11月に入り、朝晩はひんやりとしている中、いよいよ鍋のシーズンが到来だ。
定番の鍋から今シーズンの“トレンド鍋”まで、世の中には様々な鍋が楽しまれているが、中には想像よりも“ナナメ上”に進化した鍋も存在する。
「絶景×こたつ鍋」「キラキラ光る鍋」「氷で作る鍋」など、“ナナメ上”な「鍋」を取材した。
まずはこの冬おすすめ!最新“トレンド鍋”を紹介。
最新“トレンド鍋”
ぐるなびが毎年発表する秋冬恒例の「トレンド鍋」では、“とろみ”をつけることで冷めにくく、体を芯から温める「とろみ鍋」が、今年のトレンドに決定した。

この「とろみ鍋」、どんな鍋なのか。
東京都大田区にあるフードホール「GURUNAVI FOODHALL WYE 天空橋」が提供しているのは、「大なめこ・なめたけ餡の温活とろろ鍋」。

キノコととろろの「Wのとろみ」で、体もじんわり温まりそうな鍋になっている。
“トレンド鍋”以外にも一度は食べてみたい絶品鍋料理がたくさんある。
絶品鍋料理3選
東京・池袋にある「九州黒太鼓」は20種類以上の鍋料理を提供している店。
中でも一番人気は、そびえ立つ“肉タワー”が大迫力の「元祖 肉鍋」だ。

1玉分のキャベツの葉の上には、巻き付けた豚肩ロースがたっぷりとあり、ニンニクと唐辛子が効いた旨辛スープで楽しむことができる。
見た目のインパクトなら、大阪・梅田にある韓国料理店「ソウルラブ」も負けてはいない。
特に女性に人気だというこだわり鍋が「元祖ロゼトッポギ鍋」だ。

トッポギ、麺、野菜などが入ったチゲベースの鍋なのだが、ここで、甘くない生クリームを乗せていく。

混ぜて食べることで味に深みやコク、そしてまろやかさが生まれるという。
そして、同じ大阪にある「fonte(フォンテ)」には、水炊きと焼肉が一度に楽しめる欲張り鍋、その名も「義経鍋」がある。
かの武将、源義経が調理した料理が発祥と言われている。

最大の特徴は変わった形の鉄鍋。中央に鍋があり、その周りを囲むようにあるのが肉を焼くプレートだ。
中心部で、白菜・長ネギなどの野菜の水炊きが楽しみ、周りに広がるプレートでは鶏もも・砂ずり・せせりといった3種類の鶏肉を焼肉で楽しめる、まさに“二刀流の鍋”。

チー油とニンニクじょうゆが混ざり合ったタレで食べれば、ガツンとくる味わいがクセになるという。
そんなこだわりの絶品鍋料理を出すお店がある一方、こだわり方が“ナナメ上”なお店も。
非日常的な空間でいただく鍋料理
大阪・天王寺にある商業施設「あべのハルカス」の58階にある展望台「天空庭園」。
非日常的な空間というのは58階から眺めることができる絶景だ。

しかし、ここでは景色だけはなく、この「天空庭園」にはこたつがあり、こたつに座りながら鍋を楽しむことができるというのだ。

実はこのエリアは上が吹き抜けになっていて暖房が効かないため、この季節は景色も楽しみつつ、こたつでお鍋をいただくというスタイルを取り入れたという。
さらに、こたつに欠かせないアイテム、はんてんを無料で借りることもできる。

そんなこたつに入って食べる鍋料理は「極み・出汁しゃぶしゃぶコース」。
脂の甘みが特徴の鹿児島県産「茶美豚(ちゃーみーとん)」を、4種類の魚から取った特製だしで食べる、至極のしゃぶしゃぶだ。

約20年ぶりにこたつに入った調査員。
大阪の街を望みながら堪能する、しゃぶしゃぶの味は「めちゃくちゃうまいです。お肉は甘みがあって食べやすいですね。ポン酢と相性がいいです。初めての体験ですね、こうやって鍋を食べるのは」と楽しんでいた。

非日常的すぎる空間での食事に戸惑いつつも、しゃぶしゃぶは絶品。
さらに夜になると雰囲気がガラリと変わり、ムーディーな空間に様変わりする。
ロマンチックな夜を過ごすことができそうだ。

