自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。

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子どもたちのチャレンジ精神…どうしたらいい?答えは記事の続きで!
子どもたちのチャレンジ精神…どうしたらいい?答えは記事の続きで!

「エレベーターのボタンを押す、ドアを開け閉めする…などなど、『自分が○○したかったのに!』と怒る子どもたち。オンにした電気のスイッチを一度オフにしてから、子どもに“やり直し”してもらうことも…


パパママがしたことを「あれやりたかった!」と言い出す子どもたち。おうちのドアならもう一度閉めさせてあげることもできるけど、「改札に切符を入れたかった!」と言われてしまったら…ちょっと困っちゃう!

簡単にチャレンジできることなら、子ども達にさせてあげた方がいいの?
そしてなかなか“2回目”をさせてあげられないことを我慢してもらうには、どんな風に説得するのがいい?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

時間と相談しつつ「やらせてあげる」のが良い

――「自分で○○したかった」という要求は何歳ごろから出てくるの?

1歳半~2歳あたりから顕著になってきます。ただ、まだこの年齢ですと、「自分でやりたい」という思いを言葉にはできないことが多いので、泣いて訴えたり、あとは自分の名前を連呼するという形で表れることが多いです。「○○くん(がやるの~)」「○○ちゃん(やりたかった~)」のような感じです。

この時期から要求が増えてくるのは、自我の成長によるものです。一般的にはイヤイヤ期や第一次反抗期として知られていますが、子どもたちの心の内部では「ボク」「ワタシ」という概念が急成長しています。生まれてからしばらくは、ママと一体化している感覚を持っていた赤ちゃんも、1歳を過ぎ、自らの足でママから離れて遊んだりしながら「自分はママとは違う独立した人間なんだ」という感覚を身につけていきます。それと並行して、自我が成長し、「自分でやりたい」という思いにつながっていくのです。


――「ドアを開けたい」「エレベーターのボタンが押したい」…全部やらせてあげるべき?

ドアを開けたい、エレベーターのボタンを押したい、このような自発的な行動は、親御さんの時間の許す範囲で経験させてあげるのが理想的です。

1つ朗報(?)と思われるのが、これらの行動はブームがあり、熱しやすく冷めやすいということ。この時期は自分の力を試したい思いから「それやりたかった~」と言っているので、それらの行動が簡単にできるようになってしまうと、飽きてしまうこともよくあります。人間はダメと言われると余計にやりたくなる心理が働きやすいので、ご自身の忙しさと相談しつつも付き合ってあげた方が、結果的にブームも早く過ぎ去ることが多いのです。

一方、気をつけていきたいのは「テレビ見たい!」「おやつをもっと食べたい!」というタイプの要求との区別です。こちらは上記のような自発的な行動とは異なり、自分の欲求を押し通そうとする表れなので、これらも同様に、「受け入れてあげないと」と思ってしまうと、子どもは何にでも我を通そうとするようになってしまいます。

混在させないためのポイントは「それが今後マスターしてほしい行動かどうか」を見極めることです。ドアを開けることは今後できるようになってほしい行動ですが、テレビを見ることを今後促進したいかというと、そうではありませんよね。「これって今後のためにも今受け入れてあげる方がいいかな?」と自問すると判断しやすいと思います。

何度もできないことは「やりたいことリスト」を作ろう

――「切符を改札に入れる」「お菓子の袋を開ける」など、何度もさせてあげられないことはどうしたらいい?

その1回を逃してしまうと、次回まで待たないといけないようなケース、これもよくありますね。これは致し方ありませんので、「あ~そうだよね、やりたかったよね」と受け止めつつ、「じゃあ次にやりたいことのリストに書いておこうね」とママがメモに「おやつのふくろ」「きっぷ」などと書いてあげるのも1つのアイデアです。

“メモ書き”という別の行動を起こすことで、子どもの目線が自然とそちらにそれる形となり、さらにはママが自分の思いを可視化してくれていることに満足感を得られれば、やりたい思いを消化しやすくなります。外出時であれば、スマホに「○○ちゃんのTo doリスト」なるものを作ってあげるのもいいと思います。

幸いこういう時期は、おやつの袋だけ、切符だけ、のように限定的に「やりたかった」が発生するのではなく、日常のさまざまな場面で見受けられることが多いので、他のことでその思いが満たされていると、突如発生した「これやりたかった」が数ある中の1つになる分、そこに執着を起こさせにくくすることも期待できます。

毎日忙しく、時間が限られた中での対応となると思いますので、すべてを満たすのは残念ながら無理です。できるときにできる範囲で参考にしてみてください。

子どもたちの「それ、やりたかったのに!」という要求には困ってしまうこともあるだろうが、自我の成長から生まれてくるもの。自分ひとりで挑戦したい!という前向きなパワーからの要求なので、忙しい時間帯にはすべて応えてあげることは難しいかもしれないが、できる範囲で子どもたちのチャレンジを見守ってあげるのが良さそうだ。

また、繰り返し挑戦させてあげられないことにも「もうできないよ!」と注意するのではなく、まずは「やってみたかったね」と受け入れてあげるのがいいだろう。

一方で、「それやりたかった!」という要求に近いように見えつつも「もっとお菓子が食べたかったのに!」など、“挑戦”とは言いにくいかも…ということにはしっかりと「NO!」と言ってあげるのが、子どもたちにとってもプラスになりそうだ。

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・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
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※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。