全国で年間20件から30件ほどあるという、ため池での事故。農業用水など水源として重要な役割を担うため池だが、ここでの事故防止に向け、新潟県三条市で実演を交えた講習会が開かれた。ため池に潜む危険とは…

ため池に落下… どうやって岸に戻る?

「岸へ戻ろうとすると、足が滑ってさらに奥に行く」実演を交えながら、その危険性を伝える水難学会の指導員。

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三条市で開かれたのは、ため池の水難事故防止に向けた講習会だ。県内各地のため池の管理者のほか、地元の小学生など合わせて約70人が参加した。

実際にため池に入って実演する水難学会の指導員と長岡技術科学大学の学生。「声を出す、手を上げる。この行為が一番危ない。では、どうすればいいかというと、空気をいっぱい吸って背浮きできますか?このポジションをとれば、基本的に人間の体は浮きます」

手を上げるのは危険
手を上げるのは危険

万が一、ため池に落下した場合は、息を大きく吸い、仰向けで浮く体勢をつくり、手で水をかいて岸へ向かうのが望ましいという。

ただ、岸にいる人が助ける際にも注意が必要だ!「手を差し出すと、引き込まれて自分も落ちる」

助ける際、岸から落ちてしまうおそれも
助ける際、岸から落ちてしまうおそれも

実践した学生は「水中では体力が消耗するというか、思ったほど力が入らなくて、登るのは見た目よりかなり厳しい」と話す。

そこで、ため池の周囲にロープやはしごなどをあらかじめ設置しておくと救助の際に役立つという。

事故防止へ「ため池には近づかない」

ため池の落下による死亡事故は、毎年全国で20件~30件ほど発生していて、釣り人や周辺で遊ぶ子どもの事故が多くなっている。

間近でその危険性を見て学んだ児童は「大人がいないときに、ため池付近とかで遊ばないでケガしないようにしたい」と話した。

一方で、講習会に参加したため池の管理者も「我々の管理するため池は住宅に近いので、子どもたちが遊ばないかと、滑って中に入って事故に遭うのをどう防ぐかが勉強になった」と口にした。

水難学会の会長で長岡科学技術大大学院の斎藤秀俊教授は「基本的にはため池には近づかない。作業等でどうしても近づかなければいけないときは転落防止をする、万が一転落したときは背浮きになるなど、無理に上がろうとせずに救助を待ってほしい」と注意を呼びかけている。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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