超高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン福岡」では、福岡市のブランド“唐泊恵比寿かき”の新品種を使った料理を楽しむことができる。“産卵しない”ことで、夏の間もおいしい状態で食べることができるという。
超高級ホテルが採用 福岡の“新ブランド”
2023年6月、福岡市に誕生したホテル「ザ・リッツ・カールトン福岡」の最上階にあるバー「BAY」。博多湾を一望できる店内で9月から提供している新メニューがある。
早坂心吾・総料理長が提供してくれたのは、冬に一段と旨味を増すカキ。「唐泊恵比須かき」のオイスターカクテルだ。
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味付けは3種類のソース。彩り野菜にスパイスやビネガーを加えた爽やかな酸味のあるソースに、キャベツをベースにハーブやオリーブオイルなどを加えたソース。そして総料理長1番のおススメが、イベリコ豚のチョリソーをアクセントにしたカクテルソースだ。
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さっそくいただくと、クリーミーで濃厚なうまみが口いっぱいに広がる。カキの身はぷりっぷりで、貝柱はしっかり歯応えがあり、とてもおいしい一品となっている。
超高級ホテルの「リッツ・カールトン」のバーが「唐泊恵比須かき」を採用した理由について、早坂総料理長は次のように語った。
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ザ・リッツ・カールトン福岡・早坂心吾総料理長:
貝柱が大きくて歯応えがあり、濃厚のうまみが広がることに加え、年間を通しての供給が可能だということも今回、採用させていただいた大きな理由となっています。海外からお客様に福岡市の海の幸、素晴らしい食材を発信していく意味でも、年中供給できるのは素晴らしいことだなと思っています。「唐泊恵比須かき」を名物にしたい
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今後は夏場でもこのメニューの提供を検討しているというが、カキといえば冬の味覚の代表格だ。水揚げされる時期は、10月頃から4月頃までの半年間とされている。
それがなぜ年間を通して供給できるのか? その答えがあるという福岡市の漁港へ向かった。
年中味わえるように…“産卵しないカキ”
訪れたのは福岡市西区の唐泊漁港。案内してくれた福岡市漁業協同組合 唐泊支所の山崎(「崎」はたつさき)賞二さんは、カキの販売担当者だ。
1年を通して食べることができるように品種改良された「唐泊恵比須かき」。
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見た目は通常のカキと変わらないが、山崎さんは「特徴としては、“産卵しないカキ”になっている」と話す。
産卵しないカキがなぜ年中おいしく食べることができるのだろうか?
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冬に食べる一般のカキは、春から夏にかけて産卵する。そのときに栄養を使い切ってしまうため、夏場は痩せた状態で食べる部分がほとんどない。一方、「唐泊恵比須かき」は産卵しないので、夏の間も栄養を保ったまま、おいしい状態で食べることができるというのだ。
また水揚げしたカキは、洗浄された海水を24時間流して浄化し、殻付きのまま生きた状態で出荷される。ノロウイルスや腸炎ビブリオなど、毎月、検査も受けるという。
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そして、身の詰まり具合にも違いがあるという。
福岡市漁業協同組合 唐泊支所・山崎さん:
まず違いとしましては、カキの“深さ”ですね。通常と比べて深みがあって、ポケットになっている状態。その分、身が詰まっています。3mmの状態から育てるので、大きくなるにつれカゴを代えて、少しずつ代えて同じような大きさで育っていきます
冬場のカキを超える“カキ”目指す
「唐泊恵比須かき」が誕生したきっかけは、香港のシェフからの「年間を通して恵比須かきを使えないか?」という相談からだった。
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以前から、香港の有名レストランで使用されていた「唐泊恵比須かき」だったが、このオーダーに対応しようと10年の歳月を掛けて品種改良に成功。2023年から安定して生産できるようになった。
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福岡市漁業協同組合 唐泊支所・山崎さん:
割合的には冬場のカキが「9」。年間を通してのカキが「1」ぐらいの割合なんですけど、将来的には「5:5」、もしくは1年中食べられるカキを「8」、冬場のカキを「2」ぐらいの割合まで増やしていきたい
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近い将来、私たちがカキを楽しめる時期が大きく変わりそうだ。
(テレビ西日本)