宮崎・日之影町の伝統的な竹細工「かるい」に魅せられ、移住してきた竹細工職人の思いを取材した。
「かるい」を背負う女性に感動
「かるい」は、日之影町の伝統的な竹細工。軽くて丈夫な背負いかごで、山の暮らしに欠かせない道具とされてきた。
この記事の画像(12枚)「竹細工って難しい。でも難しいことってやればやるほど奥が深いし、面白い」。
こう話すのは、愛知・名古屋市出身の小川鉄平さん(47)。20代前半の頃、全国の職人の技や伝統文化を見て回る中で、日之影町の竹細工「かるい」と出会った。
竹細工職人・小川鉄平さん:
日之影町に来た時に、道を歩いていたおばちゃんが普通にかるいを背負って歩いていて、そのことにすごく感動しました
「村仕事する時には必ずかるいを背負っている」「袋を下げるより、背負った方が楽」なんだと村の人は話す。
時代が移るにつれて需要が減少
かるいの材料となるのは、町内で取れた真竹を均一に削った竹ヒゴだ。長さ5メートルほどの竹ヒゴを約50本使い、数週間かけて編み込んでいく。
テレビ宮崎・又川岳人記者が「かるい」を背負ってみると…。
「竹でできているとは思えない」ほど背骨にフィットしていると驚きの様子だ。
かつて「かるい」は、村人たちの暮らしに溶け込んでいた。しかし、ビニールやプラスチック製のカゴが流通するようになると、「かるい」の需要が次第に減っていった。
「技術を若い世代へつないでいく」
約20年、技に磨きをかけている小川さんは、町に残る数少ない職人の一人となった。
竹細工職人・小川鉄平さん:
昔の人が籠を作って、いろいろな技術を編み出してきた。僕が教えてもらった職人さんたちもそうだし、それをずっと一生懸命やってきた。いま、若い人が竹細工をやりたいと言ってきていて、僕も職人に教えてもらったので、できるだけのことをつないでいければ
日之影町の伝統工芸に心をつかまれ移住した小川さんは、竹細工には色あせることのない魅力があると語る。
竹細工職人・小川鉄平さん:
竹籠とか自然素材のものは、出来上がった瞬間よりももっと良くなる。使っているうちにもっと美しくなる。もっと手になじんだり、もっと愛着が湧く。便利で早くて安いだけじゃないものがある気がします
時の流れとともに美しさを増す日之影町の竹細工には、脈々と受け継がれてきた職人の技と情熱が宿っている。
(テレビ宮崎)