立憲民主党 塩村あやか 参院議員:
やはりホストクラブのツケなど、「貢ぐ」というようなところが結構問題になっているところなんですが、これは「社会問題」になっています。

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11月9日、参議院の内閣委員会で、ホストクラブの売り掛けなどを「社会問題」と訴えたのは、立憲民主党の塩村あやか参院議員。

立憲民主党 塩村あやか 参院議員:
女性たちが、ホストクラブに行って、売り掛けであっという間に100万円になる。18歳19歳のような若年女性が狙われたり、風俗で働かないと払えないほど、売り掛けが多額になっていくと。これが“悪質ホスト問題”という。悪質ホスト商法の問題は、急拡大しています。借金の平均はだいたい700~800万円。信じられないですよね。

「めざまし8」が連日報じている、ホストの研修教材に「マインドコントロール」の文字があったことや、100万円以上のツケの覚え書きが書かれた“青伝”と呼ばれる「売り掛け伝票」などに触れる塩村議員。

立憲民主党 塩村あやか 参院議員:
こうしたことが風俗勤務とか、売春につながっていく。私もですね、2日前に売り掛けを負わされて、ホストに示唆されるままに風俗とAVの出演を決めてしまったという女性にお話を伺った。

こうした問題について問われた、松村国家公安委員長は…。

松村祥史 国家公安委員長:
違法行為につきましては、売春防止法違反や職業安定法違反で検挙するなどの取り組みを行っているところでございます。今後も各種対策を強力に推進されるように、警察を指導して参りたい。

ついに、国会で取り上げられた“悪質ホスト問題”。

塩村あやか議員(左) 玄 秀盛氏(右)
塩村あやか議員(左) 玄 秀盛氏(右)

「めざまし8」は、国会で問題を取り上げた塩村議員、さらに、ホストクラブのトラブルなどの相談を数多く手がける、「青少年を守る父母の連絡会」代表の玄 秀盛氏に話を聞きました。

“悪質ホスト問題”を国会で取り上げた理由とは?

――塩村議員はなぜこの問題を国会で取り上げたのでしょうか?
塩村あやか 参院議員:

報道が本当に多くなってきていて、なおかつ少なくない女性たちが、しかも若年、社会経験が少ない女性たちが、組織的にループに巻き込まれていくということ、こんなに多くの女性たちが巻き込まれていることを知り、悪質だと思いましたので、取り上げなくてはいけないと思いました。

――やっと国会で取り上げられるようになったお気持ちは?
玄 秀盛氏:

塩村さんに国会で取り上げていただいたということは、まず認知度が上がるのも、やっと表面化したということと。そして(被害)家族からのエールもすごかったです。「これで娘が帰ってきますかね」とか。

「青少年を守る父母の連絡会」代表 玄 秀盛氏
「青少年を守る父母の連絡会」代表 玄 秀盛氏

――塩村議員は若い女性の人権問題にどのように取り組まれてきたのでしょうか?
塩村あやか 参院議員:

これまで私は性暴力などに取り組むことが非常に多かったです。アダルトビデオの出演の問題などに取り組んできまして、色んな方と知り合うことができました。今回もそうした皆さんの声もあって取り上げましたし、実際に被害に遭ったという女性の声もじかに聞かせていただきました。報道されている通りだったんです!言葉にならない状態です…。

歌舞伎町で駆け込み寺を21年行っている玄 秀盛氏は、様々な問題に取り組む中で「ホスト問題」だけはブラックボックス、なかなか対応が難しい状況だったといいます。
その壁となっていたのは、「売り掛け」です。

――なぜ「売り掛け」は対応がしづらかったのでしょうか?
玄 秀盛氏:

通常でしたら“店”との売り掛け、スナックですとか。今回は、“ホスト”が立て替えるんです。だから、売掛金というのは、ホストとの個人間になります。店はノータッチですから、例えば300万円、500万円超えようが、女の子が飛んだら(逃げたら)ホストが代払いするんです。そういうシステムですから、表面化しにくいのと、女性たちをいわゆる色恋営業、疑似恋愛営業でつなぎ止めているから、ホスト=彼氏を守るためには、まして、代金を立て替えてくれていると。逆に感謝しているから、店から代金の請求が来たら、なんとしても、女性は払うためになんでもしてしまうと。

――女性を一種の“マインドコントロール”のような状態に追い込むマニュアルの存在を知ったときどう思われましたか?
塩村あやか 参院議員:

スキーム化しているなと思ったんです。個人の恋愛感情の問題ではないよねと。恋愛感情にみせかける一種の刷り込みというか、言葉は悪いですが、そうしたことに落とし込むための「手口」ができあがってしまっているんだと思いました。  