開催期間は来年の3月末まで。

普段とは違う非日常的な空間でお鍋を楽しみたい方はぜひ。
続いては、“映え”を意識しすぎちゃった鍋。
幻想的な鍋
新大久保にある韓国料理専門店「ダルビッマル」。
ランチでは豚バラ肉が乗ったピリ辛のクリームパスタや、韓国風イイダコソースとイカスミを合わせたパスタ、サクッとジューシーな鶏の唐揚げをのせたチヂミなどが楽しめる。

そんな、ダルビッマルの“映え”を意識しすぎてしまった鍋というのが、ニンジン・ニラ・キャベツなどの野菜に加え、餅、春雨など、合わせて10種類以上の具材が入った特製プルコギ鍋。

この段階ではどちらかといえば“映え”を意識しているようには見えないと思っていると、店員がなにやら、スタンドのようなものをセッティングし始めた。

そして持って来たのは大きい綿あめ。
綿あめが鍋の上にくるよう、スタンドにつるすと、準備が完了する。

この綿あめは、プルコギ鍋に本来使用される砂糖と同じ分量で作られたもので、つまりは調味料なのだという。
鍋の熱気で徐々に溶かし、まるで雪が舞い落ちるような様子をドラマティックに演出している。

まさに“映え”をねらった鍋だ。
店長のキム・サンさんは「インスタにちょっと映えるためにとか、若者が好きそうな料理を作ってみようかなとアイデアを出してみた」と話す。

さらに、この綿あめには、光る仕掛けがあった。
綿あめを巻き付ける竹串の代わりにペンライトを使用しているため、ピンク・紫・青などで綿あめを彩ることができるのだという。

“光る綿あめ鍋”を始めたのは去年12月。
演出はもちろん、味もおいしい!とSNSで評判となり、お客さんが急増ようだ。
その気になる味は「甘すぎないです。ご飯が進みそうな味です」と調査員。
食べておいしい幻想的な鍋体験。興味のある方はぜひ。
続いては、手間暇かけて作る世にも珍しい鍋料理。
煙がモクモク…氷鍋
富山県高岡市にある「ジンギスカン れい」。

珍しい鍋料理とは、どんな鍋なのか。
店に入ると出迎えてくれたのはマスターの山本剛さん、68歳。

山本さんがとことんこだわった鍋料理というのが「モンゴル氷鍋」だ。

名前からはどんな鍋料理なのか、全く想像できない。
待つこと約10分、登場したのは、白い煙のようなものが出ている鍋。

まだ火はついていないが、湯気のようなものがモクモクと出ている。
この煙の正体はドライアイス。
そしてドライアイスの下には氷が敷き詰められていた。

「モンゴル氷鍋」とは、ドライアイスと氷を敷き詰めた鍋に羊肉や野菜類をのせ煮込む鍋料理だという。
「初めにマトンを凍らせて解凍して、ドライアイスを(鍋に)入れてもう一回肉を締めるんですよ」とマスターの山本さんは話す。
山本さんによると、ドライアイスで身を締めてから加熱することで、羊肉がより柔らかくなり、うまみも増すのだという。
作っている本人が「手間暇かかる」と断言するモンゴル氷鍋、火にかけると熱で氷とドライアイスが溶け始め、鍋が見えなくなるほどの煙が起きた。

そして加熱すること、約17分。煙がなくなったタイミングが食べ頃だという。

その味は「むっちゃ柔らかいですね。チャーシューみたいですね」と調査員。
この一風変わったモンゴル氷鍋をなぜ店で出すことになったのか。
山本さんは4年ほど前、モンゴルに行った時に出会った本場の氷鍋に衝撃を受けたといい、「モンゴルは羊の肉を鍋で食べる文化だったんだよね。それで氷鍋というのが来た時に『これや!』と思った。見栄え、煙がモクモクで、あんなもん今まで見たことないし、これはヒットするやろうなと思って」と明かす。
帰国後、独学で試行錯誤を繰り返し、オリジナルの「モンゴル氷鍋」を考案したのだという。
山本さんは「こういう鍋もあるんだというのをお客さんに知ってもらって、食べておいしいと言ってもらえたらめちゃうれしいですね」と話した。
仕込みの関係で2日前からの予約が必要だということで、気になった方は早めの連絡を。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年11月7日放送)