「温暖化で今起きている海の問題を放置できない」と立ち上がったのは、一般社団法人 里海イニシアティブの理事・富本龍徳さん。
5年前から神奈川県横浜市にある八景島沖合でコンブの計画養殖に取り組んでいる。
この記事の画像(9枚)富本さんは「最初、コンブと聞いたときは食べるイメージしかなかったのですが、調べていくうちに、育てることで海の環境にとっても良いということがわかった」と話す。
温暖化防止や生態系の保護に効果
以前はほとんどとれなかったコンブが、今では3~4メートルにまで育つように。
コンブは地上の森と同じく、光合成により水中のCO2を吸収し、酸素を排出する。「藻場」と呼ばれる、コンブやワカメなどが生い茂った場所では、二酸化炭素吸収量が杉林の5倍にも及ぶことがわかっている。そのため、温暖化防止や生態系の保護に効果がある。
収穫されたコンブは、市場に卸したり、様々な商品に加工して「横浜コンブ」をPRしている。水揚げしたコンブの計量や採れたてを試食するイベントも開催している。
富本さんは「海の温度が上がり、魚たちが大変だったり、海藻がなかったりして、末期的だと思っていて。本当に放置できない。人間の力で海に還元していけるようにしていかないといけない」と訴えた。
海だけでなく畑でも活躍
富本さんはこのプロジェクトを多方面に広げようと農家と組み、「コンブ堆肥化プロジェクト」に挑戦している。
コンブの食べられない部分を畑の堆肥として使う、このプロジェクト。
畑の土にコンブを入れて、枯れ葉や米ぬかなどと混ぜて発酵させる。土の中で微生物が活発化すると、白カビが発生する。これは土が生きている証拠。集まってきた虫のふんも作物の栄養源となる。
農薬も化学肥料も使わない畑。コンブ堆肥を使うと作物の根が強くなるという。
プロジェクトを一緒に行っている「横浜健康ファームともだち」の坂田守昭さんは、「畑はミネラルが足りない。天然のミネラルがどこにあるかと探したら海の中にあった」と明かした。
こうして育ったレタスは、葉が厚く瑞々しい。
コンブによって作物が育つ大地を日本中に届けたいと願う富本さんは、「海の問題を解決するためにコンブの養殖をどんどん広げていき、日本全国に海の森を作っていきたい」と語った。
一般社団法人里海イニシアティブ
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