千葉・市原市の中学校での「いじめ重大事態」。学校側の「隠ぺいの証拠」として被害生徒側が採用を求めた音声をめぐり、21日、記者会見が紛糾した。

この記事の画像(10枚)

記者:
実際、音声データはお聞きになった?

再調査委:
お聞きはしてないです。

記者:
音声を聞いてれば、まだ事態が変わったかもしれない。事実認定とか。どういうつもりなんですか?なんで聞いてないんですか?一番の証拠じゃないですか。

再調査委:
一番の証拠かどうかは……。

記者:
だからさー、なんでなんだって言ってんだよ。

再調査委“音声”聞かず…「なぜ?」質問には無言

市原市では、中学校の同級生から蹴られるなど暴行を受けた生徒が、2022年12月から不登校となり、教育委員会の調査で「いじめの重大事態」と認定された。

さらに、保護者からの求めに応じ、第三者による再調査が行われ、21日に最終報告書が公表された。

その中で、学校側について、いじめを当初「じゃれ合い」と認識していたとしているが、被害生徒の家族と学校側が面会した際の音声では、異なるやり取りがあった。

(音声の内容)
保護者側:

じゃれ合う仲じゃなかった、仲が悪かった、そんな関係ではなかったということで、先生もそういう認識だったということで、そういうことでよろしいですよね。

学校側:
はい、そうです。相手(加害生徒)が「じゃれ合っていた」と言うので、言葉を使わせていただきました。

当初から学校側も、被害生徒と加害生徒が「じゃれ合うような仲ではなかった」と認識していたと明言。しかし再調査委員会は、この音声を聞かずに報告書をまとめたという。

無言
無言

その理由について、会見で記者が「(音声データを)受け取らない判断をとられたのは、どういった判断ですか?」と質問したが、再調査委は無言で返答はなかった。

記者はさらに「音声を聞いていないにもかかわらず、ヒアリングで十分ですという判断を第三者委員会でされたと思うのですが、保護者からとしては、それで十分じゃないですということで提出されていると思います。その点をどうお考えか教えていただけますか?」と迫ったが、再調査委は黙り込んだままだった。

「音声データは扱いが難しい」

そして質問からおよそ1分後、ようやく出てきた言葉は・・・

再調査委員会:
お答えするのはなかなか難しいですが、音声データというところで、なかなか取り扱いが難しいところが正直あります。

記者:
どうして音声の取り扱いが難しいのか?事実認定関係ないのか、ちゃんと僕らにわかりやすく説明してください。

再調査委員会:
わかりやすく説明するのは難しいけれども、裁判であれば、当然文字おこし、録音反訳を作って、提出するのが通常になる。まず文字おこしを作ってという話になると思う。

記者:
文字おこしが面倒くさいから、難しいから受け取らないっていうのはおかしいでしょって言っているんですよ。

再調査委員会は、“音声を文字におこす必要があるため、扱いが難しい”と主張したのだ。

さらに…。

記者:
(証拠採用を求めた家族に)返事をする必要がなかったと判断したのか、失念したのか?

再調査委員会:
実際としては、失念していたに近いと思います。

記者:
失念していたに近いということは、失念していたということでよろしいですか?

再調査委員会:
・・・

被害生徒の父親「調査やり直して」

音声の存在を「忘れていたに近い」とした再調査委員会。

一連の対応について、被害生徒の父親は、「ちょっと失念したとか、そういう一言で済ますのは明らかにおかしいとしか思いません。組織的にいじめを隠ぺいしたんだろうなというふうに私は感じています。本当に、調査をやり直してもらいたいという気持ちでいっぱいです」と訴えた。

家族側は今後、市と再調査委員会を相手に「いじめの隠ぺいなどでの精神的苦痛」に対する損害賠償請求を検討しているという。

また、市原市の小出譲治市長は、「(家族側の主張を)真摯(しんし)に受け止め、すべての子どもたちが安心して学校生活を送っていけるよう、取り組んでまいります」とコメントしている。
(「イット!」11月22日放送より)