自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。

「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、こんなお話。

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「大人扱い」してあげるべき?記事の続きをチェック!
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「大人からみたらまだまだ小さい子どもだけど、本人は『もう大人』と思ってる?“子ども扱い”で地雷を踏んじゃうことも…​」

ある日突然、「もう子どもじゃない!」と反抗しちゃう子どもたち。
SNSには「5歳の子どもを寝かしつけていると『もう子どもじゃないんだから、頭を撫でないで!』と怒られた」「『もう子どもじゃないからね』と言ってママの化粧品でメイクの練習をしていた」「おなかをポンポンすると『もう赤ちゃんじゃないから、ポンポンしないで』と手をどかされた」など、子どもたちは実は自分のことを「かなり大人」だと思っていそうなエピソードが多数投稿されているけれど…。

「そうは言っても、実際にまだまだ子どもだし…」と困ってしまうパパママも多いはず。「もう子どもじゃない!」と主張する我が子には“大人扱い”してあげるのがいいの?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

子どもは早い段階から「自分は一人前」と思っている?

――「もう子どもじゃない!」こんな“自覚”はいつごろ芽生えるの?

言葉ではっきりと「もう自分は子どもじゃない」と言うかどうかは、その子の性格も関係してきます。言葉ではなく態度で出す子(子ども扱いするとムッとする、大人や年上の子のまねごとを好むなど)もいるでしょうし、控えめで消極的な性格のお子さんなら甘えたい気持ちの方が強いままということもあるでしょう。

ですが、内心ではどうかと言えば、子どもたちはかなり早い時期から、「自分は一人前だ」と感じています。

みなさんがご存じの“イヤイヤ期”は「イヤ、イヤ!」が増えることからそのネーミングがついていますが、実際に起こっている心理学的な意味合いは、自我の急成長です。2~3歳の頃は、「ぼくが!」「わたしが!」という思いが全面に出て、まだできないことでもやりたがる様子がよく見受けられます。

このような自立行動の現れは、今回のテーマである「もう自分は子どもじゃない」という思いの“芽”のようなものです。それが年を追うごとに大きくなっていき、何らかのきっかけ(例:子ども扱い・年下扱いされたなど)があると言葉として出やすくなるのでしょう。よって、イヤイヤ期を過ぎた後の4~6歳くらいの時期に一番出やすい言動ではないかと思います。


――パパママは子どもの「もう大人!」という気持ちを汲んであげるのがいいの?

場面によって望ましい対応は変わってくると思います。たとえば車通りの激しい道路で「手をつなごうね」と言ったら、「もう子どもじゃない!」と主張された。こんなときに「そうだよね」と受け入れてしまったら、危険が伴います。
他にも「1人で〇〇したい」「1人で〇〇に行きたい」など、年齢的に見て、その子の安全が保証できないような場合や、あるいは(「大人はいつまでも起きているもの」という理解のもとで)まだ寝たくない、ゲームやテレビをもっとやりたい・見たい、の交渉として「もう子どもじゃない」と言う子はいると思われます。このような場合も「もう子どもじゃない!」という気持ちを汲んであげるべきではない場面だと思います。

一方で、その子の年齢相応の行動やいい成長につながるかもという場面での「もう子どもじゃない!」という主張であれば、あながち間違っておらず、親が手を出し過ぎていることへの反発かもしれません。
そういう場合は「そうだね、ママは横で見ていようかな」「助けてほしい時は言ってね」など、見守りの姿勢に切り替えるのが望ましいでしょう。

この場合、パパやママ(=大人)が普通にこなしていることで、子どもがやろうとすると「ママがやるからいいよ」と言っていることなどはターゲットになりやすいと言えます。
年齢にもよりますが「ごはんをよそう」「食器(割れ物)を運ぶ」「買い物袋を持つ」など、結果的にお手伝いにつながるようなことが当てはまりそうです。こういうときは、その思いを汲んであげて、見守ってあげられるといいのではと思います。


――子どもへの「大人扱い」、しちゃいけないことはある?

やってはいけないのは「自分で全部できるんでしょ」「じゃあ勝手にしなさい」と丸投げしてしまうことです。いくら「もう子どもじゃない!」と言っても、実際にはまだまだ子どもですので、その気持ちは受け入れつつも、傍らで見届けてあげてほしいと思います。

少々大きな話になりますが、“脱・子ども扱い”にもつながるので少し加えますと、育児の基本的な心構えとして大事なのは、お子さんが何歳であっても、ひとりの人間としてリスペクトすることです。「この子はこんな風に思っているんだなぁ」とその思いを受け止めてあげることは、その子を理解する上でとても大事になります。

この場合で言うなら、「『子どもじゃない』って思っているんだなぁ」と理解してあげることです。実際にはまだ子どもだけれど、その子が「もう子どもじゃないのに!」と感じたのはまぎれもない事実。それを「何をバカなこと言ってるの」などと揶揄してしまうのは、ひとりの人間としてのリスペクトに欠けてしまうことになりますし、まさに「子ども扱い」です。
その子なりに何かしらの色々な経緯があって、「もう子どもじゃないのに!」と思うに至ったはずなので、その心理や背景を探って、気持ちを理解しようとしてあげることがリスペクトにつながります。

子どもの身に危険が伴う場合と、親が手を出し過ぎている場合の両極端の例を取り上げましたが、基本的には「もう子どもじゃない」という発言は、可愛い背伸びとして前向きに捉えていくのが望ましいと考えています。

いわゆる“イヤイヤ期”を過ぎたころから、子どもたちの中には「もう子どもじゃない!」という自覚が出てくるそう。
まだまだ幼いけれど、その中身は急成長中。「頭をなでられたくない」「パパママに手伝ってほしくない」…そんな主張は「まだ子どもなんだから、いいでしょ」「じゃあ自分で全部できるね」と軽視したり“丸投げ”したりせず、一度受け入れて、温かく見守ってあげるのがよさそうだ。

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・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
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などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?

※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。