20日に出荷が始まった福井県産米のハナエチゼン。JA福井県は猛暑の影響について「地域によってばらつきがある」との見解を示している一方、取材した福井市内の農家は「一等米の比率が全体の3分の2に下がり、収穫量も去年より1割減った」と話しています。
◆収量が1割減、一等米比率も低下
取材した福井市内の農事組合法人「こうすい」では、今年収穫したハナエチゼンの、民間の卸売業者による検査結果が19日に出ました。
農事組合法人こうすい・吉田優一郎さん:
「結果は良くなかった。予想はしていたが…高温に耐えられず白く変質してしまう。(白濁したコメは)若干、食味は落ちるといわれている」
吉田さんたちが作るハナエチゼンは、ここ10年ほどはすべて一等米と評価されたといいます。
ハナエチゼンは、県農業試験場によるとコシヒカリよりも高温耐性が強いとされていますが、吉田さんは今年の猛暑により大きなダメージを受けたといいます。
吉田さんたちが収穫したハナエチゼンの新米は全部で約12トンですが、収量は去年より約1割減少。一等米の比率も、全体の約3分の2に減りました。
また、吉田さんは、夏に雨が少なかったことによる今後の影響も懸念しています。
「ハナエチゼンに関しては農業用水が来ていたので何とかしのいだ」といいますが、通水制限によりいちほまれの圃場には用水が来ず「もう酷い状態で枯れ上がっている。いちほまれは福井県のブランド米だが、残念ながら一部は諦めている」と肩を落とします。
これから収穫が始まるコシヒカリについても「輸出用のシャインパールとコシヒカリは、用水は今のところ確保できていて実りも悪くないが、心配なのは降雨。気温が35度を超えて40度近くになると稲もストレスいっぱいで、それがどういう結果になるのか…影響が少なければいい」と気を揉みます。
◆コメ価格「35年間下がり続けていた」
ハナエチゼンの新米の販売価格が今年も高値となる中、コメの適正価格について吉田んさんは「難しいが、少なくともコメ不足が問題になった前の価格は、どう考えても低いだろう。35~36年前からずっと価格が下がり戻ってなかった。35~36年前に戻れば、我々も何とかコメの再生産への意欲が出てくるのではないか」
家計にとっては痛手となるコメ価格の高騰ですが、農家の生産意欲を高めているという側面もあります。