9月、長野県諏訪市の店で借りられたレンタカーが、約1000キロ離れた大分県まで乗り逃げされる被害があった。その車は、大型トラックと衝突事故を起こし、レッカーされていた。レンタカー店は被害届を提出していて、警察が横領の疑いで捜査している。
「母親が倒れた」とレンタル延長
9月17日、午後3時ころ、黒い服装の男が諏訪市のレンタカー店に現れた。
借りたのは黄色のオープンカー。約600万円するという高級外車。
被害に遭ったレンタカー店は男について、「化粧をしている感じで、逆に印象に残っている」と話す。

5時間だけ借りる約束だったが、返却時間の間際に男から店に電話が入った。
「母親が倒れたのですぐに向かいたい。車のレンタルを延長したい」
店は3日間の延長を了承した。

事故を起こし、大分でレッカー
その翌日、不審に思った店主がオープンカーに取り付けていたGPSで位置情報を確認したところ、車があったのは長野からおよそ280キロ離れた大阪駅付近の駐車場だった。
さらに、その後、滋賀県の琵琶湖周辺へと移動した。
車の返却期限を迎えた9月20日。
男からショートメールで「さらに3日間の延長をしてほしい」と連絡が入った。
そして、3日後の23日、車はなんと大分県にあった。

その場所は、事故車をレッカー移動する会社だった。
右側のバンパー付近が壊れた黄色のオープンカー。
大型トラックとの衝突事故を起こし、レッカーされたのだ。

約1000キロ 乗り逃げか
男はこの会社でも車を借りると「レッカー代のお金を取りに行く」と話し、その場を離れたという。
レッカー会社の代表は男の様子について、「高級外車はウインカーが日本車とは逆についている。それが男はわからなくて、えっ大丈夫」と、不信感を抱いたと話す。

男が車を乗って出た直後、この会社に、諏訪市のレンタカー店から連絡が入り、被害が発覚した。
そして、乗っていた車につけられていたGPSにより、男がいる場所が福岡県内のコンビニ店であることがわかった。
男はそこで警察に事情を聴かれたという。
移動距離約1000キロに及ぶ乗り逃げ。
諏訪市のレンタカー店によると、男はいまも代金10万円を払っておらず、連絡もつかなくなっているという。

大阪のレンタカーでも
男による被害はこれだけではなかった。
2日後の9月25日、大阪のレンタカー店で1日の約束で車を借りたが、返却されることなく店から約50キロ離れた商業施設で見つかった。

被害に遭ったレンタカー店は、「不思議に思ったのは長い免許番号を免許証を見ずに書いた。『こんなに長い番号を覚えているんですか?』と尋ねたら、『いつもよくレンタカー借りるので覚えています』と話した」と、男の行動を不審に思ったという。
さらに、車のドライブレコーダーには、驚くべき映像が捉えられていた。
大阪府内の高速道路を時速158キロで走行。次々と車を追い抜き、暴走していたのだ。

男は車のレンタル料の一部は支払ったが、いまだ30万円ほどが支払われていないという。
被害に遭ったレンタカー店は、「ひどい、最低限のお金だけ払って、うそばっかりついて、平然と過ごしているのは許せない」と憤る。
なお、諏訪市のレンタカー店は被害届を提出していて、警察が横領の疑いで捜査を進めている。

(長野放送)