1人暮らしの高齢者が増加するなか、近年消費者庁などに相談が多く寄せられているのが「高齢者サポート事業」をめぐるトラブルだ。

「イット!」4時推しキャスターの立石修 フジテレビ報道局 取材センター室長(左)と、梅津弥英子 キャスター
「イット!」4時推しキャスターの立石修 フジテレビ報道局 取材センター室長(左)と、梅津弥英子 キャスター
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梅津弥英子 キャスター:
この「高齢者サポート事業」とは、身寄りのない高齢者や家族による支援を受けることが困難な高齢者を対象に行なわれている民間のサービスで、
①入院や高齢者施設などへの入所で必要な身元保証
②買物支援や通院の付添いなどの日常生活支援 
③葬儀や遺品整理などの死後の事務のサービス などがあるんです。

この日取り上げたのは「高齢者サポート事業でトラブル続出」について
この日取り上げたのは「高齢者サポート事業でトラブル続出」について

都内で高齢者サポート事業を行なう会社を取材したところ、費用の相場は、初期費用としては、身元保証や日常生活の支援、死後の事務などすべてを含めて150万円から200万円。これに月額の会費が数千円以上かかるということです。

立石修 4時推しキャスター(フジテレビ報道局 取材センター室長):
厚生労働省の調査によると、2022年の65歳以上の高齢者の単独世帯、つまり“1人暮らし世帯”は、873万世帯、2001年(約318世帯)に比べると2.7倍に増加しています。
こうしたこともあって、高齢者サポート事業は今後さらに需要が高まっていくサービスとみられているんです。

梅津 キャスター:
ではその「高齢者サポート事業」ではどんなトラブルが起きているのか?国民生活センターに寄せられた相談を元に詳しくみていこうと思います。

ケース1:「知らぬ間に・・・高額契約」

今後 入院したり、アパートに入居したりするのが不安だなと感じ始めた1人暮らしの80代男性。身元保証などのサポートサービスの事業者に申し込んで、入会金や身元保証支援費などが約40万円、月会費が3,000円。

具体的なサービスなどがわからないまま契約し高額で不安になったというケース
具体的なサービスなどがわからないまま契約し高額で不安になったというケース

男性は、具体的にどのようなサービスを受けられるのかなど契約の内容もよくわからないまま契約してしまったため、高額で不安になったということなんです。

契約内容を把握してないトラブルを巡っては、こんなケースもあります。

ケース2:「身元保証だけだと思ったら別のサービスも・・・」

高齢者施設に入居することになった1人暮らしの80代女性。
施設から入居に際して身元保証が必要と言われ、身元保証を依頼するため訪れた事業所で、担当者から長時間にわたって説明を受け、契約内容を理解できないまま担当者に100万円を支払い契約をしました。

身元保証を依頼するため事業所を訪れ契約すると「身元保証」以外も含まれる契約と判明したケース
身元保証を依頼するため事業所を訪れ契約すると「身元保証」以外も含まれる契約と判明したケース

後になって契約内容を調べたところ、生活支援サービスや葬儀サービスなどが含まれている契約であることがわかったということなんです。

こうしたセットでの契約は複雑になるので注意だということです。

榎並大二郎 キャスター:
難しいのは、善意で進めているものあるだろうし、足元を見られている可能性もあるだろうし…1人で見極めなきゃいけないというのは大変ですよね。

梅津 キャスター:
さらに解約をめぐるこんなトラブルもあるんです。

ケース3:「解約」で説明ないまま精算

高齢者住宅への転居のために70代女性は身元保証人がいないため事業者に相談しました。

事業者には「定期的な安否確認等を行うため緊急時の対応もスムーズにできる」と言われ、140万円を支払い契約をしました。しかし実際には定期的な安否確認はなかったり、必要な書類が一向に作成されなかったりするなど、事業者に不信感が募ったため、 解約を申し入れたんです。

事業者に不信感募り解約申し込むと50万円の返金のみで説明もなかったケース
事業者に不信感募り解約申し込むと50万円の返金のみで説明もなかったケース

解約は承諾されたんですが、実際に振り込まれたのは50万円のみで、この金額についても説明がなかったということなんです。

立石 キャスター:
この方は十分なサービスも受けていなかったようで、納得できないと相談したということです。

梅津 キャスター:
ではなぜこんなトラブルが相次ぐのでしょうか。

重要事項説明書「作成する」はわずか2割

この問題を巡っては、8月総務省が高齢者サポート事業者を対象に行った調査の結果を発表しました。
それによると、契約内容の重要事項を整理した資料(重要事項説明書)を作成している事業者が約2割、8割が作成していないということが明らかになりました。

立石 キャスター:
総務省による調査では課題として、高齢者サポート事業を直接規律・監督する法令・制度などがないことをあげています。

学校だったら文科省、銀行だったら金融庁というように、監督官庁があってルールを決めていきますが、高齢者サポートは新しい産業なので監督官庁がなく、統一されたルールが存在しないというのが問題になっているんです。

梅津 キャスター:
ではトラブルを防ぐにはどうすればいいのか?ということになりますが、高齢者サポート事業を行なう「OAGライフサポート」の黒澤史津乃代表はこう話します。

「身元保証人以外にも求められる役割は無数にあり、介護保険などで対応できないことを引き受けているのが現状。今後、事業者に対して資格や免許などを求める規制やルールなどを国に検討してもらいたい」

立石 キャスター:
日本総研の試算によると、身寄りの無い高齢者は2040年には1000万人にも達する、高齢者の4人に1人に達するといいます。差し迫った課題になってきたことは確かだと思います。
(「イット!」9月4日放送より)

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