ジャニーズ事務所 東山紀之新社長:
本当に人類史上最も愚かな事件だと思います。

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9月7日、午後2時から始まり4時間12分に及んだ会見で、ジャニーズ事務所は、初めてジャニー喜多川氏の性加害の事実を認め、謝罪しました。

藤島ジュリー景子前社長:
ジャニーズ事務所と致しましても私、藤島ジュリー景子個人と致しましてもジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております。被害者の皆様に心よりお詫び申し上げます。

東山紀之新社長:
この度、新しく事務所の代表となりました、東山紀之です。まずは、喜多川氏の性加害を認めここで謝罪させていただきます。今後はこの事実に真摯に向き合うため、私は年内をもって表舞台から引退します。今後の人生をかけて、この問題に取り組んでいく覚悟であります。

7日、辞任を発表した藤島ジュリー景子氏に代わって、新社長に就任したことを報告した東山紀之氏。4年前に亡くなったジャニー喜多川氏を父のように慕っていたといいます。

――ご自身はこの性加害が行われていたことについては、認識されていたのか、あるいは、どのような行動をとられたのか、教えていただけますか。
東山紀之新社長:

恥ずかしながら、何もできず。何の行動もしておりませんでした。ただ、噂としてはもちろん聞いておりました。で、私自身は被害を受けたことがなくて、受けている現場に立ち会った事もなく、先輩たちからも後輩たちからも相談もなかったので、噂という認識がありましたけど、自ら行動するということはできずにいました。それを反省を込めて、今後は対応して行きたいと考えております。

「解体的出直し」は…? 性犯罪への認識の甘さも

社長交代や、性加害があったことを知っていたかどうか、社名の変更はするのか、業界への圧力のようなものはあったのか、など様々な質問が飛び交った会見。

会見の後半には、東山氏から「やっていることは“鬼畜の所業”だと思っています。今も愛情はほとんどありません」と、ジャニー氏と決別するような発言も飛び出しました。

東山新社長と舞台で共演したこともあるという、「めざまし8」MCの谷原章介は、複雑な心境を口にします。

複雑な心境を口にする谷原章介
複雑な心境を口にする谷原章介

MC谷原章介:
僕も2時から最後まで会見を見ましたが、ジャニーズ事務所がきちんと性加害を認めて、被害者と向き合って救済をしていくと言ったことは、大きな一歩だと思います。
僕自身、東山さんと舞台でご一緒したことがありまして、本当に舞台を愛する方なんですね。そんな東山さんが舞台を去る決意をしたということは、本当に僕自身驚きましたし、残念にも思いました。同時に東山さんのこの問題と向き合う強い覚悟というのも感じました。

危機管理コンサルタントの石川慶子氏は、この会見を「リスクマネジメントの観点」から、どのように見たのでしょうか?

危機管理コンサルタント 石川 慶子氏
危機管理コンサルタント 石川 慶子氏

危機管理コンサルタント 石川慶子氏:
何かを起こしたときに一番大切なことは、きっちりけじめを付けるということなんです。この場合は、まず「謝罪」をすると。その際に、誰が出て謝罪をするのか。今回ジュリー社長がでるかどうかというのはとても大きな焦点だったので、彼女が出たのはいいんですが、この登壇者の中に27年間取締役をやってきて、代表権を持っていた白波瀬さんが出ていないということが、一番大きな問題点だと思います。
まずしっかりと謝罪するにあたって、誰が謝罪をするのかというのは、ジュリー社長そして代表権を持つこのお二人が出るべきだったと考えておりますので、評価できる点とできない点が非常に複雑に混ざっている会見だなと思いました。

強い言葉で性加害を批判する井ノ原氏
強い言葉で性加害を批判する井ノ原氏

――東山新社長や、井ノ原氏は強い言葉で性加害について批判をしていましたが、聞いてみていかがでしょうか?
危機管理コンサルタント 石川慶子氏:

これは当然だと思いますし、強い言葉と言っても、もっと強く言ってもいいのかなと。もう少し、皆さんの怒りを背負って、もっときつく言っても良かったんじゃなかったかなと思います。

――報告書から1週間たっての会見、風間さんはどうご覧になりましたか?
フジテレビ解説委員 風間晋氏:

報告書から1週間ということと、きのう明かされたのは、9月5日に取締役会をやって、社長の交代を決めたと。その2日後にこの会見をやったと。とはいいながらも、僕自身はこのスピード感はどうなのかなと思っているわけです。というのも、ジャニーズ事務所の解体的出直しというのは、今年の5月からすでに始まっていたと思うんです。つまり100日たっているわけです。
100日たっているんだけども、5月の時点で、東山さんは社名の変更の可能性とかすでに言及されていたのが、今もなかなか揺れているという状況が会見でも垣間見られました。株式の問題もそうですよね。僕は具体的な「解体的出直し」の核心というのは、そういうところにあるのではないかと思っていたので、そういう意味では、もう少しスピード感があってほしかったなという気持ちもあります。

