学校など指定された避難所だけでなく、自宅の2階や宿泊施設など状況やニーズによって避難先は様々だ。受け入れる自治体も避難所がリスクにならないよう、誰もが避難できるよう備えを進めている。

もしもの時のための「マイ避難所」

8月27日、長崎市役所前で開かれた「ながさき防災ひろば」で、自衛隊や日本防災士会など9つの団体が「もしもの備え」を呼びかけた。

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日本防災士会長崎県支部・川浪良次支部長:
意外と忘れているのが、トイレを使う時トイレットペーパーがない。トイレットペーパーは湿気を吸いやすい。ビニール袋に入れてしばっておいて2本(ストックして)もらえたら

長崎市の担当者が来場者に配っていたのが「マイ避難所シート」だ。

長崎市の担当者:
日ごろから「マイ避難所」を考えていてほしい。いつ、どこに避難するのか決めてもらって早めの避難行動を心がけてほしい

あらかじめ避難先を考える「マイ避難所」の取り組みは、全国的に広がっている。大雨や地震の時、いつどこに避難するかをシートに記入することで避難行動に役立ててもらおうというものだ。

様々な人のケアのために

自宅の2階などに移動する「垂直避難」も少しずつ浸透している。

来場者:
ひとり暮らしです。(周りの)お年寄りには家にいて下さいと伝えている。下手に雨風の中で行って転ぶより、ケガをするより、自宅の中でじっとしている(方がいい)

一方、自宅以外に移動する「水平避難」の受け入れ先となる避難所の「幅」も広がっている。

諫早市に開設されているのが、ペットと一緒に避難できる避難所だ。イヌ、ネコ・小動物、さらには飼い主スペースと3つの部屋に分かれているのが特徴となっている。

また、ペットが同行できるだけでなく、赤ちゃんや妊産婦専用の避難所を設置する自治体も増えている。そんな中、西彼杵郡時津町は新たな取り組みを進めている。

時津町福祉課・宮田智生さん:
医療的ケアを受けている家族に、実際にどんなケアを受けているのか主治医などの情報を確認して、病院に(情報を)提供していいか同意をもらっている

町内の長崎北病院と協定を結び、人工呼吸器やたんの吸引など、日常的に医療的なケアが必要な人にとって「命綱」とも言える電源と避難スペースの確保を図っている。

大規模災害が起きた時に、高齢者や障害者を受け入れる福祉避難所のひとつとなる総合福祉センターには、2021年に非常用発電機を設置した。

時津町福祉課・川勝歩美課長:
令和2年の台風10号の時に県内でも多くの人が避難して、ここの総合福祉センターにも多くの人が避難してきた。その中に医療的なケアが必要な子どもが1人、家族で避難してきた。命と直結している電源の確保は大切なところ

山積する今後の課題

一方、文部科学省が行った防災機能の調査結果でも課題が見えてきた。

多くの人が避難先としている公立学校施設での飲料水や冷暖房の機器、断水時のトイレ、さらに非常用発電機の確保など8つの項目全てで、長崎県は他の都道府県よりも整備が遅れているのだ。

大規模な災害が少ないことが背景にあるとみられているが、避難所の「幅」だけでなく「基本的な機能」の底上げにも目を向ける必要があると言える。

(テレビ長崎)

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