タクシー運転手のなり手が減少し、福井では8年間で3割近く少なくなった。「全然先が見えない…」と採用の難しさを語る声も聞かれる中、2024年春には北陸新幹線が福井まで延伸し、観光客の増加が見込まれる。採用担当者を対象にしたセミナーでは、求職者が重視する点として、「休日の多さ」や「更衣室の整備」が取り上げられた。
口そろえ「採用は困難」と語る担当者
「以前は優秀な人材だけを採用できていたかもしれないが、今は逆で、求職者が企業を選ぶ時代」
これは、県のタクシー協会が福井市内でドライバー不足を解消するために開いたセミナーでの講師の一言だ。

講師の話に耳を傾ける、県内のタクシー業界の採用担当者たち。県内から28社が参加したが、「採用は困難だ」と口をそろえる。
参加者:
自ら進んで仕事に来る人はいない。全然先が見えない、考えても答えが出てこない
参加者:
若い人がどうすれば来てくれるのか…。選ばれる求人方法を聞きたい
「休日の多さ」「更衣室の整備」が鍵
業界では、これまでも“ドライバーの高齢化”という問題が深刻化していた。協会によると、平均年齢は「64歳」で、ほとんどが「男性」だという。
さらに、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、離職が相次いだ。福井の法人タクシーのドライバー数は、登録制度が始まった2015年度末時点で1250人だったが、右肩下がりに減少し、2023年7月時点で905人になった。

セミナーの講師は、最近の求職者が重視する点として「休日の多さや取りやすさ」、「職場の雰囲気の良さ」をあげた。
さらに若い人や女性の採用が急務とし、「更衣室やトイレなどハード面の整備」も重要だと強調した。

県も後押し…新たな働き手に奨励金支給
県タクシー協会 矢﨑孝明会長:
北陸新幹線の延伸で客が増えるのに、運転手の足りない状況が続いている。なんとか採用していきたい

福井県もドライバーの確保を後押ししている。今年度から、新たにタクシー運転手として働く人に5万円の奨励金の支給を始めた。

このほか、タクシー運転に必要な「第二種免許」の取得費用を半額補助したり、女性従業員のための施設整備に最大50万円を支援したりしている。
賃金アップ、働きやすい職場づくり、ワークライフバランスの実現。業界全体で時代にあった改革の模索が続いている。
(福井テレビ)