普段のふわふわした姿から一転、シュッと細くなった鳥の姿が、X(旧Twitter)で話題となっている。
飼い主さん(@harugarden0206)は、オーストラリアガマグチヨタカのガブリエルくん、通称ガブちゃん(3歳)と一緒に暮らしている。ガブちゃんは普段は二頭身ほどで、つぶらな目と大きな口が可愛らしい、ふわふわな男の子だ。

しかし、飼い主さんが投稿したある日の1枚の写真には、ふわふわな姿が見る影もなくなったガブちゃんの姿があった。
窓枠に立つガブちゃんは、頭も体も全身がしぼんだかのようにシュッと細くなっている。つぶらな目までもが細長く見える。羽の模様なども相まってまるで木のようだ。

飼い主さんによると、夜は部屋で放し飼いにしていて、朝にケージへ戻しているのだそう。この日、朝に迎えに行った際、携帯で音楽を流しながら部屋に入ったところ、一気に細くなったという。
このガブちゃんの変わりようには驚いた人が多くいたようで、投稿には「空間が歪んでるのかと思いました……!!」「こんなに細くなるのね、ひぇ~」「一瞬、なんの動物か解らなかった(笑)」とのコメントが多く寄せられている。12月7日時点で5万2000のいいねが付く話題となっているのだ。
飼い主「ビックリさせてごめんなさい」
丸い姿も細い姿も、どちらも違った魅力があって可愛らしいガブちゃんだったが、細い姿は普段から見ることができるのだろうか?
飼い主さんに話を聞いてみた。
ーーガブちゃんについて教えて。
あまり周りを気にしない鈍臭いところがあるマイペースな子です。コンパニオンバード(編集部注:見るだけでなく手に乗って遊んだりできる鳥)と言われる鳥さんは、飼い主にべったりだったり呼べば来たりすると思うのですが、我が家のガブちゃんは呼んでもガン無視したり、チラッと見るだけで相手にしてくれない事も多いです。
でも、夜の放鳥時間は飼い主の姿が見えないと近くまで飛んできたりするので、それなりに飼い主の存在は認めてくれているようです。

集中すると周りが見えなくなるのか、物が置いてあっても気にせず踏み越えていきます。なので、物につまずいたり踏み外したりします。でも、その歩いていく姿はとても可愛らしいですよ。
部屋の中で飛びますが、猛禽類と違い握る力は強くないので着地はそれほど上手くありません。手に乗る時も握るより乗っかるだけなので移動の時はヨタヨタすることが多いです。

ーーどれくらいの間、細くなっていたの?
部屋に入ってきたのが飼い主だと認識したら元に戻るので、この時は長くて2、3分だと思います。
目だけチラッと確認するようにこちらを見てきました。この時は目を細めているだけですが、全力で擬態している時はほぼ目もつむっているように見えます。本人は木になっているつもりなので触っても動きません。普段のフワフワな感じはなく感触はかたいです。

ーー細くなったのを見た時どう思った?
いつもは音楽を流したりしないので「ビックリさせてごめんなさい」という気持ちと、音を消して声掛けしながら近づいてもこの状態だったので「飼い主だよ、飼い主。いつも一緒にいるじゃん」という飼い主の立場は??って気持ちもありました。
知らない人を見た時や飛行機の音でも…
ーー細い姿に対する感想は?
細いな薄いな頑張っているなって思います。普段は羽でふっくらしているのにペタンコに身体をかたくして擬態するって力がいると思うのです。触っても動かないし、そんな一生懸命に擬態しているところは可愛いですよね。
そして、自然界だったらきっと見つけられないなと思います。なので、ロストしないようにと改めて思ったりもします。

ーー普段からよく細くなる?
朝、部屋の扉を開けると擬態していたというのは意外にあって、月に2、3回くらいです。飼い主が扉を開けてというのもありますが、窓から大きな鳥(サギの仲間)が飛んで行くところを見てもそうなります。
また、外で日向ぼっこや水浴びをさせるのですが、その時に知らない人(あまり見ない隣の人や配達してくれる人、騒ぎながら通る子供や家族連れなど)を見た時や飛行機が飛んで行く音で細くなる時もあります。

ーー投稿はたくさんのいいねが付く話題となっているが?
これは本当にビックリしています。ガマグチヨタカを飼って擬態している姿は何度も見ていたのでそれほど珍しくなかったのですが、世間では珍しいんだなと思いましたし、いただいたコメントもみんな好意的なもので嬉しかったです。これほど多くの方に見ていただけるとは思っていなかったので恐縮しております。

なお、投稿画像のその後は、目だけチラッと見てきた時に飼い主さんだと認識したようで、ふわぁっと徐々に元に戻っていったという。その時によって、なでたりして触ったら戻るときもあれば触らずに戻るときもあるとのことだ。
専門家「天敵に狙われにくくするため」
飼い主さんは見慣れているという細くなった姿。周囲に反応して変化しているようだが、どんな理由で細くなるのだろうか?
神戸どうぶつ王国の飼育スタッフ・小村潤さんに教えてもらった。
ーーオーストラリアガマグチヨタカはどんな鳥なの?
ヨタカ目オーストラリアガマグチヨタカ科
生息域:オーストラリア
体重は約300g。昆虫、小型爬虫類や哺乳類を食べます。
個体によりますが比較的大人しい性格で、大きながま口が特徴です。
普段見られる様子としては、日中はじっとしておりほぼ動かず、夜間に活動します。

ーー細くなる理由は?
細くなることで木や枝に擬態し、天敵に狙われにくくしています。
ーーどのガマグチヨタカも細くなるの?
どの個体も細くなることは可能です。周りの環境に慣れるにつれて、細くなる頻度は減ると思われます。初めて見たものや苦手な動物などに気づいた際に細くなることが多いです。野生では、日中細くなっていることが多いようです。
本日の毛玉#ガマグチヨタカ
— haru_garden (@harugarden0206) November 15, 2023
飼い主が音楽かけながら部屋に入ったので細くなってしまいました
ごめん pic.twitter.com/sdD2tTPgjQ
普段のふわふわな姿から、身を守るために木に擬態して細くなった姿。他にも、がま口を大きく開いた姿やひなたぼっこでまったりしている姿など、その時々でさまざまな姿を見せるというガブちゃん。
これからもいろんな可愛らしい姿で飼い主さんを魅了していくことだろう。