FNNの10月の世論調査で、岸田内閣の支持率は35.6%、9月より3.3ポイント下がった。
2021年10月に岸田内閣が発足して以来、支持率は過去最低となった。
岸田首相が「物価高対策」や「賃上げ継続」を掲げる経済対策については「期待しない」が62.2%だった
内閣支持率3.3ポイント下落し35.6% 経済対策での支持率浮揚は不発
FNNは、10月20日からの臨時国会召集に先立つ10月14、15日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1022人から回答を得た。
この記事の画像(9枚)【岸田内閣への支持】
支持する 35.6%
支持しない 59.6%
岸田首相は、10月末までに「物価高対策」「賃上げの継続」などを目指して経済対策をまとめるとしているが、内閣支持率は35.6%で、9月に比べて3.3ポイント下落、2021年10月の政権発足以来、過去最低となった。また不支持率も59.6%で、最も高くなった。内閣の“危険水域”と言われる「支持率30%割れ」には至っていないものの、支持率30%台は、2カ月連続で、政権の体力低下が続いている。
【岸田内閣を支持しない理由】
政策がよくない 36.9%
実行力に期待できない 31.4%
自民党中心の内閣だから 19.2%
人柄が信用できない 8.8%
他によい人がいる 2.2%
岸田内閣を「支持しない」理由については「政策がよくない」が最も多く36.9%、次いで「実行力に期待できない」が31.4%と続いた。岸田首相は、10月4日で政権発足丸2年となる節目に際し「世界的なエネルギー危機や物価高、こうした出来事を前に、正面から向き合い、決断し、実行することを続けてきた」と自らの2年間を振り返った。しかし、正面から取り組んだ「政策」対応と、「実行力」が、いずれも政権を「支持しない」理由となっているのが現状だ
肝いりの経済対策に6割が「期待せず」 税収増の還元は「減税」求める声
【岸田首相の経済対策】
期待する 34.9%
期待しない 62.2%
その岸田首相が、この一カ月、発信を繰り返しているのが10月末までにまとめる経済対策だ。「物価高対策」として、ガソリン・電気・ガス料金の補助金を2024年3月まで延長するほか、「賃上げの継続」、「減税と給付」、さらに106万円の壁対策として50万円の助成金を打ち出し「社会保障負担の軽減」も打ち出すなど、政策総動員でアピールしている。ところが、その経済対策に「期待する」との答えは3割程度にとどまり、「期待しない」人が6割を超え、内閣支持率の足を引っ張る評価となっている。
岸田首相は「増収増を国民に還元する」と表明している、その政策手段について有権者は何を望んでいるのか。
【税収増の還元にふさわしい方法】
減税 51.7%
給付 16.1%
財政赤字の縮小 29.9%
22年度の税収の上振れは、約6兆円で、こうした税収増について、「減税」が最もふさわしいとの答えが51.7%で過半数となった。「給付」が最適とする人は16.1%だった。一方で、国の借金に当たる国債発行残高は1200兆円に上り、国民1人当たり1000万円を超える中、約3割が「財政赤字の縮小」と答えた。
減税については、自民党の世耕参院幹事長と、公明党の経済対策案が「所得税減税」に言及している。この「所得税減税」について期待する声が53.5%にのぼった
【「所得税減税】について】
期待する 53.5%
期待しない 42.7%
解散命令請求で旧統一教会と自民は「決別」か
岸田首相は、10月末までのとりまとめを進める経済対策について「物価高対策」と「デフレ脱却を確実で継続する」2つの狙いを表明している。ただ、永田町でもっぱらとなっているのは3つめの狙い「解散への環境整備」だ。岸田総理は、あらゆる政策手段を経済対策に投じて、政権浮揚を図り近く解散に踏み切るのではないかとの観測だ
“あらゆる手段”の一つにもみえるのが、去年、政権支持の急落につながった旧統一教会への対応だ。政府は13日に、旧統一教会への解散命令を東京地裁に請求した。岸田首相は同じ日に「旧統一教会および関連団体との関係遮断を徹底する」として教団との決別を掲げた
【旧統一教会への解散命令請求】
適切 84.9%
適切ではない 8.8%
わからない 6.3%
岸田首相は解散に踏み切るか見送るか?求心力占う10月22日の衆参補欠選挙
今回の世論調査では、支持率は、過去最低となり、解散環境を整える“弾込め”との見方もされる経済対策は、不発に終わった形となる中、有権者のなかでも衆議院の解散総選挙について気運が高まっているとは言いがたい状況だ
【衆議院の解散総選挙の時期】
臨時国会召集(10月20日)の後速やかに解散 17.2%
年内に解散 26.9%
来年以降に解散 24.0%
再来年の任期満了まで解散の必要なし 25.0%
臨時国会の召集直後という意見の他は、意見が3つに分かれている状況で、有権者のおよそ半分が解散については来年以降という考えが明らかになった。岸田首相が経済対策を打ち上げる前に行った9月のFNN世論調査でも、解散時期については「来年以降」が23%、「再来年の任期満了まで解散の必要なし」が28%だった。経済対策は、解散環境を整えるには至っておらず、有権者の中で、早期の解散総選挙を求める機運は、横ばいとなっている。
関連して「総理にふさわしい人」調査でも、岸田首相は小泉進次郎元環境相に次ぐ7.8%で8月に行ったときと同様だった。上位3人は石破氏、河野氏、小泉氏で変わらず。経済対策はここでも岸田首相に追い風とはならなかった。
【次の首相としてふさわしいと思う人】
石破茂 自民党元幹事長 13.5%
河野太郎 デジタル相 12.1%
小泉進次郎 元環境相 10.5%
岸田文雄 首相 7.8%
高市早苗 経済安保相 6.4%
菅義偉 前首相 5.4%
茂木敏充 自民党幹事長 2.1%
林芳正 前外相 1.9%
野田聖子 元少子化相 1.8%
西村康稔 経産相 0.8%
泉健太 立憲代表 0.7%
萩生田光一 自民政調会長 0.4%
馬場伸幸 維新代表 0.4%
直近の永田町では、自民党議員から「解散は無いと思う」との声も聞かれる。岸田政権が解散環境を整えられていないと見る意見だ。今後の支持率の行方次第では、岸田首相の解散権が縛られることにもなりかねない。まずは、10月22日に衆議院の長崎4区、参議院の徳島・高知選挙区の2つの選挙区で行われる補欠選挙が、岸田首相の今後の求心力を左右する、試金石となる。
(フジテレビ政治部デスク 世論調査担当 西垣壮一郎)