トラウデン直美:
今回のジャニーズ事務所の今後の対応については、厳しく注視していく必要があると思うんですけど、私が気になったのは、性犯罪に対する周りの見方がすごく気になってしまって、やはり性被害を受けたのかどうかということを、執ように聞き出そうとしたりだとか、ネットを見ていても目を覆いたくなるような内容がとても多い。
これってやはり、日本の社会として性犯罪というものに対する認識の甘さ。被害者の方の心の傷だったり、その後に残るものへの認識がすごく浅いのかなというふうに感じてしまって。
それはジャニーズ事務所はもちろんのことですけども、私たち周りの人間ももう一度重く受け止めないといけないところなんじゃないかなというのは、強く感じました。

MC谷原章介:
確かにトラウデンさんのおっしゃる通りで、二次被害につながる面もあると思うと同時に、それが今回の問題の核心でもあるわけじゃないですか。ここを聞かざるを得ないという面もあるのかと。

風間晋氏:
実を言うと、そこに踏み込んでくれれば、物事はもっとずっと単純になっていた可能性があるわけですけども、でもそんな単純なものではないという世界があるというのも、分かるので、難しいところです。

「法を超えた」被害者への救済とは?

被害者への補償について、会見の中でジュリー氏は、「法を超えて訴えをいただいた方たちには真摯に向き合いたい」と発言。東山新社長も、「法を超えて救済・補償が必要。なんとかしてあげたい」と述べました。

――「法を超えて」という言葉を会見中何度も使っていましたが、どういう意味合いと捉えていますか?
危機管理コンサルタント 石川 慶子氏:

これはもう提言の中に入っていますから、法的には時効であったりとか、そもそも(加害者)本人がいないわけですから、どうにもならないわけです。「法を超えて」と言うのは当然だと思います。それよりも、提言の中の「法を超えて補償する」というのは良かったとしても、解体的出直しにはほど遠いのではないかなという方が、私の印象は強いです。

唐木明子氏:
複雑なのは、犯罪的な行為があったということと、あと組織文化がこうであったということが、重層的になっているんです。犯罪は救済しなくてはいけないですけども、今までの価値、パターンが、間違えたものであるということだとすると、それを正しに行かなくてはいけなくて、さらに根深い、組織としての在り方を変えていかなくてはいけない。解体的出直しというのは、そこの部分を指しているはずなんです。そこをきちんと説明していく必要があると思います。

メディアの責任…フジテレビが見解を発表

7日の会見では、東山新社長から「今後大事なのは本音で発言・意見交換する場をつくること。メディアとの関係性は僕らにとっても非常に大事」という発言も。

フジテレビはこの会見を受けて、以下の見解を発表しました。

「ジャニーズ事務所が、創業者の性加害の事実を認め、新たな体制を公表しました。フジテレビは、ジャニーズ事務所が新体制のもと、被害者救済・再発防止を、実効性を伴って実施していくよう注視してまいります。性加害が決して許されないことは当然です。

当社は、先日の『外部専門家による再発防止特別チーム』調査報告書に記されたマスメディアに対するご指摘を真摯に受け止め、全てのステークホルダーとともに、人権尊重を徹底し、あらゆる人権侵害を防ぐべく対処していく所存です」

MC谷原章介:
今回の問題は、加害者もそして被害者の方もほとんどジャニーズ事務所の方で、ジャニーズ事務所がその被害者を救済するのは、僕は当然の話だと思っているんです。ただし今回のこの事件というのは、皆さんもご存じの通り加害者はもうすでに亡くなられていて、責任者はいるという現状になっていると思うんです。
これが仮に罪があるとするならば、未必の故意といいますか、そうなるであろうことがわかっていただろうに、見逃してきた罪、そして噂を知っていたという時点でその罪はあるのかもしれません。そういった意味では、僕自身にもその罪があるのかなと思いますし。そしてこの会見まで1週間あったにも関わらず、まだ直接被害者の方とお会いしていなかった。具体的な救済の方法、補償の方法というのが会見の場で発表されなかった。そこが僕自身は、なぜなんだろうと思いながら、ずっと会見を見ていました。
被害に遭われた皆さま、そういった方々が全て納得のいく救済がなされることを、心より望んでおります。
(めざまし8 9月8日放送)