると、コロナ禍でギスギスした気持ちが和らぐ瞬間も増えていくのかもしれない。
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