年の瀬の風物詩「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補が11月2日発表された。

2023年の傾向としては、新型コロナの5類移行を受けた「4年ぶりの声出し応援」や、優勝を果たしたWBC関連の「ペッパーミル・パフォーマンス」、「藤井八冠」など、明るい話題が2022年よりも増えたという。一方でロシアによるウクライナ侵攻など深刻な世界情勢を受けて、タモリさんが口にした「新しい戦前」という言葉も。「闇バイト」や「OSO18」など社会問題から生まれた言葉もノミネートした。

阪神優勝の「アレ」も

例年多くの流行語が生まれるスポーツ部門からは、WBC決勝の対アメリカ戦開始直前、ロッカールームで大谷翔平選手が檄を飛ばした「憧れるのはやめましょう」がノミネート。試合は日本が3対2とアメリカをリードして迎えた九回2死、走者なしで、大谷選手のエンゼルスの同僚で、スーパースターのマイク・トラウト選手が打席へ。球史に残る名勝負の末、大谷翔平が三振を奪い、日本代表・侍ジャパンが優勝した。

その侍ジャパンから生まれた新たなスターは、ラーズ・ヌートバー選手。積極的な打撃で頭角を現し、塁上で見せる「ペッパーミル・パフォーマンス」が大流行。調理器具点からペッパーミルが一時消える程のブームとなった。

リーグ優勝は「アレ」
リーグ優勝は「アレ」
この記事の画像(9枚)

プロ野球も負けていない。選手が優勝を意識しないようにという配慮から、阪神タイガースの岡田監督が優勝を「アレ」と表現してきた事が話題に。岡田監督がいつもなめている「パインアメ」とのコラボ商品「パインアレ」が登場するほどだった。阪神がリーグ優勝を決めた際には、スポーツ紙の一面に「アレ(A.R.E)」の文字が躍った。

将棋界からノミネートは2つ

将棋界からは「藤井八冠」と「観る将」がノミネート。藤井聡太八冠は2023年10月、史上初となる主要タイトル八冠を達成。

「藤井八冠」の対局をネットやテレビで観戦する「観る将」が増加
「藤井八冠」の対局をネットやテレビで観戦する「観る将」が増加

八冠への道のりで注目が集まるなか、ネットやテレビで対局を楽しむ「観る将」が増加したという。

イギリスで大ブレイクのあの人も

エンタメ界からは、「首振りダンス」で大ブレイクした、制服姿の4人組ダンスボーカルユニット「新しい学校のリーダーズ」がノミネート。

さらにYouTubeの世界楽曲チャート1位となったYOASOBIの「アイドル」も主題歌となったアニメ「推しの子」とともにノミネートされた。

そして、イギリスのオーディション番組で大ブレイクした、とにかく明るい安村さんのネタ「安心してください、履いてますよ」の英語バージョン「I'm wearing pants!(アイム・ウェアリング・パンツ)」もノミネートされた。なお「安心してください、履いてますよ」は、2015年ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に入っている。8年ぶりの再ブレークとなった。

ネット・テクノロジーから多数ノミネート

ネット界隈からは中学生YouTuberちょんまげ小僧の自己紹介時のフレーズ「ひき肉です」がノミネート。

本社ビルに設置された「X」の看板
本社ビルに設置された「X」の看板

Twitterから名称が変更され、徐々に定着してきている感のある「X(エックス)」、さらに急速に進化している「生成AI」、その代表格とも言える「チャットGPT」もノミネートされた。

社会問題からも…

日本社会を揺るがしている、旧ジャニーズ事務所を舞台とした、故ジャニー喜多川氏による性加害問題からは「性加害」がノミネートした。

旧ジャニーズ事務所の「性加害」問題の会見 会場には「NGリスト」が    10月2日
旧ジャニーズ事務所の「性加害」問題の会見 会場には「NGリスト」が    10月2日

さらに、旧ジャニーズ事務所の2度目の会見で会場に持ち込まれていた事が判明し、多くの批判を受けた「NGリスト」もノミネートした。

「批判を受けた」といえば、政界からは「エッフェル姉さん」がノミネート。自民党女性局がフランスで研修中に、エッフェル塔の前でポーズを取って写真を撮った事が批判を浴び、女性局局長だった松川るい議員が局長を辞職することになった。

松川るい議員のSNSより(※現在は削除)
松川るい議員のSNSより(※現在は削除)

さらに高額な報酬と引き換えに強盗や詐欺などの犯罪の実行役となる「闇バイト」。マッチングアプリなどで出会った男性をだまして金を巻き上げる「頂き女子」という、犯罪行為を指す言葉もノミネートされた。

国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化」超える「地球沸騰化」に警鐘
国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化」超える「地球沸騰化」に警鐘

事件だけではない。世界の月間平均気温が過去最高を更新する見通しを受けて、国連のグテーレス事務総長が発した言葉「地球沸騰化」もノミネート。

訪日外国人が増加し「オーバーツーリズム」も問題に 資料
訪日外国人が増加し「オーバーツーリズム」も問題に 資料

また人手不足などにより物流が滞る危険性が指摘されている「2024年問題」、コロナの落ち着きとともに外国人観光客が急増するなかで浮上した「オーバーツーリズム」もノミネートされた。

さらに、全国でクマ被害が相次いでいる事を受け、66頭もの牛を襲った末に射殺されたヒグマ「OSO18」と市街地に出没するクマを指す「アーバンベア」も選ばれた。

市街地に出没する「アーバンベア」が問題に
市街地に出没する「アーバンベア」が問題に

ノミネートされた30の言葉は以下の通り

現代用語の基礎知識 選「2023ユーキャン新語・流行語大賞」ノミネート語30(50音準)

1  I'm wearing pants!(アイム・ウェアリング・パンツ)
2  憧れるのをやめましょう
3  新しい学校のリーダーズ/首振りダンス
4  新しい戦前
5  アレ(A.R.E)
6  頂き女子
7  X(エックス)
8  エッフェル姉さん
9  NGリスト/ジャニーズ問題
10 オーバーツーリズム
11 推しの子/アイドル
12 OSO18/アーバンベア
13 蛙化現象
14 5類
15 10円パン
16 スエコザサ
17 性加害
18 生成AI
19 地球沸騰化
20 チャットGPT
21 電動キックボード
22 2024年問題/ライドシェア
23 ひき肉です/ちょんまげ小僧
24 藤井八冠
25 ペッパーミル・パフォーマンス/ラーズ・ヌートバー
26 別班/VIVANT(ヴィヴァン)
27 観る将
28 闇バイト
29 4年ぶり/声出し応援
30 Y2K 

トップテンは12月1日に発表される。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。