国会や警察も対策に乗り出し、今大きな問題となっている「悪質ホスト」。売り掛け規制に向けた動きが加速しています。

元No.1ホスト城咲仁さん(左) 「青少年を守る父母の連絡会」代表の玄秀盛氏(右)
元No.1ホスト城咲仁さん(左) 「青少年を守る父母の連絡会」代表の玄秀盛氏(右)
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「めざまし8」は、ホストとして歌舞伎町で5年連続No.1の経歴を持つ城咲仁さんと、ホストクラブのトラブルなどの相談を数多く手がける「青少年を守る父母の連絡会」代表の玄秀盛氏に、詳しく話しを聞きました。

悪質化する“売掛”システム

社会問題になっている高額の「売り掛け」とは、その日払える手持ちがなくても、後日払う約束をするいわゆる“ツケ払い”。その際発行される「青伝」と呼ばれるものには、使用用途すら記載されていません。

売り掛けを回収できないと、ホストの自腹となるので、回収するために女性に風俗店勤務を勧めるホストもいるといいます。

玄秀盛氏の元には、18日にも、19歳の娘がホストにはまり妊娠・中絶までしたという母親が相談に訪れました。

娘の部屋からは、“未払い金”と書かれた大量の領収書や、青伝票が…。しかし、それでも娘は「私は他の客とは違う」と言い、現在もホストクラブに通い続けているといいます。

――伝説のホストとして、城咲さんは現状をどうお考えですか?
城咲仁さん:

率直に何をやっているんだろうなというのと、さみしいなと。一部の志の低い、何の覚悟もないホストがやっちゃっていることなんですこれは。安易に、お客さまと接待をするホストという関係性を自分の方から崩して、「好き」だの「付き合う」だのということを、駆け引きにしているわけじゃないですか。
それってもう、善悪で言うと“悪”じゃないですか。結局売り掛けをやっちゃっている女の子たちも、ホストに構われたい、つながっていたいからって、わざと大きな売り掛けをする女の子もいるみたいなんですね。だからイニシアティブがもうおかしくなっているし、(客層が)若年層になってしまったことが、なんというか今、転換期だなと思いますね。

橋下徹弁護士:
本当に楽しんで、お金を払っているお客さんもいるのかなと思いまして。もちろんホストでとんでもない営業をやっているお店もあるんでしょうけど、きちんとした営業をやっているお店もあって。消費者契約法に「社会経験が乏しいものに、恋愛の情を言われてお金を払った場合は取り消し」となっているんです。デート商法みたいな。
だから、本当に楽しんでお金を払って楽しんでいるお客さんと、そうじゃなくだまされたというか恋愛の情に乗っかって払ったとか、不安感をあおられてお金を払ったお客を、分けて対応しなきゃいけないというのはあるんですよね。

玄秀盛氏:
確かに、本当に楽しんで遊ばれている人も、事実います。安全に。
とにかく、売掛金というこのマインドシステムさえなくなれば、普通のカード払いなり、現金払いなりにすればいいんですけど、悪質なのは、店から売掛金といって会計伝票ができるのに、払えなかったらホストが肩代わりするというシステムですよね。否応なくホストの人は、必ず回収に来ますよね。

――ホストが売掛金を回収しないと、今度はホストの借金になってしまう?
城咲仁さん:

そうなんですけど、お店も2通りあって、ちゃんとお店側がホストに「お前もうそれ以上、女の子返済能力がないから使わせるな」という店もあるんです。止める、周りが。だけどそれを止めないで、期限を決めずに。
僕の時は、1カ月売り上げたらそれを全部給料日までに入金しないと給料日に逆に払わなきゃいけないわけです。そうすると、ホストは何を考えるかというと、信頼がある、返済能力がある人にしか売り掛けというものはさせないんですよ。
これは、全部ホストが、そういう事を考えずに、誰にでもやってしまっているという事が問題。

玄秀盛氏:
最近は特にコロナの規制が緩まり、ホスト店が2割くらい増えましたよね。以前は240だったのが300に増大するということは、そこにいわゆる“悪質ホスト店”も増えたわけです。取り立ての仕方も、一人ではなかなかいけないから、歌舞伎町にはスカウトがいます1000人ほど。その方々とタッグを組んで行くと。取り立て方が、より巧妙になってきたということです。

変化した“ホスト”の形に元No.1ホストが警鐘

城咲さんによると、昔に比べて増えているという、“悪質な売り掛け”。
以前のホストクラブは、常連客で支払い能力があり、信頼関係が築けている客としか売り掛けはせず、遊びすぎている客は店や先輩のホストが止めに入っていたといいます。
また、そもそもお金を持っていない客は入店もさせず、客層は40~60代が中心で、“遊び方”を分かっている人が多かったそうです。

