7月、世界の強豪が集うネーションズリーグでイタリアを破り銅メダルを獲得、46年ぶりに主要国際大会で表彰台に立ったバレーボール男子日本代表。続いて8月に行われたアジア選手権でも日本代表は好調を維持し、3大会ぶり10回目の優勝を果たした。

来月開幕するFIVBパリ五輪予選/ワールドカップに向けて、順調な仕上がりを見せている日本代表。

”怪物サウスポー”西田有志
”怪物サウスポー”西田有志
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その中に、復活の兆しを見せている男がいる。日本が誇る”怪物サウスポー”西田有志(23)だ。西田の武器はパワフルなジャンプサーブと、最高到達点350cmの跳躍力を生かしたスパイク。

世界が驚いた驚異のサーブ

西田が鮮烈なインパクトを残したのは19歳の時、2019年ワールドカップバレー。カナダ戦の最終セットで5度のサービスエースを含む6連続ブレイクを記録してチームを勝利に導いた。この大会でベストサーバー賞を獲得し、日本の4位入賞に大きく貢献した。

2019年W杯でベストサーバー賞
2019年W杯でベストサーバー賞

東京オリンピックでは、29年ぶりに予選ラウンドを突破し、準々決勝に進出。2024年のパリで悲願のメダル獲得へ。更なる進化を遂げようとした、その矢先。

原因不明…怪物を襲った体調不良

「初めてですから、あんなしんどい思いをしたのは」

去年、西田を突然襲った、原因不明の体調不良。1カ月にわたって発熱が収まらず、ベッドから起き上がれない日々が続いた。西田は振り返る。

謎の体調不良で寝たきりに(4月の取材より)
謎の体調不良で寝たきりに(4月の取材より)

「ずっとこの(寝たきりの)状態で動けねえ、みたいな。これが数時間。湿布みたいなものを(体に)全部置いてずっとやっていましたね。何十カ所にも貼っていたんで…」

どん底でつかんだ、ある意識

思うようにならない自分の体。満足の行く調整もできない中迎えた、ネーションズリーグ。

不調の西田に代わり新戦力として台頭したのは、同じポジション、そして同じサウスポーの宮浦健人だった。

同じポジションで同じサウスポー 宮浦健人
同じポジションで同じサウスポー 宮浦健人

チームが、日本が、世界大会46年ぶりのメダル獲得の歓喜に沸く中、西田は人知れず悔しさをかみしめていた。

「ずっともがいてますよ。全然しっくりこないですもん。試合やっていても。苦しいですけど、その中で上手くいったことを自分の中で意識持って。じゃあこれ出来たというのが自信に繋がるので。しんどいけど頑張んないとですよね」

どん底でもがき、そして耐えた
どん底でもがき、そして耐えた

しんどい、けれど頑張る。

今できることを、ひとつひとつ。

そしてようやく明かりが見えてきた。

帰ってきた”怪物サウスポー”パリへ

アジア選手権の前、パリ五輪予選にも出場するトルコとの練習試合。西田は先のネーションズリーグで不調だったスパイクを次々と決めた。この試合で西田はチームトップの13得点を記録。

復活の兆しの到来に、西田の顔にもようやく笑みが戻った。

表情にも自信が戻った
表情にも自信が戻った

「今までは上手くいかないこととか考えることがありすぎて、メンタル的に何かに誰かに“つかまれている”感じがすごくあって。でもやっぱりそれこそ本当に気持ちなので。どう前に進むかは自分の気持ち次第だと思いますし」

コメントにも自信が戻ってきていた。

「今はだいぶ頭の中がクリアにできているので。そこは僕としてはすごくいいなっていうか。『あ、この感じだな』というのが少しずつ戻ってきてはいます。成功に近づいてきている、上手くいっているというタイミングが今ここにきて来はじめているので、正直楽しみですね」

4年前の輝きを、ふたたび。

日本が誇る”怪物サウスポー”が雄叫びを上げる日も近い。

FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023
日本戦全戦をフジテレビ系独占中継!
女子大会 9月16日(土)-9月24日(日)
男子大会 9月30日(土)-10月8日(日)
東京・国立代々木競技場 第一体育館にて開催