若者に絶大な支持を集めた伝説のフォークグループ「アリス」のリーダーとして活躍。その後、ソロアーティストとして、数々の名曲を残した、谷村新司さん(74)。

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きのう、10月8日に亡くなったことを、所属事務所が明らかにしました。

2002年3月12日放送 「とくダネ!」
2002年3月12日放送 「とくダネ!」

フジテレビに残されたインタビュー映像には、歌手・谷村新司さんが、赤裸々に語った名曲の誕生の裏話が残されていました。

過去のインタビューからひもとく“谷村新司”

谷村新司さんは、1948年、大阪府生まれ。ギターをはじめたのは、中学生のころでした。モテたくてはじめたというギター。

2002年3月放送の「とくダネ!」のインタビューには、当時のことを少し恥ずかしそうに語る谷村さんがいました。

谷村新司さん:
当時文通っていうのがありまして。山形県の女の子に手紙を出したら返事がきて、それでずっとやりとりが続いて、盛り上がってくるんですね、どんどん。すると、運命の瞬間っていうか…写真の交換しない?っていうのがきて、やばいと。
それで、一番本人はイケてると思ってる写真を送ったんです。それでいつも1週間たったら返事がくるのに2週間、3週間、そのままなしのつぶてで。
(モテない自分に)もう二度と戻りたくないという思いで、1日7時間ぐらい練習してましてね。だから、モテたいっていうエネルギーってすごいと思ったんですよ。

次第に音楽にのめりこみ、高校時代にはアマチュアバンドで活躍。そして、大学生時代に「アリス」のメンバーと運命の出会いを果たしました。

アリス結成直後、谷村さんは、音楽活動と並行して、友人とイベント事業に乗り出しますが、ことごとく失敗。25歳で1億5千万円もの借金を抱えていました。

谷村新司さん:
もっと簡単に、ドカンといこうやないか!というんで、一番最初はジェームス・ブラウンっていう外タレを呼んで、一発当てようと。で、大阪のフェスティバルホールで、手打ちで…200人、2300人ぐらい入るホールに200人。それで4000万ぐらいですかね。赤字。借金みたいな。

そんな中、一発逆転を狙い、作った曲が、1977年に発表された「冬の稲妻」でした。

谷村新司さん:
その、勝負をかけようって。とりあえず日本一になろうって、勝負曲として「冬の稲妻」を作って。それで、その瞬間からテレビへ勝負に出て行った。

若い男女の突然の別れを描いた名曲は、大ヒットを記録しました。

翌1978年に発表した「チャンピオン」など数々のヒット曲を残し、1981年に活動を休止した「アリス」。
その後、谷村さんは、ソロのシンガーソングライターとして活動を始めました。

「我は行く」というフレーズが耳に残る名曲、「昴」。この曲に込められていたのは、一人の音楽家としての生きざまだったといいます。

谷村新司さん:
山の頂まで行ったら、あとはどこへ向いても下るしかないっていう、だから頂に向かう前に、どういうふうに下るか、それで下っていく方向が次の山にちゃんと向いていなくちゃいけないって思っていたので。
だから、そういう思いで作ったのが「昴」だったものですから、自分の行くべき道っていうのを、あの歌が知らせてくれたというか。

「アリス」再始動の喜び

2015年には紫綬褒章を受賞するなど、日本を代表する音楽家として高い評価を受けてきた谷村さん。

紫綬褒章を受ける谷村新司さん
紫綬褒章を受ける谷村新司さん

2018年3月放送の「ボクらの時代」では、堀内孝雄さん、矢沢透さんと共に、アリス再始動の時のこと、そして「アリス」として、再び舞台に立った喜びを語り合っていました。

谷村新司さん:
こんだけバラバラな音楽環境の3人が、1つになっていくっていうのは、またこれは不思議もんだね。

谷村新司さん:
僕らも振り返ると、1回活動停止して、それで3人がもう1回集まるって気持ちになった瞬間っていうのは、神戸。阪神淡路の震災があって、本当に僕ら支えてくれた人たちを、元気にするのは、アリスがもう1回、神戸の国際会館に立つことが、1つかもしれないと思って。

堀内孝雄さん:
たまたま3人会ったのも国際劇場なの。

谷村新司さん:
そのときに震災にあって、大変だった人たちが、すごい喜んでくれたのを見た瞬間に、月日が流れたけど、また3人こうやって、みんなの前に出れたことが、やっぱりうれしくて。

歌い継がれる数々の名曲…曲作りの秘訣は?

多くの人に勇気や笑顔を与え、世代を超えて歌い継がれる谷村さんの歌。
「とくダネ!」のインタビューで、曲作りの秘訣を聞かれた際、こんなユーモアで返してくれました。

――曲作りの秘訣とは?
谷村新司さん:

映画を見たり、本を読んだり、人と会ったり、旅したりしていましたんで、あっ!いい“うんち”が出そうだなって思う時に、しゃがむっていうのが、作る作業と一緒だったので。
だから割と出てくるときは、1本グソみたいな感じ。スポーンという。

(めざまし8 10月17日放送)