牡蠣の養殖に使ういかだは主に竹でできているが、古くなったいかだは、行き場所のない廃棄物となり、養殖関係者の悩みの種だった。このいかだを砕いてチップにし、雑草対策に活用する新たな取り組みが広島・廿日市市の漁港で始まった。

竹を砕いたチップには雑草を生えにくくする効果が

広島・廿日市市の漁港で粉砕されていく竹。

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海での役割を終えた牡蠣の養殖用いかだを砕いた「いかだチップ」ができあがった。

五十川裕明記者:
できたものを見ますと、竹が5cmほどの大きさまで細かくなります。養殖のカキいかだは1台あたり130本の竹を使っているそうですから、かなりの量になります

この事業は「行き場のない廃棄“いかだ”を雑草対策の救世主に」と広島・呉市の竹チップ製造会社「TEGO」が8月から始めた。

「いかだチップ」を土の上に敷き詰めるだけで、人の手が行き届かなくなった住宅や山間部などで手軽に草を生えにくくする役割を見据える。

TEGO 中原佑介代表:
チップを厚さ10cmくらいにしてまくことによって、雑草の種が飛んできても、根付かないというメリットがあり、空気の層みたいな形でなっていますね

瀬戸内海全体に浮かぶ牡蠣いかだの数は約1万2,000台。その多くが竹製で、5年ほどで耐用年数を迎え、年間2,400台ほどが新たなものと交換されている。これまで役割を終えたいかだの活用策はなく、ほとんどが焼却処分されていた。

漁協の職員:
これは、カキいかだを焼いた跡の炭ですね。土のう袋で16~20袋くらいですね

焼却しないエコな再活用法

大野町漁協組合 河野重明参事:
焼却処分すると、地域住民の方からも苦情が来ていましたし、環境的にも問題がありますから、できれば焼却処分を止めたいというのはあったんですが、現実的になかなかできなかった

機械を通して砕けば、貝殻が付着した状態でも次々とチップに生まれ変わる。いかだ1台あたり、200kg前後ができる。

もともと海に浮かんでいだ、いかだを砕いたチップは植物が苦手とする塩分を含み、通常の竹チップ以上に効果が期待できるという。

TEGO 中原代表:
有効活用していって、よりいい環境を作れるような循環する社会を築く手助けができればと思っています

今後、広島・福山市で、この「いかだチップ」を敷く実証実験が始まる予定で、陸上での「雑草対策」という新たな活路を本格的に見出していく。

(テレビ新広島)

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