いよいよ開幕戦を迎えるバスケットボールB2リーグの熊本ヴォルターズ。昨シーズンの地盤を引き継ぎ、「今シーズンこそ」と意気込むチームを取材した。
遠山体制2年目 守備重視のスタイル
昨シーズンはプレーオフ進出こそ果たしたヴォルターズだったが、4度目となるB1昇格への挑戦は初戦で幕切れとなった。

本村亮輔主将:
「今シーズンが最後だ」くらいの気持ちで臨みたい。死に物狂いで“B2優勝、B1昇格”を(目指し)覚悟を決めてやっていきたい
遠山体制2年目となる今シーズンは、「守備重視」のチームスタイルをより強固にするため、昨シーズンの主力を含め9人が継続した。

遠山向人ヘッドコーチ:
昨シーズンの土台があって、多くの選手・スタッフが残ってくれたので、その土台をベースに今シーズン、より組織化していいシーズンを送りたい
攻撃に力を 長身ガードの駒沢颯が加入
その上で攻撃では速攻に力を入れようと、スピードと視野の広さを併せ持つ長身ガードの駒沢颯選手が加入した。

駒沢颯選手:
得点力が自分の持ち味だと思う。どんどん点を取りにいきたい
実は遠山ヘッドコーチが駒沢選手にオファーを出したのは、このオフシーズンが初めてではないという…。

遠山向人ヘッドコーチ:
(駒沢選手が2シーズン前)青森ワッツにいた時にビックリするくらいうまい選手がいて、「何事か!」と思って。対戦相手の個人分析では、どのチームも外国籍選手が中心になるが、青森戦では駒沢選手の分析しかしなかった。本当にビックリした。“こんなにうまい選手がいるのか”と。それから自チーム以外の選手としては最優先にリクルートしたが、昨シーズンは越谷アルファーズに移籍してしまった。1年間追いかけ続けて、今回来てくれることになって良かった
B1を含めた複数のチームからオファーがあったという駒沢選手が、それを蹴ってまで熊本ヴォルターズに加入した理由は、熱烈なラブコールだけではなく、熊本ブースター(※ファン)の熱量にあった。

駒沢颯選手:
(遠山さんが)2シーズンかけて呼んでくれて、一緒にプレーしたかったのと、対戦していて熊本はブースターが多く熱量がすごい。そのブースターの前でプレーしたいなというのが大きかった
補強で4選手 アシスタントコーチも招聘
そんな駒沢選手の他、守備に定評があり、スピードとどこからでも得点を狙える攻撃力が持ち味のアーロン・ホワイト選手など、新たに4選手が加わったヴォルターズ。
補強は選手のみならず、過去熊本にスタッフとして所属し、昨シーズンは長崎ヴェルカのB1昇格に貢献したヒル・ライアン氏をアシスタントコーチとして招聘(しょうへい)し、「勝者の精神論」をチームに落とし込んでいる。

ヒル・ライアン アシスタントコーチ:
(昇格した長崎と)同じ要素をヴォルターズに当てはめたときに必要なものを還元したい。長崎での経験を還元する番だと思っている
このオフシーズンには5年ぶりとなる合宿を行い、“遠山バスケ”を新戦力にも浸透させ連携力を強化。さらにB1や海外など全7チームとの練習試合から課題をあぶり出し、新シーズンに向け着々と準備を進めている。

遠山向人ヘッドコーチ:
チームとして責任感、危機感、技術的な面を含めた遂行力をシーズンを通して底上げしたい
守備の要 磯野が右足首を骨折し復帰未定
しかし、開幕を1カ月後に控えた9月9日、守備の要である磯野寛晃選手がプレシーズンマッチで右足首を骨折。復帰時期は未定と、開幕前から大きな試練を迎えたヴォルターズだが、チーム一丸で乗り越える覚悟だ。

山本翔太選手:
遠山さんも、磯野さんの守備を「みんなでカバーしよう」と話していて、個人的には守備に力を入れている
本村亮輔主将:
磯野選手は「負けず嫌い」。気持ちの部分でもチームを引っ張ってくれていた。自分はキャプテンとしてプレーだけでなく、メンタル面も補いたい
B2リーグ開幕戦は滋賀レイクス
14チームが2つの地区に分かれる今シーズンのB2リーグ。8チームで争うプレーオフで2位以内に入れば、B1への自動昇格が決まる。
開幕戦の相手は、B1から降格してきた滋賀レイクス。優勝候補の一角と目されていて、開幕カードはまさに今シーズン最初の“天王山”だ。

遠山向人ヘッドコーチ:
まずは開幕戦。いいプレーをして勝利して、熊本の皆さん、ヴォルターズレッドの皆さんに僕たちのバスケットボールを通じて喜んでもらいたい
リーグ屈指の応援を背に、今シーズンこそ主役に。約半年に及ぶ戦いがいよいよ幕を開ける。
(テレビ熊本)