新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、マスクや消毒液などの需要が増え、日用品を販売する企業では、24時間フル稼働での増産体制をとるなど、対応に追われた。
そんな中、各社が扱っている商品には、想定外に売れ行きがよかったものや、思ったよりも伸びなかったものもあったようだ。各社の売れ筋から、意外な傾向を見て取ることができそうだ。(※文中の数字は、いずれも2019年4月、5月との比較)

「温泉に行けない」から需要アップ

・入浴剤
外出自粛の影響で、温泉や旅行に行けない時期が続いたことから、家のお風呂で温泉気分を楽しもうと入浴剤を購入した人は多く、花王では、入浴剤の売り上げが1割増えた。
特に複数の香りが入ったパッケージが人気で、毎日の「お風呂時間」を少しでも楽しむためや、外出自粛でたまったストレスを和らげるために毎日違う香りを使いたいという声も多かったという。
また、通勤時間がないことで入浴時間が延びた傾向にあったことも購買意欲に繋がったそうだ。

・芳香防臭剤
芳香防臭剤市場の売上データ(インテージSRIによると)によると、東京都や大阪府などで外出自粛要請が出て間もない4月はじめには、キッチンやゴミ箱向けの芳香防臭剤の売り上げが40%増となるなど大きく伸張した。
トイレ用や部屋用も前年より増加した。
また、小林製薬では2月、3月からキッチンで使う芳香防臭剤が売れ始め、4月、5月には、ゴミ箱の匂いを緩和するスプレータイプが57%増だったほか、在宅時間が長くなったことで、インテリアフレグランスなど高価格帯の芳香剤が35%増加した。
在宅勤務で家にいる時間が長くなったことで、家の中の臭いが気になり始めた人が多いのではないかとみている。

ニーズ合って大ヒットした商品も誕生

・食品保存袋
食品保存袋が、ライオンでは3割増となった。
東京都が、生活必需品の買い物について、3日に1回とすることを要請するなどしたことから、多めに買って冷凍保存をする人が増えたためとみられている。

・食器用洗剤
在宅勤務で、子供が食べ終わった食器をすぐに洗えない時などに吹きかけておくだけで、汚れが落ちやすくなる食器用洗剤スプレーが人気だった。
花王は新製品として投入した商品が、消費者のニーズをうまくとらえる形となり、これまでに127万本を売上げた。
また、ライオンでも食器用洗剤の売り上げが3割増だった。

・生理用品
ユニ・チャームによると、日本だけではなく世界中で売り上げが伸びたということだ。
担当者は「女性の不安心理から、手元に予備分を確保しておきたいということで売上げが大きく伸びたのではないか」と見ている。

オンライン会議中のペット対策に

・ヘアカラー商品
自宅で白髪染めをする人が増えたことはもちろん、学校が休校になったため高校生などが一時的に髪色を変えて楽しむ、いわゆる「おしゃれ染め」の需要も高くなった。
花王では、2割ほど売り上げが増えたという。

・浴室清掃関連商品
ライオンによると、浴室清掃用の洗剤は8割増、「くん煙式」のカビ取り剤が3割増だった。
生活リズムの変化や、清潔意識の高まりなどが背景にあるという。

・ペット用のトイレシートやおやつ
在宅勤務が増えたことや清潔意識の向上で、こまめにトイレシートを交換して臭いを押さえようとする動きが増えたとみられる。
また、ユニ・チャーム担当者によると、オンラインでのリモート会議が増え、ペットの犬などが会議中に吠えたときに、静かにしてもらう「おやつ作戦」のために、ペット用おやつを多く購入する需要もあったという。

‟この季節の必需品“が…

一方で、不調だったものは・・・

・日焼け止め
例年、日差しが強くなり始める5月のゴールデンウィークにレジャーを楽しむ人が増えることで売上げの増加が見込まれていた。
しかし、今年の連休期間は、外出自粛の影響が響いた。
梅雨明け後に本格的に到来する暑い夏に、「マスク焼け防止」として需要が出てくることをメーカー担当者は期待しているようだ。

・オーラルケア商品
飲み会が減ったことや、マスクをする機会が増えたことで、オーラルケア商品にも影響が出ていて、市場全体でみると、5割程度の減少となった。
小林製薬では、もともとインバウンド向けの需要もかなり大きかったため、打撃は大きくなった模様だ。

・制汗剤
ライオンでは制汗剤の売上げが、2割から3割減少した。
外出が控えられ、使う機会が減ってしまったためではないかと分析している。

ここまで各社の売れ筋を見てきたところ…3月には「生活に必要なもの」が主に購入されていたようだ。
それが4月、5月になると、「おしゃれ染め」の用途でもヘアカラー商品が売れたほか、オンライン会議中にペットをおとなしくさせるために、ペット用おやつの需要が生まれるなど、消費者の購買が、日常生活が制限された中で「どのように生活の質を向上させるか」という視点にシフトしたように感じられる。

各社の販売動向からは、「withコロナ時代」のライフスタイルの一端を、今後も垣間見ることができそうだ。

(フジテレビ報道局経済部 奥山未季子記者)