日本時間の21日、ハマスの指導者ハニヤ氏が「停戦合意に近づいている」との声明を出した。合意への市民の期待が高まっている一方で、ガザ地区は雨期に入り、強い雨風で人々の生活環境が日増しに悪化している。

21日放送の「イット!」では、最新情報を中継で伝え、ガザの人々の生活環境についてスタジオで解説した。

ハマスの停戦交渉が間近か

戦闘が続いているイスラエルとイスラム組織ハマスの間で、人質解放や停戦交渉の動きが活発化している。

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テルアビブから最新情報を加藤崇記者がお伝えする。

人質解放の交渉について、日本時間の21日昼頃、ハマスの指導者ハニヤ氏が「仲介役のカタールに回答を伝えた。停戦合意に近づいている」との声明を出した。

また、イスラエルメディアによると、ハニヤ氏は同じくガザ地区にいて人質を拘束している武装組織「イスラム聖戦」の幹部と会談したほか、前回、人質が解放されたときに仲介した、赤十字国際委員会の会長とも会談し、解放する際の協力を求めたとみられている。

また、ハマスの高官は中東のテレビ局に対し、「停戦の詳細は数時間以内にカタールによって発表されるだろう」と語った。

一方で交渉は続いていて、停戦の期間や解放される人質の人数のほか、イスラエル軍がガザ地区に搬入される燃料を上空から監視するとしているのに対し、ハマスがそれを拒否しているなどの話もあり、詰めの交渉が続いているとみられている。

20日もテルアビブでは、子供の人質の解放を求める集会が開かれ、交渉の合意に向けて市民の期待が高まっている。

ガザでは衛生面が悪化

こうした中、ガザの人々の生活環境が日増しに悪化している。燃料がないことによる医療体制の崩壊や、食料水不足も深刻だ。それに加えて今懸念されるのが、ガザ地区が雨期に入り、強い雨風が先週辺りから顕著になってきていることだ。フジテレビ・立石修取材センター室長が解説する。

ガザ地区南部ハンユニスの難民キャンプで19日に撮影された映像では、テントに強い雨が降っているのが確認できる。テントは土の上にダイレクトに張られていて床もない。そのため地面から、またテントの継ぎ目から水がどんどん入ってくる状況だ。

避難している女性は「私たちの服は全てぬれてしまって、雨はテントの上にまだ残っている。だれも私たちを助けてくれない。私たちの食器や持ち物はすべて水浸しよ」と現状を話した。

避難者がテントを補修している
避難者がテントを補修している

さらに、雨だけでなく風も強く吹いていて、ガザの人々を苦しめている。子供たちが笑顔を見せる姿も確認できるが、テントももろく、風で激しく揺れていて、避難者が補修する姿もあった。

下水処理も行われておらず、衛生面が懸念される中、避難者自ら排水用の溝を掘る姿もみられた。最悪の状況に追い打ちをかけるようなことになっているが、医療面でも深刻さを増している。

シファ病院が機能停止に陥る中で、ガザ北部で唯一患者を受け入れていたとされるインドネシア病院でも20日、イスラエル軍が作戦を開始した。

イスラエル軍は「病院内から発砲があった」としているが、病院は包囲されていて、BBCによると患者ら500人近くが取り残されている状況だ。

先週16日に撮影されたインドネシア病院内の映像では、多くの患者が溢れかえっていて、被害の拡大が懸念される。

WHOは患者ら12人が攻撃により死亡したと発表。「がく然としている」としている。

WHOの緊急事態担当マイケル・ライアン氏は「ガザで起きていることは大規模な伝染病を生み出すレシピのようなものだ」として、戦闘による攻撃と同様の公衆衛生上の危機が、ガザ地区で起きていると警告している。
(「イット!」 11月21日放送より)

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