11月23日の“ラストラン”に向けて盛り上がりを見せる、JR木次線の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」。その“プラチナチケット”がオークションサイトで販売されていることが分かった。530円の指定席券が2万円と、40倍近い価格で取引されるケースもあり、専門家は「県条例にふれる場合もある」と警鐘を鳴らしている。
「奥出雲おろち号」ラストラン
JR木次線(島根・宍道駅~広島・備後落合駅)の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」。 車両の老朽化に伴って、2023年11月23日を最後に運行を終了する。

“ラストラン”に向け、沿線では25年間の運行を終える列車の最後を盛り上げようと、ムードが高まっている。 引退を前に、毎日運行されている列車は、64席が連日満席、予約でいっぱいという状況だ。
こうしたなか、“ラストラン”の盛り上げに水を差しかねない事態が発覚した。

“プラチナチケット”ともいえる座席の指定券が、ネット上で高値で取引されるケースがいくつも見つかったのだ。
5万2000円で落札された切符も…
指定券は通常、大人1人530円だが、一部のオークションサイトでは2万円で出品され、落札されたケースもあった。「定価」の実に40倍近い値段だ。 記者が調べたオークションサイトでも、定価を超える値段で指定券が出品され、1万円を超えて落札される取引が20件以上確認できた。

なかには1,000円で出品されたきっぷが、最終的に5万2,000円で落札されたケースもあった。
求められる“ルール作り”
消費者問題にくわしい専門家は、こうしたきっぷの出品について、仮に転売目的だった場合、県の迷惑防止条例違反になる可能性があると指摘している。
佐藤力弁護士:
島根県の条例では、いわゆるダフ屋行為、転売目的でチケットを買ったり並んだりすることを処罰の対象にしている。50万円以下の罰金、拘留、科料に処するとなっている。

チケットの転売防止をめぐっては、2019年に「チケット不正転売防止法」が施行されたが、演劇やスポーツなど興行関係のチケットが対象で、鉄道の乗車券は「代替性」があるとして対象に含まれていない。
法律による規制が進みづらいなか、悪質な転売を防ぐため、専門家は鉄道会社によるルール作りが必要だと指摘する。

佐藤力弁護士:
今回のように「代替性」がなく、代わりに12月に乗りますということもできないし、観光列車のように興行に近い取り組みでもある。考えられる対策は「運送約款」などで、転売目的で乗車券を手に入れた場合、それは無効になる、電車に乗れないというルール作りをすることが必要ではないか。
「奥出雲おろち号」を運行するJR西日本は、TSKの取材に対し、「転売目的での購入はおやめください」とコメントしている。
(TSKさんいん中央テレビ)