恐竜の王者ティラノサウルス…ではなく、ティラノサウルスの化石に似た特徴を持つ新種の恐竜が福井で見つかった。学名は、その名も「ティラノもどき」。国内で新種の恐竜はこれまで10例しか見つかっておらず、学芸員は「20年にわたる継続調査の『たまもの』だ」と胸を張る。

1億2000万年前に生息

杉本知事:
今まで世界で見つかっていなかった新属新種の化石だということが判明して、国際学術誌に9月7日に論文を投稿し認められた

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新たに発見された恐竜は、学名を「福井産の暴君(=ティラノ)もどき」という意味の「ティラノミムス・フクイエンシス」と名付けられた。

体長は約2メートル、体重は約20kgと推定され、ダチョウのような体形をしている。1億2000万年前の前期白亜紀に生息していたとみられる。

県立恐竜博物館 服部創紀研究員:
オルニトミモサウルス類という分類で、一般的に草食性の傾向の強い恐竜。全身が羽毛に覆われていて、翼のような腕に長い羽がある。ダチョウ恐竜といわれるくらい走るのが得意だと考えられている

20年かけた「継続調査のたまもの」

福井県が勝山市北谷で行っている発掘調査のうち、1998年からの20年間に発掘された同一種とみられる55個の化石の研究を進めたところ、新種であることが明らかになった。

学名にも「ティラノもどき」とつけられているように、腸骨と呼ばれる腰骨の一部に「垂直稜」というティラノサウルスの仲間に見られる特徴を持つ。

このため、当初はティラノサウルスの仲間と思われたが、腸骨を細かく調べたところ、別の系統の特徴を発見。さらに、ほかの部位の骨の調査から新種であることがわかった。

国内で11例目、県としては6例目の新種恐竜の発見。研究員は、長年かけて積み重ねた発掘の実績が新種発見につながったと話す。

県立恐竜博物館 服部創紀研究員:
これは継続調査のたまものだと思っている。今回使った化石の中で一番古いのが1998年発見のもの。本格的な研究の材料がそろったのが2018年頃なので20年近く経過している。長い目で見ていかないとこういう発見は絶対ありえないので、継続調査が一番重要だと思う

ティラノミムス・フクイエンシスの化石は2024年1月9日まで、勝山市の県立恐竜博物館で展示される。

(福井テレビ)

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