2023年に入って飲酒運転の検挙数が増加傾向となっている新潟。悲惨な事故につながる恐れもある中、なぜ飲酒運転をしてしまうのか…飲酒運転を取り締まる深夜の飲酒検問に密着した。

“飲酒運転”増加… 深夜の飲酒検問へ

警察官:
きょう、お酒は何時ごろから何時ごろまで飲みました?

男性:
飲んではいない

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警察官:
飲んではいない…

男性:
一緒にその席にはいましたけど

警察官:
要は、その席には出席していたけど、お酒自体は1滴も飲んでいない?

男性:
あ~、その流れで注がれてトクトクというのはあるかもしれない

8月18日金曜日、新潟市内で行われた飲酒検問での警察官と男性のやりとりだ。

この数時間前…新潟警察署には飲酒運転の取り締まりをするため、多くの交通課の署員が集まっていた。

新潟警察署
新潟警察署

新潟警察署の桜井智晃交通課長は「8月上旬にバイパス上で逆走の事故、それだけでもびっくりするような事故だが、現場に行ってみると、片方の運転手が飲酒していた。新型コロナ禍が収束して(飲酒運転が)増加に転じていると思っている」と飲酒運転の現状について話す。

自分だけでなく、第三者の命までも奪いかねない飲酒運転。2023年に入り、飲酒運転が急増しているため、新潟警察署は深夜の飲酒検問を実施した。

基準値超のアルコール検出も…飲酒認めない男性

この日、検問を行ったのは、午前0時半を過ぎても車が多く行き交う新潟駅の万代方面と南口方面を結ぶこ線橋。ほとんどのドライバーはアルコールが検出されなかったが…

警察官:
ごめんなさいね。もう一回だけフーッと吹きかけてください

男性:
フー

警察官:
はい、ちょっと待ってください…お酒ちょっと飲んでいます?

男性:
飲んでいないです。飲んでいるところにはいたけど飲んでいない

アルコールの反応があったのは、新潟駅前で行われた会社の飲み会に出席した帰りだという50代の男性会社員。

警察官:
覚えています?どれくらい飲んだか?

男性:
どれくらい飲んだかじゃなくて、流れで(酒が)入っていたものもあるかもしれない。ウーロン茶に入っていたかもしれないけど

あくまで「自らお酒は飲んでいない」とあいまいな供述を繰り返す。呼気検査を行い、体内のアルコール量を調べると…

警察官:
基準値以上のところまで白く変わっちゃいました。これは体の中にお酒が100mL中、(検出数値)あるということになるので

免許取り消しの処罰となるアルコール量0.25mgを超える数値が検出された。しかし…

男性:
ウーロンハイは飲んでいない。ウーロン茶は飲んだけど、飲んだけども、酒が中に入っていたかもしれない

警察官:
自分では頼んでいない?

男性:
自分からは飲んでいない

説得の結果…ウーロンハイ10杯の飲酒判明

男性は、その後も飲酒を認めない。否認を続ければ現行犯逮捕の可能性もあることから、警察官が丁寧に説得を試みる。

警察官:
私もお酒は飲みますし、私より大先輩なのでこんなの言うのもあれですけど、さすがにウーロン茶とウーロンハイは分かると思うんですよ

男性:
う~ん

警察官:
なので正直に話してほしいんですよ

そして…

警察官:
ウーロン茶も飲んだし、ウーロンハイも飲んだという感じ?

男性:
ウーロンハイは頼んでいないけど、つがれてウーロンハイになっていた

警察官:
それはウーロンハイだと思って、酒だなと思って飲んだわけですよね?

男性:
つがれているからね

男性は最終的にウーロンハイを10杯ほど飲んでいたと認めたため、この日は重い違反を犯した場合に切られる赤切符での処理となり、後日、検察庁から処分結果が通知されることとなった。

「ゴールド免許」主張する女性も…

一方で、男性への聴取が行われていたころ、すぐ隣では…

女性:
ずっとゴールドでやっています。安全運転でやっています

警察官に対し、「無事故・無違反を続けてきた」と主張する50代女性の姿が。呼気を調べてみると…アルコールが検出された。

女性:
「飲みなよ」と言われたので飲みました

警察官:
どんなお酒を飲ましたか?

女性:
生ビール

飲酒から時間が経過していたこともあり、体内のアルコール量は処罰の対象ではない0.15mg未満だったが、飲酒運転であることに変わりはない。警察官がその場で厳重注意した。

桜井交通課長は「検問開始早々、2台も飲酒運転が来るなんていうのは、それだけ飲酒運転が増えている証拠」と話す。

飲酒運転をしていた2人は代行業者を呼んで帰宅することに…聴取をしていた相馬貴之巡査は「違反者の方も2度と飲酒運転はしませんということで約束していただいたので、私としても取り締まりした甲斐があったと思う」と話した。

飲酒運転 “罰則・行政処分”は?

重大な事故にもなりかねない飲酒運転には厳しい罰則や行政処分が設けられている。

酒酔い運転は5年以下の懲役または100万円以下の罰金となるほか、違反点数35点で免許取り消しとなり、3年間再取得できない。

酒気帯び運転は3年以下の懲役または50万円以下の罰金となるほか、呼気1L中のアルコール濃度が0.25mg以上だと、違反点数25点で免許取り消しとなり、2年間再取得できない。

呼気1L中のアルコール濃度が0.15mg~0.25mg未満だと、違反点数が13点で90日間の免許停止となる。※いずれも初犯の場合

桜井課長は「我々は飲酒運転によって人生を狂わす人、特に被害者の方、あとは飲酒運転をする本人も含めて飲酒運転で人生を狂わすことがないように地道に検問活動を続けていきたい」と話した。

県警は飲酒運転が第三者や自身を危険にさらす大変危険な行為、そして悪質な犯罪だという自覚を持ち、社会ぐるみで飲酒運転を根絶する取り組みを進めることが重要だと呼びかけている。

改めて「飲んだら乗るな。乗るなら飲むな」という言葉を頭にたたき込むことが重要だ。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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