茨城・笠間市の養鶏場で、鳥インフルエンザウイルスの陽性が確認され、約7万2000羽のニワトリの殺処分が始まっている。感染は今シーズン全国で2例目だ。今後感染が拡大した場合、卵の価格が一段と上昇し、クリスマスシーズンに影響が広がる可能性がある。

茨城で鳥インフル確認

26日、笠間市の養鶏場で約450羽のニワトリが死んでいるのが見つかり、県が遺伝子検査をした結果、高病原性鳥インフルエンザの疑いが高いことが分かった。

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県は27日午前9時ごろから、この養鶏場で飼育されている約7万2000羽のニワトリの殺処分を始めたほか、半径3km以内にある他の養鶏場に対し、ニワトリや卵の移動を禁止している。

今シーズンの鳥インフルエンザの感染は、佐賀県の養鶏場に次いで全国で2例目だ。11月25日には今シーズン初めて、佐賀県で鳥インフルエンザの感染が確認され、約3万8000羽が殺処分された。

心配される卵の価格高騰

相次ぐ鳥インフルエンザの確認で、今後の卵の値段が心配だ。

昨シーズンは、2022年10月末に鳥インフルエンザの感染が確認されてから2023年4月にかけて、全国26道県で84事例に拡大し、過去最多の約1771万羽が殺処分の対象となった。

その影響もあって、卵の供給不足が深刻化し、2023年に入って卵の価格は高騰。2023年1月のスーパーの卵売り場の映像を見ると、「卵の卸値が高騰しています」というポップが貼られ、この時は1パック321円で売られていた。

卸値も過去最高水準で推移した。Mサイズの価格は2022年の10月は1kg239円だったが、4月には1kg350円にまで高騰した。6月に感染収束を示す宣言が出され、その後、価格は下落傾向に変わって、11月の平均は1kg254円にまで下がっている。

クリスマスケーキにも打撃か

今後、卵の価格はまた高騰していくことになるのだろうか。

農水省は「卵は冬に入り、鍋用の食材として使われるのに加えて、クリスマスシーズンを迎え、需要が一段と高まっていく。このタイミングで感染が拡大すれば、価格の上昇が想定される」と警戒している。

また、感染拡大はクリスマスケーキにも打撃になる可能性が出ている。

前年と比べた10月の物価の伸びをみると、ケーキの原材料では、小麦粉が4.3%、バターが13.0%、砂糖が16.4%、牛乳が19.8%上昇したほか、卵が、今回の鳥インフルエンザ確認前の段階で28.3%と、大きな上げ幅となった。

これから感染が拡大した場合、卵の価格が一段と上昇すれば、クリスマスシーズンに影響が広がる可能性がある。

「パティスリーISOZAKI」の磯崎賢博さんは、「予約分は2022年と同じ値段で受けているが、それ以降は10%くらいの値上げを考えている。乳製品や小麦の値上がりに加えて、箱代や人件費など軒並み上昇していて、上がってないのは私の給料くらい」と悲痛な声をあげている。
(「イット!」 11月27日放送より)

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