皆さんは、財布に現金をどのくらい入れているだろうか。実は“キャッシュレス派”は“現金派”よりも、多くのお金を持ち歩く傾向にあることがわかった。

クレジットカードとお金の総合メディア「MoneyGeek」(運営:株式会社モデル百貨)は、8月23~29日、全国の20代以上の男女1000人を対象に支払い方法の現状を調査。

キャッシュレス派、現金派の比率(提供:MoneyGeek)
キャッシュレス派、現金派の比率(提供:MoneyGeek)
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その結果、支払い方法はキャッシュレス派が61.1%、現金派が38.9%ということが判明。年代別で大きな差はないが、20~30代は現金、50~60代以上はキャッシュレスを好む傾向にあったという。

普段利用している支払い方法で最も多かったのは現金(提供:MoneyGeek)
普段利用している支払い方法で最も多かったのは現金(提供:MoneyGeek)

ただ、普段利用しているすべての支払い方法を尋ねたところ、最も多かったのは「現金」となり、次点で「クレジットカード」「二次元コード決済」「交通系IC」が利用されていた。

そのため、キャッシュレス派にも現金を利用する人が一定数いるとみられるという。このほか、高齢層はクレジットカード、若年層は二次元コード決済を利用する傾向にもあった。

キャッシュレス派の財布に現金は平均「1万4449円」

経済状況はどうなっているのか。財布に入れている現金の額を聞いたところ、平均は現金派が1万2677円、キャッシュレス派が1万4449円だった。

キャッシュレス派が財布に入れている金額(提供:MoneyGeek)
キャッシュレス派が財布に入れている金額(提供:MoneyGeek)

さらに毎月の貯金額でも、平均は現金派が2万3918円、キャッシュレス派は3万1470円となった。年代別で見てもすべての年代で、キャッシュレス派の貯金額が多かったという。

別の支払い方法があるはずのキャッシュレス派の方が現金を多く持ち歩いていたが、これはどうしてなのだろう。MoneyGeek編集部の担当者に聞いた。

「経済圏」の概念が浸透しつつある

――キャッシュレス派と現金派が、それぞれを好むのはなぜ?

Suicaや二次元コード決済など、キャッシュレスはコロナ禍での衛生面への懸念で勢いを増しています。ポイントを中心とした「経済圏」の概念も浸透しつつあり、ポイントが付く支払いをしたいニーズが高まっているのだと思います。

現金派に関しては、クレジットカードのセキュリティへの不安が強い方、安定的な所得がなく、持ちたくても持てない方が多いと思います。スマホ決済のしくみや使い方がわからず、手を出すのが面倒に感じる層も高齢者を中心にいらっしゃるようです。


――お金に関する考え方や感覚は違ったりする?

考え方や感覚に大きな違いはないと思いますが、お金の使い道に価値を置いている方、お金の使い道に目的がある方はキャッシュレス派に多いイメージです。お金を持っていること自体に価値を感じ、「何かあったときのために貯めておく」方は現金派に多いように感じています。

交際関係も影響していそう(画像はイメージ)
交際関係も影響していそう(画像はイメージ)

――高齢層はクレジットカード、若年層は二次元コード決済の利用が目立ったが、背景は?

スマホの扱いに慣れているか、交際行動の違いだと思います。デジタルネイティブ世代はスマホで何でも済ませる傾向にありますし、多人数での飲食では割り勘機能のあるアプリも便利です。プリペイド型(チャージ型)で利用できるのは、使いすぎを防ぐ意味でも若年層は安心に感じているようです。

 キャッシュレス派「念のため入れておこう」

――財布に入っているお金は、現金派よりもキャッシュレス派が多かった。これはなぜ?

個人的な想像になりますが、現金派の財布の現金が少ないのは「いつでもお金を下ろせる」からだと思います。行動範囲内のどこに銀行があるか、財布の中の現金がこれくらいになったらいくら下ろそう、というような自分なりのルーティーンを持っているのではないでしょうか。

現金を使っていないと、どこで下ろせるか分からない、いくら必要になるか分からないことも考えられます。キャッシュレス決済が使えないお店もあるので、キャッシュレス派は「念のため入れておこう」という、リスク回避の感覚があると思います。

毎月の貯金額にも違いがみられた(提供:MoneyGeek)
毎月の貯金額にも違いがみられた(提供:MoneyGeek)

――毎月の貯金額もキャッシュレス派が多いが、これはなぜ?

キャッシュレスを生活に取り入れている方は、比較的マネーリテラシーが高いように感じます。自分のお金の使い方と向き合い、見直したことがあったり、節約や家計管理のために利用している方もいます。家計の見直しをしてみて、キャッシュレスを積極的に利用し始めた、ポイントを貯めている分、貯金できているといった背景もあるかもしれません。

目先のポイントではなくお金の流れを知ることが大切

――キャッシュレスと現金のメリット、デメリットは?

現金のメリットは、目の前に物理的に存在し、足し算と引き算のみでわかりやすく把握できるという安心感だと思います。デメリットは物理的に持っているがゆえの紛失・盗難リスク、衛生面での懸念、管理の手間など、運用上の面倒さでしょうか。

キャッシュレスのメリットは、利便性の高さと自らの金融的信頼(信用情報など)を証明できる点だと思います。デメリットは、セキュリティの懸念と貨幣価値観念の希薄化でしょうか。スマホの数字が変化しているだけで、お金を使っているという感覚が薄れてしまう懸念も考えられます。

今回の調査で聞いた、支払い方法に感じるメリット、デメリットの回答(提供:MoneyGeek)
今回の調査で聞いた、支払い方法に感じるメリット、デメリットの回答(提供:MoneyGeek)

――キャッシュレスと現金を上手に使うためには?

合理的に考えることです。例えば、コンビニでキャッシュレス支払いだとポイントが何%かもらえますが、別の場所で同じ商品が現金払いで安く買えるかもしれません。ポイントがあるということは、その分を自分やお店や製造者のどこかが負担しています。目先のポイントやキャンペーンなどにつられるのではなく、お金の流れを知っておくことが大切だと思います。



キャッシュレス派が多くのお金を持ち歩くのは、リスク回避の考えが影響していそうだ。キャッシュレスと現金どちらも良い面はあるので、用途や状況で使い分けてもいいかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。