11月13日、札幌市中央区のクリニックでは、午前7時の開院前にもかかわらず行列ができていた。

「インフルエンザ含め、冬なので体調不良の人が増えています」(クリニック・イン・ザ・モーニング 岡田純一院長)

インフルエンザ 異例の感染拡大

北海道では2023年9月ごろから流行がはじまったインフルエンザ。

札幌の1医療機関あたりの患者数は11月5日までの1週間で39.23人。

警報レベルの30人に2週連続で達している。

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このクリニックにも連日、患者が押し寄せていた。

例年冬に患者が増えるインフルエンザの流行が、なぜ大幅に早まっているのか。

小中学校の学級閉鎖も相次ぐ

「コロナが5類感染症になり、人の動きが活発になった。ここ数年インフルエンザの流行がなかったので、特に小さい子どもは免疫が低下しているのが原因と思われる」(岡田院長)

北海道では、30の保健所管内のうち札幌市を含め警報レベルが5か所、注意報レベルが17か所で出されていて、小中学校の学級閉鎖なども相次いでいる。

さらに1週間後の11月6日~12日までの期間では、北海道全体ではさらに増加して25.78人へ。警報レベルも5か所から8保健所管内に増えている。

一方、深刻なのは感染状況だけではない。

咳止めなど薬不足も深刻化

恵庭市恵み野の「きりはな薬局」では、インフルエンザでも処方される咳止めなどの薬が不足していると言う。

「ジェネリックメーカーの工場の不祥事があり、営業停止になってしまった。それを発端としていくつかの工場で稼働が停止し、薬の生産力が落ちた」(きりはな薬局 堀崇嗣薬剤師)

2020年以降に相次いで発覚した製薬会社の不正をめぐり、ジェネリック薬品の供給が3年経ったいまも正常に戻っていないという。

咳止めやたんを切る薬などが不足する状況が続いている。

そこで、この薬局で勧めている対処法を2つ聞いた。

対処法1 「市販薬を活用」

「よく効く咳止めがあるが、それはこの1~2か月は入ってこなくなった。実はドラッグストアで同じ成分のものが売られている。咳がひどい患者にはそれを勧めることもある」(堀薬剤師)

市販薬の中には処方薬とほぼ同じ成分のものもあるため、その活用が一つの手段だ。

対処法2 「家庭で余っている“残薬”を活用」

もう一つは「残薬」と言われる家庭で眠っている薬の活用だ。

医療業界では数年前から医療費削減などを目的に取り組んでいるものだが、薬不足解消にも一役買っているという。

「薬局で、こんなに薬が余っていると伝えると、処方医と相談し調整する。直接処方医に伝えると、日数を調整してくれる人もいる。薬の処方が減ると、負担額も減る」(堀薬剤師)

師走の足音が迫る中、感染対策も気をつけなければならない時期を迎える。

予防策の重要性

北海道民の感染症対策に対する意識は?

地下歩行空間では、5~6割の人がマスクを着けている印象だ。

「夏場は暑かったので着けていなかったが、10月くらいから北海道内でもインフルエンザがはやり始めたのでマスクをしている」(北海道民)

「予防接種を受けたほうがいいかなと思っている」(北海道民)

「会社で予防接種を受けたので、予防はしている。手洗いなど出来るところは気をつけながらやっている」(北海道民)

医師も予防策の重要性を指摘する。

「体力を落とさないこと。不要な人混みを避けること。手洗い、うがい。基本的な予防が必要。また、インフルエンザではワクチン接種が予防として大切だ」(岡田院長)

薬不足の心配をしないためにも、基本的な感染対策が重要だ。

北海道文化放送
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