100機を超える熱気球が秋の空を彩る「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」。ロシアとの戦闘が続くウクライナのチームも参加し、青色と黄色でデザインされたバルーンが穏やかな秋の青空に舞い上がった。

4年ぶりに海外チームも参加

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佐賀の秋の風物詩「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」。4年ぶりに通常開催となった今年は16の国と地域から125機が参加し、秋の大空を舞台に熱戦を繰り広げた。

開幕日の11月1日の朝は絶好のフライト日和。色とりどりの熱気球が河川敷から次々と飛び立つ。

その中には、ロシアとの戦闘が続くウクライナのチームの姿もあった。

ウクライナチームのメンバーは、ウクライナ在住のパイロットを含む4人。バーナーの故障により離陸が危ぶまれる場面もあったが、無事に空へと飛び立つことができた。

“青と黄”のバルーンが大空へ

ウクライナチームのバルーンは国旗の色と同じ青色と黄色でデザインされていて、機体には「Slava Ukrayini!=ウクライナに栄光あれ!」という言葉が。
この文言は約100年前の独立戦争の頃にウクライナで使われるようになったもので、現在でも国を愛するスローガンとして使われている。

バルーンはしばらく飛行したあと無事着陸。
過去、ウクライナのチームは3回参加していて、2016年に佐賀の空を飛んだ経験があるメンバーは今年の大会に参加した特別な思いを語った。

ウクライナチーム クリメンコ・ブラディスラブさん:
日本、そして世界中の人にウクライナの困窮した現状について認識してほしくて大会に参加した。ありがとう

佐賀インターナショナルバルーンフェスタに初めて参加したウクライナ出身のパイロットは「佐賀の空は楽しくて最高だった」と笑顔を見せていた。

初日から絶好のフライト日和が続いた今年のバルーンフェスタ。中でも観客を沸かせたのが河川敷からの“一斉離陸”だ。

大会本部が指定したゴールを目指す「ジャッジ・デクレアド・ゴール」など3競技が行われた大会3日目にもウクライナチームが参加。
澄み渡る秋の空と田園。その美しい景色に重なるウクライナチームの”青と黄”でデザインされたバルーン。会場を訪れた避難民の女性たちが見守る中、大空へと飛び立った。

バルーンフェスタに参加したウクライナチームのメンバーは大会期間中、佐賀・江北町でホームステイ。大会閉幕後に役場を訪ね、“おもてなし”に感謝の言葉を伝えた。

“平和な空”を願って…

チームのリーダーで今もウクライナに在住するクリメンコ・ブラディスラブさんは「ステイ先でみんなで話をしたり歌を歌ったり、侵攻前の安全なウクライナのことを思い出せた。温かくもてなしていただいて嬉しかった」とバルーンフェスタを振り返る。

今年のバルーンフェスタには5日間で約90万人の観客が訪れ、熱気球を操るパイロットの高度な技術とバルーンが彩る空を楽しんだ。バルーンフェスタが終わり帰国するウクライナチームのメンバーは、安心して風に乗ることができる穏やかな空が母国に戻ってくることを願っているに違いない。

(サガテレビ)

サガテレビ
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