“線状降水帯”が福岡市を襲ったら…

その脅威が、各地で日に日に大きくなっている。

熊本県南部を襲った豪雨。球磨川が、見る見るうちに増水し、濁流が町をのみ込んだ。
もし、あの時と同規模の「線状降水帯」が福岡市内を襲ったとしたら…。

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近くに住む人:
河川工事やってるはずなんですよ。だから、あんまり心配はしてないけど

近くに住む人:
ここも氾濫するんじゃないかと思いますね。特にカーブしてる所とか

福岡市内を流れる河川は、果たして耐えられるのか。
専門家との現地取材で明らかになった驚きの事実とは…。

訪ねたのは、福岡市内の中心部を流れる樋井(ひい)川。
河川工学が専門、福岡大学の渡辺亮一教授は、市内の河川がはらむリスクを断言した。

ーー球磨川流域での豪雨と同規模の雨が、もしこの市街地を襲った場合どうなる?

福岡大学(河川工学) 渡辺亮一教授:
こういう県が管理している2級河川は、全てが至る所であふれるという結果になる

福岡市内を流れる御笠川、那珂川、樋井川、室見川など主要な河川が、その豪雨に耐えきれず軒並み氾濫するという。

今から11年前、かつてない豪雨で氾濫した福岡市内の河川。
あの日を教訓に、樋井川でも護岸の整備や、川底を掘る浚渫(しゅんせつ)といった河川改修が5年かけて行われた。しかし…。

福岡大学(河川工学) 渡辺亮一教授:
平成21年7月24日の水害を受けて改修されている。ですから、その時の雨と同じ降り方であれば浸水被害は発生しないという設定になっている。ただ球磨川の雨というのは、軽くそれを超えてますんで、当然、あふれます

県が樋井川の改修をする際に想定した雨量は、氾濫した当時の6時間で186mm。だが、今回の球磨川流域を含めた熊本県南部での雨量は、同じ6時間で最大400mmから500mmに上った。

専門家が指摘 都市部の河川ゆえのリスク

福岡大学(河川工学) 渡辺亮一教授:
あそこです

渡辺教授が現地で指摘したのは、都市部の河川ゆえのリスク。

福岡大学(河川工学) 渡辺亮一教授:
樋井川支流の七隈川が左から流れて来てて、合流する時に流れ同士がぶつかるので、水位が上昇しやすい箇所になる。福岡市内の川で実は一番気を付けてほしいのは、水位が上昇する速度が異常に速いということなんです

ーーどのぐらい?

福岡大学(河川工学) 渡辺亮一教授:
10分で2メートル程度、この樋井川では上がりますから。球磨川の場合だと、数時間で2メートルという上がり方。それでも被災者は恐怖を感じたとおっしゃっている

都市部は、雨水が地下に浸透せず、一気に川に集まるため、水位が上昇しやすいという。
その上昇スピードは、樋井川で過去計測した際、10分でなんと2メートル以上だった。
もし、それが帯状に連なった積乱雲「線状降水帯」で一定の場所に雨を降らせ続けたら、あっという間に氾濫となりかねない。

福岡大学(河川工学) 渡辺亮一教授:
いったん線状降水帯がかかってしまうと、同じ所にず~っと雨が降り続けるので、10分ぐらい見てたら堤防の半分以上まで、次の10分でも同じような雨が降ってしまうと、同じように確実に上昇して、20分ぐらいで堤防を越水してしまう可能性が高い

“1000年に1回レベル”は「球磨川で起きた雨に近い」

では実際に氾濫した場合、どれだけの範囲が水につかってしまうのか?
樋井川流域の浸水ハザードマップは、「1000年に1回」の大雨が降ったとの想定で作られた。

福岡大学(河川工学) 渡辺亮一教授:
要は、1000年に1回レベルの想定というのが、ほぼ球磨川で起きた雨に近いと考えておかしくないと思います。樋井川の構造的特徴は、川の堤防の方が高くて、水が入っていくと街中にザ~っと浸水被害が拡大する箇所があるということ

ハザードマップによると、西は早良区藤崎、東は中央区赤坂まで浸水してしまう。
川からあふれた水は、南北にもかなり広範囲に街をのみ込んでしまう。浸水の高さは、3メートル以上に達する箇所もある。

線状降水帯がもたらす川の危険な水位上昇。そして氾濫。
近くに住む人は…。

近くに住む人:
低いですもんね、海抜もそんなに高くないし。人ごとには思えない

近くに住む人:
前回氾濫した時も、水が駐車場の方とかに入ってきましたので、気を付けている

ーーハザードマップは?

近くに住む人
見てます。今は予測できないくらい大雨が降るので

球磨川で起きた氾濫を「わが事」として捉える声もある一方で…。

近くに住む人:
水に対しての注意は、あまりない

ーー2009年に氾濫したが…

近くに住む人:
2009年ですか、(被害がなかったので)記憶がもう飛んでますね

近くに住む人:
(過去の氾濫を)知らないです。福岡、地元じゃないので

福岡大学(河川工学) 渡辺亮一教授:
福岡市の水害を考えるときに一番怖いのは、人の入れ替わりが非常に激しい街で、新しく来られた方は、水害が発生したという記憶がまずないということと。ほぼ意識をしていないというのが一番危険。いま一度、住んでる場所のハザードマップを見て、水が来たら2階に上がろうとか、まだ水が来る前であれば十分高い建物に避難するとか、マニュアル的に決めた方がいいと思う

(テレビ西日本)