砂浜の再生工事が完了 釜石市・根浜海岸 

岩手県内では、自治体によって海開きの対応が分かれたが、観光客を受け入れようとしていた人たちは複雑な思いをしている。
海開きを見送った釜石市の根浜海岸では、美しい砂浜にかつての活気を取り戻そうと、春からある準備が進められていた。

釜石市の名勝で、人気の海水浴場でもあった根浜海岸。
東日本大震災の津波により、一時は美しい砂浜の姿が失われたが、7月に砂浜の再生工事が完了。
震災から10年目の夏は、大勢の人で賑わうはずだった。

宝来館 岩崎昭子さん:
私たちは今年の夏、いろいろな活動をすることを考えていたので…。残念に思いましたね

海岸のそばに建つ旅館「宝来館」の女将・岩崎昭子さんは、この夏の海開きを盛り上げようと、地域住民と共にある準備をしていた。

観光の目玉に 住民たちの“アシ舟”づくり

根浜海岸近くの川で作業が始まったのは4月下旬だった。
刈り取っているのは、高さ3mほどに伸びた植物のアシ。

集めたアシは約300kg。
これで人が乗れるサイズのアシ舟を作り、海開き当日に海に浮かべることで、観光の新しい目玉として大勢の人を呼び込もうというプロジェクト。

アシ舟指導 小助川 浩さん:
横から見ていただくと、真ん中が山になります

海開きまであと1カ月。根浜で初めてとなるアシ舟作りが始まった。

指導をするのは、神奈川県在住の小助川浩さん。ワークショップなどで、15年ほどアシ舟作りに関わっている。
このアシ舟作りが始まったのは、2020年3月に小助川さんが宝来館に宿泊したことがきっかけだった。

アシ舟指導 小助川 浩さん:
ミニの舟を作って進呈したら、本物の乗る舟を作ってみようかという話になって…

アシ舟は、全長が約6m。大人2人と子供2人が乗ることができるサイズ。
2日かけて完成した根浜のアシ舟は、住民の期待を乗せて海開きを待っていた。

しかし釜石市は、6月30日に根浜海岸の海開きと海水浴場の開設を中止すると発表。
新型コロナウイルスの影響を考えての判断だった。

“コロナ禍に合わせた海の過ごし方”を…地元住民の模索

この発表を受けて立ち上がったのは、やはり地元の住民たちだった。

三陸ひとつなぎ自然学校 伊藤聡代表:
「withコロナ」時代に合ったビーチの過ごし方を、根浜海岸でデザインして、ここから発信していくようなものがきっと作れる気がする

根浜海岸では、2020年5月から感染症対策をしたうえで、子供たちが安心して遊ぶことができる「あおぞらパーク」が毎週土日に開催されている。
海開きを行う予定だった7月23日からの4連休には、あおぞらパークの運営システムを活用し、海のアクティビティーを楽しめるよう準備を進めている。

住民の期待を乗せたあのアシ舟も海に浮かべる予定。

宝来館 岩崎昭子さん:
基本は近隣の皆さま、子供たちが対象になるが、海での楽しみをしてもらえばいいなと思っています

砂浜にかつての賑わいを取り戻したい。
震災、そして新型コロナという逆境の中で、住民たちの取り組みは続いている。

(岩手めんこいテレビ)