「表立ってきただけでも、家族は救われる」

塩村議員が今回の問題について、「消費者契約法などで対応できるのでは?」と問いかけたところ、消費者庁は「いわゆる“デート商法”については、消費者契約法で要件に該当する場合は、契約を取り消し得る可能性があると考えている」と回答しました。

デート商法とは、消費者に恋愛感情を持たれた勧誘者が、“両思い”と錯覚させていると知りつつ、「契約しないと関係が破綻する」といった旨を告げて契約を集結させることをいいます。

――この消費者庁の回答いかがですか?
塩村あやか 参院議員:

当たり前だと思うんですけど、これを消費者庁がしっかりと国会で答弁したことが大きかったと思います。“デート商法”にあたる可能性がある。この可能性が低ければ、国会答弁でそのような答弁にはなってこないのです。ですから、周知をして、皆さんに知っていただく必要があると思います。ただし完璧ではないですから、皆さんが救えるかというと、そうではないと思います。

また、ホストが、高額売掛の対応や解決策として、風俗などで働くことを勧めることについて、塩村議員が、「職業安定法に抵触するのでは?」と質問したところ、厚生労働省は、「ホストが自身の女性客に対して売掛金を回収する問題で、風俗などで働かせることは職業安定法で禁止」と回答しました。

塩村あやか 参院議員:
これも非常に大きな答弁だったと思います。はっきりと言っていましたから。
公権力、行政処分ですから、介入できる可能性があるという答弁は、非常に大きかったと思います。

玄 秀盛氏:
第一歩ですよね、まず今までがなにもこういう事に関知せず、自分たちも相当な数、法律上の問題は弁護士さんに言っていただくんですけど、なかなかそこまで対抗する手段もありませんし、どんどん悪質になっていますから、今これ以上に、いわゆる婚姻届を出したこととか、一緒に住み込んで同棲のようなことをして、車からなにから名義を全部負担させる。相当なものだと。ただこれだけ表立ってきたということだけでも、家族にとっては相当救われるかと。

問題解決に向けてできること

――現状はまだ裁判になった場合泣き寝入りする場合が多いのですか?
玄 秀盛氏:

「売り掛け」といったものは、個人間の貸し借りで、ましてそこで金銭消費貸借契約書を書いていますから、裁判までいかないですよ。当然いくまでに相当な金額もいりますし、証拠書類もですが、マインドコントロールされている女性にとったら、何もないんです。証拠などが一切ないんです。訴えようがないと。
(戻ってくる頃には)もぬけの殻で、見も心もズタズタになっているから、こういうのが裁判で戦うということすらできないです。

塩村あやか議員が入手した“青伝”
塩村あやか議員が入手した“青伝”

塩村あやか 参院議員:
風営法でしっかりと縛りをかけていくべきだと思います。ホストだけではなく、コンカフェとかいろいろな問題があるので、そこに該当する、風営法の中に入れていくというか、届け出を出してもらって、その中でしっかりとした縛りをかけていくということが必要になってくるのではないかなと。

――このままではいけないと、自浄作用が働いてもよさそうなのですが、そういったことはないのですか?
玄 秀盛氏:

全くないですね。私は歌舞伎町にいますから、関係各所、ホストの店の人やオーナーに大概声もかけています。でもまず乱立しているのと、グループ的というかホスト業界は、ライバルであって、引き抜きあいがあって、まとまりはゼロです。あるオーナーにいったら「私の所がしたら、全部引き抜かれてうちはつぶれる、よそにいく」たった歌舞伎町300店ですらそうです。私は地元にいますから、弱冠声はかかってきますが、「上限50万くらいでどないや?玄さん」とか。いやそれは「NO」だと。

――今後国会レベルでどのように取り組んでいきますか?
塩村あやか 参院議員:

これは国会もそうなんですけど、世論も必要だと思っています。マインドコントロールしていると女性が“自分で”売春をする、“自分で”風俗に行く。もちろんその先には買う人がいるわけで、女性がやりたいと言うのを止めるなという声が、一定程度出てきて、相当なバッシングが始まるんです。それが怖くて、声をあげるというか、一緒に戦えないという人が出てくるので、そうじゃないんだということを、みんなで共有しながら。その先は私たち国会議員の仕事だと思うんですが、今回は、自浄作用を期待しての国会質問でした。その先が難しいのであれば、風営法をきっちりとやっていく、改正をする、新法を立ち上げる。この辺りを頑張っていくことが、必要だと。売り掛けを禁止にしていくなどもしっかりと考えなくてはいけないのではないかと。
(めざまし8 11月10日放送)