しかし、2022年4月に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことによって、その年齢層がターゲットとなりました。
以前は18歳や19歳が多額の売掛金を背負わされたとしても、未成年者取消権によって帳消しにできるため、店側もターゲットにすることはありませんでした

高校を卒業し、大学のために上京してきた学生をターゲットにするケースも。その方法は、身分を隠してSNSやマッチングアプリで知り合い、仲良くなってからホストと明かし店に連れていくといった巧妙なものになっています。

玄秀盛氏:
大体共通している女性像は、地方出身で周りに友人がいない、ちょっと内向的というか、勉強一筋だったため異性関係が薄い女性。アイドルなどの追っかけをやっていたという人もいます。そこに、歌舞伎町というリアルアイドルが間近にいたと。
だから、色々な方法でトラップというか、駆使されて、たまたま相談したら優しくしてもらって、愛が欲しいのもあるしマインドコントロールが始まりますよね。大体2~3回でハマりますから、そしたらなかなか抜け出せなく、弁護士事務所にもいけないと。

橋下徹弁護士:
青伝や売り掛けの仕組みから見ると、いくらでも支払い拒絶できる理屈があるので。先ほど言った消費者契約法とか。最後は公序良俗とか色々なことがあるので。法律事務所や、法テラスという公的な機関もありますので。旧統一教会のほうには、今国会で法案を出していますけども、法テラスに行く場合の費用を支援しますと。僕はそれに近い形の支援策を全国の自治体がしっかりやって、困っている、払えないという人は法テラスにまず駆け込んで、支払い拒絶をやると、そういう仕組みをしっかり作っていくべきだと思います。

――若年齢化している現状をどう思われますか?
城咲仁さん:

2003年から行われた歌舞伎町浄化作戦、あれで良くなったこともあるのでしょうけれど、夜の世界、歌舞伎町だけのことを言ったら、僕は失敗だと思っているんです。
12時から朝の5時半という営業時間をダメにしたことによって、今までは銀座のクラブのママとか、接客に対して厳しい人が飲み歩いていたんです。だからホストもしっかりと接客をして、しっかりとした身のこなしをしていないと、ボトルが開かないんです。稼げないんです。だからホストは一生懸命ヘルプも頑張って、先輩たちに褒められたいから実力を磨いたんです。人間性も磨いたんです。
だけどそれをやらずに、僕らの時代は社交場であり、飲食店だったんです。でも今は“推し活”をするところになってしまいました。だから女の子がお酒を飲まなくても、自分の“推し”と呼ばれるホストの1番になりたいから、いくらでも、だから「言い値」なんですよ。それが問題なんです。

――優良なホストクラブというのもあるのですか?
玄秀盛氏:

一部ですよね。1割くらいではないですかね、現状。私の所に相談に来ている方の、お店のリストはあるので、今月中にオーナーの方々とお会いして、お話しさせていただきますけど。真面目にやっているところももちろん知っています。ただ、金額の大小関わらず、売掛金制度は皆さんされています。
まず、マインドコントールとか、いわゆる洗脳とか色恋という部分をどう引き剥がすかというのが、家族会の要望でも娘に言ってほしいのは、ホスト側から捨ててくださいと。これを強烈に言われています。でないと、娘は解けないと。

城咲仁さん:
世の中のホストをどう見極めて良いのか分からない女性に言いますけれど、ホストに看板とかに載っていて売れっ子風なんだけど、実際に現金を持っていないホストとかはちょっと気をつけた方がいいです。仕事の仕方がそういう仕方なので。だから僕はやっぱり、20歳以下の子がお酒を提供する場所に出入りすることが問題だと思ってしまうし。まだ善悪の区別が付かない頃に、そういうところに出入りさせてしまうと言うのは、周りの大人がしっかり止めなくてはダメだし。
普通はお金を借りるとなったら審査があるじゃないですか?問題なのは1億円持っている人に、100万円の飲み代を請求するのと、返済能力が明らかに無いような18歳19歳の子にお金を作らせると言うことが一番問題なので。

――ホスト業界は今後どのように変わっていくべきだと思いますか?
城咲仁さん:

本当に転換期ですよね、国が動いたので、元々風営法というのはあったんですけど、本当にしっかりと悪いお店は摘発して、そういう女の子が出入りしづらい環境を作る。ホストの人たちも、イチ・ホストの前に、人間としてダメなものはダメで、やらせちゃダメなんですよ。
ウーロン茶を飲ませて何百万円と払わせるって何の世界ですかと。だから“推し活”というものに特化しすぎちゃっているので、改めて「ここは接客をする場所であり、社交場なんですよ。ホストクラブは」ともう一度敷居を上げないといけません。
(「めざまし8」11月20日放送より)