西日本豪雨から2年が経った。
豪雨による浸水で、300人以上が孤立した岡山・倉敷市真備町にある「まび記念病院」。当時の経験を教訓に、生まれ変わろうとする病院の今を取材した。

まび記念病院・渡邉広美看護副部長:
病院がここまで戻ってくれてありがとうとよく言っていただくので、水害に遭って大変な時期を乗り切って、今があるっていうのを感じる

まび記念病院・村上和春理事長:
全国の人が、やっぱり僕は見ておられると思う。真備町は、あれだけの甚大な被害を受けたが、見事によみがえったと

病院の機能を失うほどの水害

2018年7月、豪雨で約700メートル離れた小田川の堤防が決壊し、茶色く濁った水が病院を襲った。

取り残されたのは職員や入院患者など335人。自衛隊らに救助され、全員無事だったが、浸水は3.3メートルに及び、1階の診療室のほか、多くの医療器械が水に浸かった。
病院の機能を失うという予想もしなかった事態に、経営者の村上和春理事長は直面した。

まび記念病院・村上和春理事長:
自分が思いを込めた病院が水没したというのは、ショックで、悔しくて、情けなくて

被災当時、病院で入院患者たちの避難誘導を手伝ったのが、渡邉広美看護副部長。

まび記念病院・渡邉広美看護副部長:
村上理事長が「たくさんの人が避難して来れたのもここがあったから」と言っている。ここに病院があって良かったですよねって。復興が大変だけど、一緒に乗り切ってやりましょう

まび記念病院・村上和春理事長:
病院が復興しないと、町は復興しない。特に地方においてはそうだと思うので、そのつもりで私たちもやっていかないといけない

被災から約7カ月で再出発

被災から約7カ月後の2019年2月に全ての病院業務が再開した。1階の復旧工事を終えて、水没した精密器械も買い替えての再出発。

まび記念病院・村上和春理事長:
あの被災を糧に、これからはさらに真備町の方々の病に寄り添い、体を治すだけではなく、心も支えて頑張っていきたいと職員一同考えております

2020年6月26日。豪雨を乗り越えた病院は、今、新たな備えを進めている。それは食品備蓄庫の見直し。

被災当時、入院患者だけでなく、避難してきた住民に食料を分けた経験から、非常食の量を1.5倍に増やした。
複数の建物に非常食を備蓄するなど、リスクの分散にも取り組んでいる。

まび記念病院・渡邉広美看護副部長:
また起きた時に、2階以上に水が上がってきた時に、北館から本館へ行くのが難しいことが起きた場合に、こっちで食べてねっていうことで、常備させてもらっている

また、高齢化が進む町の医療ニーズに応えるため、新たな手術室を作った。
眼科の手術のほか、8月から新たに骨折などの整形外科の手術ができるようになる。

まび記念病院・村上和春理事長:
西日本豪雨によって若い人が減り、高齢者が増えている。白内障手術や、整形外科的な疾患など困る人が多い。この地区で、いろんな治療・手術ができれば、一番良いと思って手術室を作った

こうして復興への歩みを前に進めようとしていた2020年、新型コロナウイルスという新たな障壁が立ちはだかった。

まび記念病院・村上和春理事長:
密を避けるために真ん中は座れませんという形で、患者さんと患者さんが離れてもらう工夫をしています。西日本豪雨から立ち直って患者さんであふれかえるというのが、ちょっとこのコロナで少し状況が変わりました

体の治療だけではなく、心にも寄り添おうと、住民に憩いの場を提供してきた院内でのイベントも、現在は開催を自粛している。

まび記念病院・村上和春理事長:
患者さんに寄り添わないといけない、より密接に。ただ今回のコロナはそれを妨げる

災害を乗り越えたからこそ前向きに

復興の足場を揺るがす新型コロナウイルスの影響。
それでも災害を乗り越えたからこそ、今回の苦境にも後ろは向かない。

まび記念病院・渡邉広美看護副部長:
どんなことがこれから先あるか分かりません。自分が頑張れる間、村上理事長が頑張っておられる間は、良い方向に向くような努力をしながらの業務を目指していきたい

まび記念病院・村上和春理事長:
あれだけ甚大な被害を受けて、そういう経験をしたからこそ、やらないといけないし、真備地区の方のために、自分の命を懸けて頑張らないといけない

(岡山放送)