佐賀空港へのオスプレイ配備に向けて駐屯地の工事が着々と進んでいる。昼夜を問わずダンプカーが次々と行き交い、生活への影響を訴える地元住民も多い。田園が広がる有明海沿岸の静かな風景は大きく変わった。

駐屯地は東京ドーム7個分

佐賀空港から見える工事現場の広さは約34ヘクタール、東京ドーム7個分だ。

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リポート・川野優也:
駐屯地の建設予定地です。工事が始まって2カ月半がたち現場の様子も変わりました。大型の建設機械が搬入されていて、手前には白い円柱状の構造物…あの中にセメントが貯蔵されているということです

建設予定地では、地盤改良工事が進んでいる。

大型の黄色の機械は「地盤改良機」。ドリルで穴を掘りながらセメントと土を混ぜ合わせ、強度を高めている。地盤の改良は、すでに全体の80%が完了している。

通学路を行き交うダンプカー

一方、現場で何台も行き交っているのは土砂を運ぶダンプカーだ。

佐賀市 政策推進部・武富将志部長:
振動・騒音・交通渋滞、そういったものが市民生活に影響があると考えている。ダンプが通るので子どもたちの交通安全。「危なくないように」というのが(市民の意見で)一番多い

8月29日、夏休みが明けで2学期を迎えた子どもたちの横を、ダンプカーが通り抜けていく。
運搬経路沿いには、小学校や認定こども園がある。

園児の保護者:
子どもがいると危ないなと。送り迎えがちょっと怖いなというのはある

園児の保護者:
(ダンプカーは)結構通っている。そんなにスピードも出してない…ちゃんとしている。しょうがない。工事が行われているのは

リポート・川野優也:
フロントにはA-1と書かれたステッカーが貼ってあります。神埼市から土砂を運んできています

ステッカーの文字は、4カ所ある土砂の採取場所を示している。Aは神埼市、Bは佐賀市、CとDは唐津市。それぞれ、運搬経路が異なる。

リポート・川野優也:
佐賀市の南部バイパス。佐賀空港方面に向かう交差点です。ダンプカーが多く集まっています。奥の方まで数えると5台程度が確認できます

10時間でダンプカー365往復

信号待ちでずらっと並んだダンプカー。4つのルートのうち3つが合流するこの国道では、計算上、日中の10時間でダンプカーが365往復している。
近くの店からは、こんな懸念も。

高級食パン専門店「最高な普通」佐賀店・川副正人店長:
販売所が道路と面しているので、砂ぼこりが飛んで入ってくるのが気がかり。こまめにドアを閉めてお客さまが来たら開けて対応している

こちらは唐津市。道路沿いに住む人は…。

道路沿いの住民:
そんなに気にしていない。慣れてきたんでしょうね

取材中にも…。

道路沿いの住民:
このくらいの音。怖いなと思うときもある。スピードを出して通ったりして…

“夜の運搬”に懸念抱く地元

一方、ダンプカーが通る佐賀市や唐津市は、九州防衛局にある要請を続けている。

唐津市 政策部市政戦略課・森耕平課長:
“夜間”は通常想定していない。昼間に比べると騒音などで、市民・住民の良好な生活環境に影響が出る可能性がある。昼間と(分けて)対応は考えてほしい。昼間と違う

8月から始まった“夜”の運搬。現在は午後10時までだが、10月半ばからは深夜の運搬も始まり、実質的に“24時間態勢”となる。

配備まで2年足らず…工事急ぐ国

現在、千葉・木更津市に暫定配備されているオスプレイ。

期限の2025年7月まで2年を切った。
それまでに、配備に“最低限必要な工事”を終わらせる方針の防衛省。昼夜兼行で、工事を急いでいる。

(サガテレビ)

サガテレビ
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