「『目は口ほどに物を言う』というが、特に写真で表現する時に目にピントが来てないと精彩に欠ける」と話す、宮崎・三股町に住む昆虫写真家。この写真家の目に映る昆虫の世界を取材した。

約700坪もの林で日々昆虫を観察

2007年に東京から三股町に移住した昆虫写真家の新開孝さん(64)。三股町への移住の決め手は「雑木林」だと話す。

昆虫写真家 新開孝さん:
やっぱり自然が豊かな地方で仕事がしたいという夢はずっと持っていた。それで探していたら、たまたまこの三股町にこんな“林付き”の物件が売りに出ていた。それでもうすぐ決めた

昆虫写真家の新開孝さん(64)
昆虫写真家の新開孝さん(64)
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自宅の裏には約700坪もの林が広がり、日々昆虫を観察している。

昆虫写真家・新開孝さん:
この姿、かわいいというか、美しいというか…完璧ですね。狩りをするために進化した姿というか

取材班を案内する間も、昆虫を見つけてはカメラを構える新開さん。

カマキリの顔のどアップをパシャリ
カマキリの顔のどアップをパシャリ

カマキリを発見すると、「今度は緑色だ。きれい。さっきと全然違うでしょ、緑色タイプ」とうれしそうにシャッターを切る。

“子どもたちに伝えたいこと”

1958年に愛媛・松山市で生まれた新開さんは、大学で昆虫学を専攻後、上京して教育映画の現場で演出助手を経験。30歳の時に昆虫写真家に転身し、図鑑や写真絵本などを40冊以上出版してきた。

昆虫写真家・新開孝さん:
一番語りかけたいのは子供たち。小さい時にいろいろな自然に触れるきっかけづくりをしたいというのが私の気持ちの中にある

図鑑はあくまで「きっかけづくり」。新開さんは、自然の中でしか学べないものがあるという。
取材中も木を観察していると…「虫の足が出てきた。死骸が挟まっている」と発見。

昆虫写真家・新開孝さん:
こうやって虫は木の中にトンネルを作って成長するんだけれど、最後の段階で出られなくて死ぬことも結構ある。虫たちも大変なわけです、生きてくうえで。いろいろな昆虫の生きざまやドラマがまたおもしろい

新開さんが子供たちに伝えたいことは、「小さな命への敬意」。

昆虫写真家・新開孝さん:
やっぱり痛いことは虫だって嫌なわけです。人間と一緒。生き物に対してそういう心遣いが身につくといいと思う。虫はフィギュアじゃない。おもちゃじゃない。ちゃんと生きてるってことを知ってもらいたい

昆虫の多様な生態や魅力を伝える昆虫写真家。三股町の自然の中で、新開さんは小さな命を見つめている。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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