毎年、お盆の時期に京都の夜空を彩る「京都五山送り火」。

資料提供:京都五山送り火連合会事務局

「大文字」をはじめ「妙」「法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の送り火が京都の夜空を焦がす。
これは、京都のお盆の伝統行事で、毎年8月16日に先祖の霊を送るために行われているものだ。

資料提供:京都五山送り火連合会事務局

この「京都五山送り火」が、今年は新型コロナウイルスの影響で、規模を縮小して行われることになった。

火を灯す火床の数を大幅に減らし、「大文字」の場合は75カ所から6カ所に、他の文字や形も1~2カ所になるという。

今回、なぜこのような形で行われることになったのか?
また火床が少なくなることで文字や形はどう見えるのか?そして送り火の効果は薄れないのか?
京都五山送り火連合会事務局に詳しく話を聞いた。

市民・観光客・スタッフの密集・密接を回避するため規模縮小

――様々なイベントが中止となる中、決行に至った理由は?

新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点により、市民や観光客の方々、送り火を執行する保存会の会員の密集・密接を回避するため、今年は例年どおりの点火は行いません。

なお、各送り火保存会にて古来の送り火の在り方を残しつつ、規模を縮小し、お盆にお迎えした御先祖様の霊をお送りするための送り火行事を行う予定です。

――送り火はどれだけ規模を縮小して行う?

あくまで予定ですが、以下となります。
大文字送り火:75箇所→6箇所
松ケ崎妙法送り火:「妙」103箇所→1箇所、「法」63箇所→1箇所
船形万燈籠送り火:79箇所→1箇所
左大文字送り火:53箇所→1箇所
鳥居形松明送り火:108箇所→2箇所

資料提供:京都五山送り火連合会事務局

火床が少なくなっても送り火には変わりない

――通常通りの送り火の数だと作業する側も密になる危険はあった?

はい、そうです。送り火の火床が少なくなれば、必然的に従事する人数も少なくなり、密集、密接を避けることにつながります。

――火床を少なくすることで、送り火の効果は薄れない?

送り火とは、お盆にお迎えした御先祖様の霊をお送りするための行事です。
京都五山送り火においては、例年どおりの文字や形を灯すことでもある一方、一つの火床で送り火を焚くことも送り火であり、お盆に帰ってきた先祖の霊をあの世に送ることは変わりないと考えています。

文字の認識を目的としていない

――「大」の文字は、火床が75カ所から6カ所になるが、文字は認識できる?

今回は文字を御認識いただくことを目的としておりません。
また、これまでこのようなことがなかったことなので、認識できるかは分かりません。

左:6カ所の点火イメージ図 右:今年はこう見える?

――事前に送り火のシミュレーションは行う?

点火する火床の数が例年より少ないということだけで、火床での作業は例年と変わりませんので、御質問の見え方のチェックなどは行いません。
特に今回は多くの方が集まって見学されることを避け、御自宅で静かに御先祖様の霊を送っていただきたく思います。

――文字や形が認識できないという反対の声は?

例年どおりの文字や形でも送り火、一つの火床でも送り火であり、お盆に帰ってきた先祖の霊をあの世に送ることができることには変わりません。

新型コロナウイルスの影響を見つつ、これまでの間、今年の送り火を実施する、しないの議論だけではなく、どうすれば送り火を護り、後世に伝えていけるかを京都五山送り火連合会、そして、各保存会で議論してまいりました。
議論の結果、「送り火」の原点に立ち返り、送り火の意義を改めて見つめ直すことが大切だと考えております。

終息の目途立てば、来年以降は例年通りの送り火に

――来場者へお願いすることは?

今年の京都五山送り火は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、大幅に規模を縮小して実施します。各保存会も従事する人数を縮小し、自宅で送り火を静かに見守るメンバーもいますが、思いは一つです。
皆様も込み合う場所にお出かけにならず、御自宅で静かに見守っていただきたいと思います。

また、withコロナの新しい見方として、中継が予定されていますテレビ、インターネットで
御覧いただくこともお試しいただきたいと思います。

――毎年、送り火を鑑賞する人に向けてメッセージを!

送り火はお盆に帰ってきた先祖の霊を再び冥府(あの世)にお送りするための行事です。今年の8月16日は御自身の先祖(先人)に想いを馳せられ、静かにお過ごしください。
新型コロナウイルス感染症終息の目途が立てば、来年以降、例年どおりの壮大で美しい送り火を灯します。

現在、全国各地で新型コロナウイルスの感染者が相次いでおり、終息の兆しはまだまだ見えてこない。今年はそれぞれの頭の中で文字や形を想像することになるが、来年は、担当者が話すような壮大で美しい送り火を灯して欲しい。
 

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